毎年恒例になってきましたが、2023年に読んで面白かったマンガを備忘録として随時まとめていきます〜。
(※2024/1に作品を追加)


大好きな「カラオケ行こ!」の続編ということで、ずっと楽しみにしていた作品。上京し大学生になった聡実くんのその後が描かれますが、タイトルどおり舞台はバイト先のファミリーレストラン。個性的な新キャラも登場しつつ、まだ上巻ではわからない背景もありそうで下巻が待ち遠しい。




ヘビーな内容が多い新井英樹作品は一般におすすめしづらかったりするけど、この新作はめちゃめちゃ楽しい&面白い!
自由奔放なカンナと、長身で奥手の冬子は、SMクラブに同時入店した女王様見習い。最初から才能を爆発させるカンナも魅力的だけど、徐々に自分を開花させていく冬子(元文学少女だけに言葉責めがすごい)の変化にゾクゾクします。個性豊かなM男の皆様も見どころ。




「ゆりあ先生の赤い糸」に続く入江先生の待望の新作は、50代主婦が免許(しかもMT車!)をとる話。自分の周囲を見ても、中年女性が免許を取得する、というのはそれだけでドラマに満ち溢れているシチュエーションで(たいてい、背景に「自由」への渇望があるのです)、もうこのテーマ設定だけで期待大。「謎のポルシェの女」など、単なる教車所奮闘記にならなさそうな展開も楽しみ。




桶、刀、畳などさまざまな江戸の職人の手仕事を描く短編集。はるか昔の江戸時代が舞台なのに、そしてモノクロなのに、まるで同時代にその場で見ているような、臨場感のある描写に息をのみます。「乙嫁語り」などハルタ系が好きな方には特におすすめ。




コロナ禍でテレワークとなったシステムエンジニアの残(のこる)は、ベランダでの会話を通じて、隣人の考古学を専攻する大学院生・奈津と出会う。ふたりの距離は徐々に縮まっていき…。テレワークの「あるある」ネタはもちろん、「あせとせっけん」の山田金鉄先生だけに、社会人の恋愛モノとしても安定の面白さ。




「ハコヅメ」の泰三子先生の新作は、日本の警察制度の父と呼ばれる川路利良を主人公にした幕末モノ。時代モノではありつつ、切れのあるボケとツッコミは健在。なかなか強烈なエピソードのある人物らしいので、どう描かれるのか楽しみ。


環と周 (マーガレットコミックスDIGITAL)
よしながふみ
集英社
2023-10-23

よしなが先生の16年ぶりの新作(え、そんなに間あいてたの?とびっくりした)。「環」と「周」という、輪廻や循環を想起させる名前を持つ夫婦・カップル・友人……さまざまな関係性のキャラクターを主人公にしたオムニバス。名作「愛すべき娘たち」は折に触れて何度も読み返してしまう短編集ですが、この作品も年齢とともに読み続けられる作品になりそうです。



2023年後半戦は本業の仕事が忙しすぎて、正直「頭を使うマンガ」「情緒を味わうマンガ」を楽しむ余裕がなくなり、積読が増えるばかりだった。そんなとき私の癒しとなったのが田中です。家庭人となっただけに、共感できるエピソードが増えたこともあるかも。このまま「特養アフロ田中」までいってもらい、人生を田中とともに歩みたい。




浅見先生といえば、ドラマ化もされた裁判所が舞台のお仕事マンガ「イチケイのカラス」。本作は雰囲気がガラリと一変。女性誌の「Kiss」連載ですが、男女問わずおすすめできる正統派クライムサスペンス。




前作「普通の会社員」のビターかつどこか爽やかなラストが印象に残っている冬野先生。新作もまた、東京のカルチャー界隈に生きるふたりの対照的な女性の恋愛を描きます。元売れない俳優で自由奔放なマリと、フードコーディネーターとして活躍する翠。仕事、恋愛。それぞれに悩みを抱えるふたりがもがく過程は、同世代の共感を集めるはず。




教師への思いを残して死んだ生徒、母子家庭にやってきた家庭教師、小学生3人組の恋と友情。爽やかな読後感のものから、じめっとしたほの暗い性の話まで、ゴトウ先生ならではの短編が並びます。短編の一部が物議を醸したそうですが、後書きの「でも、私はこういう漫画を描いていたいです」という言葉に、胸を打たれました。




東村先生が着物にどハマりしている、というのは他の作品の後書きなどで目にしていたけれど、ついにそのものがテーマの漫画まで! 業界として衰退の流れはありつつも、一定年齢になると一定数ハマる人が出てくるのが着物の世界。着るとテンションが上がるから、綺麗だから……といった理由だけでなく、そこにはおそらく、洋装とは別軸の「美しい合理性」の魅力があるからではないか、というのは本作を読んでも感じるところ。「着物警察の帯締め特捜部」など、あるあるネタも相変わらず秀逸。


霧尾ファンクラブ(1) (リュエルコミックス)
地球のお魚ぽんちゃん
実業之日本社
2022-12-15

クラスメイトの「霧尾くん」が大好きな女子2人の会話劇。舞台は学校ですが、二次元やアイドルに通じる、女子の推し文化の狂気と楽しさが伝わってきて最高。あと「女バス(バスケ部女子)」のヒエラルキー上位感はこの世の共通認識だったね…!というのも発見です。意外なラストに続きが気になる。



直近の「このマンガがすごい」「マンガ大賞」にランクイン&ノミネートで注目の落語マンガ。王道の少年ジャンプ展開でワクワクさせてくれます。落語をテーマにしたマンガは他にもありますが、劇中劇をどう描くか、音声表現をどう描くか、というところで、それぞれの作品に個性が出ているのが興味深い。


地元最高!(1)
usagi
彩図社
2022-08-29

SNSで話題のかわゆいウシジマくん。いわゆる萌え絵なんだけど整いすぎていない、そして記号的な感じが逆に怖さを増幅させてくる…。金・暴力・性のうち、3つ目だけあえて描かれないのが読みやすさの理由かも。




顔面に恵まれたイケメン・熱海くん。女子からの告白が止まない彼は男子が好きで、かつ惚れっぽい。美形だからか、他者からの好意に確信が持てない。ゲイだからか、自分の「好き」もうまくいきづらい。かといって深刻さはなく、おだやかな関西弁のやりとりが心地いい作品。



映画紹介マンガはありますが、実在の書籍をテーマにしたマンガは珍しいのでは。タイトル通り本の虫である小学生の主人公の日常を、「燃えよ剣」「父の詫び状」など古今東西の名著の紹介を交えて描きます。家族全員に読書を強制するスパルタじいちゃんのキャラがインパクト大。




女の子ふたりが、ただ散歩するだけ。なんでもない風景のわずかな違和感を発見し、地味に楽しむ様子に和みます。ミニマムによろこびを見つけられることのすばらしさよ。自分の住んでるエリアに近い場所が出てくると興奮しちゃう。


きつねとたぬきといいなずけ 1巻 (ブレイドコミックス)
トキワセイイチ
マッグガーデン
2021-02-10


平凡な社会人・田中の元を突然訪れたのは、高尾山から下りてきたという、しゃべるきつねとたぬき。田中を「許嫁(いいなずけ)」と呼ぶ不思議な二匹に困惑しつつも、心を通わせていく。パラレルで描かれる田中の日常と山の動物たちの生活にほっこり癒やされますが、ところどころに不穏な要素もあり続きが気になります。


過去分はこちらからどうぞ。




▽読者登録するとLINEで更新通知が届きます


▽Twitter(@pootan)はこちら


▽Instagram(@mangashokudo)はこちら
instagram_bn

▽YouTubeはこちら