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こちらもずいぶん前に再現したものですが、ようやく記事&動画をアップできました(YouTubeに動画上げたの2年ぶりくらいだ…)。

「鍋に弾丸を受けながら」3巻に登場する、ホットドッグ・アンド・フライ。
シカゴっ子の釣り友・ロブのおすすめ店の名物メニューとして登場するこの料理。

名前そのまんまで、シカゴスタイルのホットドッグの上にフライドポテトがどっさり乗った一品です。

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※【コマ引用】「鍋に弾丸を受けながら」(森山慎/青木潤太朗)3巻より

ホットドッグとフライドポテト、それぞれジャンクフード界に君臨するメニューでありつつ、そのふたつを掛け合わせたメニューを生み出してしまうという……ディスイズアメリカ。

日本では「ネタメニュー」の一言で終わってしまいそうですが、本作を読むと、きっちり全力でマジメに作ったメニューというのが伝わってきて、食欲がそそられます。カロリー方面に問題があるだけで、うまいに決まっとる!

このお店ですが、作中で店名は明記されていないものの、コマの絵からおそらく「Gene & Jude's」というお店だと推察されます。

お店の雰囲気と実物のメニューは、下記の動画が参考になります。




そして、ここのメニューを自力で再現しようとしている人のブログも見つけました。



日本でもひと頃、ラーメン二郎を「家二郎」として再現するブームありましたが、アメリカでも同じなんだな…とほっこりしてしまった。

作中のジュンタロー先生のレシピと上記のサイトを参考に、日本で手に入る材料で再現してみることにしました。

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材料:
・ビーフソーセージ
・ハラペーニョの酢漬け
・レリッシュ(ピクルスのみじん切り)
・ホットドッグ用バンズ
・イエローマスタード
・玉ねぎ
・じゃがいも
・サラダ油

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先ほどのサイトによると、再現のために使うべきはビーフソーセージ。
しかしポークやチキンと違い、ビーフ100%のソーセージは日本ではなかなかなく…。たまに見つけても、「こだわりの国産高級品」的な位置づけでジャンクフードっぽさが皆無だったり。

ネットでしつこく捜索をしたところ、ハラルフードのお店に輸入品の100%ビーフソーセージがあるっぽいぞ…!とわかり、新大久保の中東系輸入食品店の冷凍コーナーで無事発見。
(豚を食べない国ではわりとメジャーなのかしら>ビーフソーセージ)

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トッピング用の玉ねぎはみじん切りに。
お好みで水にさらして辛味を抜いても。

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ホットドッグ用のバンズですが、先述の再現サイトによると、「S'ROSENS」というメーカーの「Mary Ann」というバンズ商品が推奨されていました。

ただ残念ながら日本で取り扱っているところが見当たらなかったため、今回は「超熟」のバンズを使うことに。

ホットドッグ用のバンズに切り込みをいれるときは、上部に包丁を入れるのが一般的かと思いますが、今回は側面に入れます。これだけでもちょっと本場っぽい雰囲気が出ますね。

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じゃがいもは、アイダホポテトの代用として大きめサイズの男爵を。
拍子切りにしておきます。

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ポテトはカリカリになるまで揚げるのが鉄則。

ただこの後、バンズを温めたり、ソーセージを茹でたりとやることがたくさんあり、ポテトにつきっきりになれません。ホットドッグとポテトの完成タイミングを合わせることがキモなので、今回は慌てないよう二度揚げで仕上げることに。

段取りとしては、
①ポテトを下揚げする
②ソーセージを茹でる
③蒸し器でバンズを温める
④ポテトを二度揚げする
⑤ホットドッグを組み立てる
⑥揚げたてポテトを熱々の状態でのっける

みたいな感じで。
ホットドッグにこんなに真剣に取り組むの、あたい生まれてはじめてよ。

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下揚げはこれくらい。

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ビーフソーセージを2分ほどボイルします。

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蒸し器でパンを温めておきます。
パンの温めといえばトースターでやるもの、という先入観があったけど、蒸す方法もあるんですね。
蒸すと当然、バンズはふにゃっとします。

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ポテトの二度揚げをスタート。
水分が抜けて、枯れ枝のようにカサカサした音になるまで揚げます。

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ポテトを仕上げている間に、ホットドッグを組み立てていきます(コンロの状況に注意しつつ)。

蒸したバンズに茹でたソーセージをのせ、イエローマスタードをかけます。

ちなみにシカゴホットドッグの鉄則として
ケチャップはのせない
というのがあるらしい。

作中でも、
ケチャップをつけようとすると店員から殴られる
そしてこの場合 殴った店員をシカゴ警察は逮捕しない
という愉快なアメリカンジョークが紹介されています。

関西でも「たこ焼き・お好み焼きにマヨネーズはいらん」派が一部で強固に存在しますが、そんな感じなんだろうか。

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レリッシュ、ハラペーニョの酢漬け、玉ねぎをのせていき、

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仕上げにこの、カリッカリに揚がったポテトを、

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「したたる油も調味料」の精神で、網杓子でどばっと盛りつけます。

作中のレシピの解説にも
ホットドッグを油きり紙に使ってるような調理工程
とあります。

中華料理にも、蒸し物の仕上げに油を回しかけるような料理があるではないか。恐れることはない。

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仕上げに塩をパラっと。

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このままでもめちゃくちゃ美味しそうなんですが…

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参考サイトに、ワックスペーパーで最低30秒包めと書いてたので、従ってみます。

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包み紙で寝かせちゃったら、せっかくカリカリに揚げたポテトが死ぬのでは……という心配は無用。ちゃんと水分を飛ばして揚げておけば問題ないです。カリカリ保ってます。

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食べた感想:

カリカリサクサクのポテトに、ふわふわのバンズ。
レリッシュの甘酸っぱさにピリ辛のハラペーニョ、ジューシーなソーセージ。

こんなにジャンクが極まった料理なのに、ちゃんとした一品を食べた充実感。
市販のホットドッグに冷凍ポテトをのっけて…とショートカットで作っても、たどりつけない。「真剣に作ったジャンク」だからこその美味しさ。

シカゴっ子が誇りにするホットドッグの魅力と奥深さがわかった気がしました。

ジュンタロー氏の巻中エッセイには
中華料理を"油の芸術"とするなら、アメリカ料理は"油のプロレス"
という膝を打つような表現が出てきます。

世界の美食文化のなかでは何かと下に見られがちなアメリカのグルメですが、全人類の「美味しい」の根っこにブレーンバスターをかましてくるような、身もふたもなさが魅力かもしれない。





4巻は台湾ネタ満載。行きたい!




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