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サバサンドに続き、「平和の国の島崎へ」で作ってみたかったメニューを再現してみました。

3巻に登場する、「そら豆コロッケサンド」。
閑古鳥が鳴くアルバイト先の喫茶店・ルパソのために何かしたいと、島崎が試行錯誤しながら考案した新メニュー。

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※【コマ引用】「平和の国の島崎へ」(濱田轟天/瀬下猛/講談社)3巻より

そら豆コロッケは、「タアメイヤ(ターメイヤ)」と呼ばれるエジプト料理。乾燥そら豆を使った、鮮やかな緑色が特徴のようです。

島崎にとっては子どものころ、屋台の売り子の少女から教わった、懐かしくも苦い思い出のある料理。

フィリピンのプトやカレカレ、バングラデシュのジラピ、イランのチュロウモルグ……さまざまな国の料理を試作したものの決めきれないなかで、常連の岡ちゃんのアドバイス「一番思い出に残っている人に食べてもらいたいもの」で決まったのがこの料理でした。

店のランチで出したところ、その反響は思いもよらないものとなります。

レトロな昭和風の喫茶店で、異国の珍しい料理が食べられる、という意外性。さらにタアメイヤの外側は茶色、中身は鮮やかなグリーンという「映える」ビジュアル。

SNSで拡散され、この新メニューのおかげでお店は行列ができるほどに繁盛。そのせいで、島崎の平和な日々に亀裂が走ることになるのですが……。


ちなみに生のそら豆はご存じのとおり緑色ですが、この料理に使う「乾燥そら豆」は薄い茶色。

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※【コマ引用】「平和の国の島崎へ」(濱田轟天/瀬下猛/講談社)3巻より

ではなぜタアメイヤのコロッケの中身が、鮮やかな緑色をしているのかというと……ネギ、パセリなど大量の香味野菜を使うからだそう。

そら豆といえばさやつきの状態のほうが馴染みがある日本人は、ちょっと混乱しちゃいますね…。



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乾燥そら豆には
・皮つき
・皮なし
の2種類があり、ネットで比較的手に入りやすいのは前者。

しかし本場のレシピに近づけるなら、できれば「皮なし」(↑の写真のタイプもの)のほうがおすすめです(海外のレシピもほとんどは、皮なしタイプを使っているようです)。

こういう輸入ものの乾物を探すときは、だいたい上野アメ横のスパイス系のお店を頼りにするのですが、自分が探したときは、この皮なしタイプの乾燥そら豆が置いておらず(ちょうど品切れのタイミングだったのかしら)、イタリア食材系の通販店で入手できました。イタリア料理でもスープなどに乾燥そら豆を使うことがあるみたいですね。



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<タアメイヤの材料(約8個分)>※分量は参考まで
・乾燥そら豆(皮なし) 100g(水に浸けてひと晩戻しておく)
・パセリ 15~20g程度
・小ネギ 15~20g程度
・パクチー  5~10g程度
・玉ねぎ 1/8個
・にんにく 1かけ
・クミンパウダー 少々
・コリアンダーパウダー 少々
・カイエンペッパー 少々
・塩 小さじ0.5
・白いりごま 適量
・コリアンダー(粒) 適量
・バーガー用バンズ 人数分

ちなみにパセリは本場では、イタリアンパセリを使うようです。大量に手に入るようなら、そちらを使うとより本場っぽさが出せるかもしれません。

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余談ですが、バーガー系のメニューを作るとき、いつも入手に苦労するのがバンズの存在。ホットドッグ用バンズはどのスーパーにも常備されてるのに、ハンバーガーバンズはなぜかあんまり見かけないですよね……自作するのは労力がかかるし。

しかし最近、ローソンの「Lチキバンズ」が1個から買えて、めっちゃ便利なことに気づきました。永遠に売ってほしいぞ!(あとコメダ珈琲のバンズも、店舗によっては売ってくれるらしい)

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まずはつけあわせのゴマペーストを作ります(参考にしたレシピはこちら)。

白ごまペースト(30g)にレモン汁(大さじ1)、オリーブオイル(大さじ1)、ぬるま湯(大さじ3)を少しずつ加えて、泡だて器でよく混ぜます。途中分離する場合もありますが、気にせず気長に攪拌すればOK。

白っぽくトロリとしたソース状になったら、すりおろしにんにく、塩、コリアンダーパウダー、クミンパウダーで味を調えて完成。


ここからタアメイヤを作っていきます。
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フードプロセッサーに水で戻した乾燥そら豆、ざく切りした小ネギ、パセリ、パクチー、にんにくを入れてがーっと攪拌。

水分が出ないうちは空回りするので、何度かフタをあけて中を混ぜつつ攪拌します。

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これくらいの細かなペースト状になったらOK。

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ボウルに出し、塩、クミンパウダー、コリアンダーパウダー、カイエンペッパーを加えて混ぜます。

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さらにここから、ハンドミキサー(もしくは泡だて器)で生地を攪拌します。
まるでお菓子作りのようですが、本場の方のYouTubeのレシピ動画によると、生地に空気をふくませることで、タアメイヤがふわっとした食感に仕上がるようです。

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白っぽくなるまで攪拌したらOK。
ハンドミキサーがなければ、ベーキングパウダーを加えてもよいらしい。
(今回も少量加えてみました)

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タアメイヤを揚げるときのコロモを用意します。

今回は白いりごまと、コリアンダー。
コリアンダーは軽くつぶし、白いりごまと混ぜておきます。
(コリアンダーは固いので、日本のすり鉢だとあっちこっち飛ぶので、石臼タイプのすり鉢のほうがおすすめかも)

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手の平に水をつけてタアメイヤの生地を手に取り、小判サイズにまとめる。
両面にコリアンダー&白ごまを軽くつける。

タアメイヤの生地はけっこうやわらかく、コロッケのようなしっかりした生地を想像するととまどうかもしれません。

コリアンダー&白ごまをつけるときも、ひっくり返すと生地が崩れてしまうかもしれないので、片面だけ皿の上でつけて、裏側は手のひらで上から振りかけるとスムーズでした。

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中火で揚げていきます。

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外側がこんがりと茶色になるまで揚げます。

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ひとつつまみ食いしてみましょう。
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外側はそら豆自身がコロモになって、香ばしくザクザクした食感。

中身はほどよくふわっと空気を含みつつ、粒感があるクスクスのような舌触り。そして大量に入れた香味野菜がさわやかに香ります。小ぶりなので、ついつい手が進んでしまう美味しさ。

ゴマとコリアンダーはコロモというよりも、スパイスの役割といえるかも。


バンズとレタス、ゴマペーストを添えて完成。
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自分で組み立てるDIYバーガースタイルですね。
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バンズにレタスを敷いて豆コロッケをのせ、上から白ごまペーストをたっぷり。
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食べた感想:
本場では薄いピタパンにはさんで食べることが多いようですが、日本の甘めのバンズにもぴったり!
ザクザクしたタアメイヤに、クリーミーでスパイスのきいた白ごまペーストの相性は抜群。ヴィーガンバーガーとしても売り出せそうな、満足度のある一品です。


もう一品、1巻に登場して気になっていた「塩入りのコーヒー」も再現してみました。
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※【コマ引用】「平和の国の島崎へ」(濱田轟天/瀬下猛/講談社)1巻より

3巻ではすっかり店に馴染んでいる島崎ですが、ルパソで働き始めたころは、日本語の読み書きが十分にできないこともあり、クビ寸前のピンチに。

そのとき「1回だけボクのいれたコーヒーの味見をしてもらえませんか?」と作ったのが、このコーヒー。

モカ豆を独特の淹れ方で抽出し、塩をほんの少し加えて飲む、東アフリカのコーヒーの飲み方。
この一杯がマスターの心をつかみ、ルパソで引き続き働かせてもらえることに。

作中の説明を参考に淹れてみました。
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モカ豆をなるべく細かく挽きます。

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直火OKのコーヒーポットに挽いた豆を入れ、水を注ぎます。

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火にかけ、沸騰したら火を弱めて数分煮だし、火を止めて粉が沈殿するまでしばらく置く。

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煮出したコーヒーの上澄みをカップに注ぎます。

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塩をほんの少し。
(↑写真の量はちょっと多かったかもしれない)

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飲んだ感想:
細挽きの豆で煮だしたコーヒーは、苦みがあり濃厚! コーヒーが苦手な人にはきついかもしれません。

一方で塩を入れたおかげでモカ独特の酸味は抑えられ、すっきりと飲みやすいです。意外な組み合わせだけど、違和感がありません。

塩入りのコーヒーは、ルポタージュの傑作「もの食う人びと」でもエチオピアのエピソードに登場して印象に残っている飲み方でしたが、今回の再現で試せて嬉しい。


島崎がこうやってこの国に溶け込んでいく平和なエピソードばかり読みたい……けど、そうもいかない不穏さもこの作品の魅力。彼が戦場に戻る日はどんな風に訪れるのか、その先はどうなってしまうのか、今後も気になります。







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