「孤独のグルメ」「きのう何食べた?」も放送されたテレ東の金曜深夜枠で、谷口菜津子先生の「今夜すきやきだよ」がドラマ化されています。
「稼げるけれど家事ができない」内装デザイナーのあいこと、「家事が得意だけれど稼げない」絵本作家のともこ。両極端なふたりが、ひょんなことから一緒に暮らすことに。
生きづらさを抱えた女性ふたりが、互いの利益のために始めた疑似的な「結婚生活」。家賃は稼ぎ頭のあいこが多く払い、ともこが家事をこなして快適な家をキープ。そんなユートピア的な世界がいつまでも続くかと思いきや、そうはいかないリアルさがこの作品の面白さ。
恋愛に興味が持てないともこと正反対に、恋愛体質のあいこには、結婚したい彼氏がいる。
もしあいこと彼氏の結婚が決まり、女ふたりの同居生活が解消されれば、ともこは再び経済的に不安定な状態になってしまう。一方であいこは、彼氏が抱く「普通の結婚」と自分の理想のギャップに悩み始める。
誰かと暮らしたり結婚を考えたりするなかで、誰もがとらわれる「普通はこうする」「そういうものだから」から、自由になれるのか。ぶつかり合いながら、最後にふたりが出した結論にじんわりします。
そして「食のマニア」を自称する谷口先生ならではの、美味しそうなシーンの数々も見どころ。
いわゆるグルメマンガとは異なり、どれもさらりと登場するので再現するのに躊躇があったのですが、ドラマ第1話に登場した、豚の塊肉を8時間ひたすら煮込んだ夕食(8時間肉)が美味しそうで…。
※【コマ引用】「今夜すきやきだよ」(谷口菜津子/新潮社)より
切り分けたゆで豚を野菜で包んで食べるスタイルは、韓国料理のポッサムみたいな感じかなと想像しつつ、勝手に再現してみます。
材料は
・豚バラブロック(今回は500g)
・ネギの青い部分
・酒
・塩
今回は塩豚にしてから煮込むことにしました。
豚バラブロックの表面に塩をまんべんなくすりこんで、ラップをして2~3日冷蔵庫で寝かせる。
大きい鍋に水を塩豚、ネギの青い部分、酒をどぼどぼ入れ、肉が完全に浸る程度に水をたっぷりそそぎ、火にかけます。
中火で煮込み、沸騰したらとろ火に。アクが出てきたら時々すくいます。
1時間くらい煮込んだ状態。
煮込み続けると肉が表面に浮いてくるので、落とし蓋をしたほうがいいかも。水が減ってきたら、ときどき足します。ネギはどろどろになる前に引き上げていいかも。
今回は500g程度の豚バラだったせいか、5時間くらいでもうかなり軟らかく仕上がってしまった。ただせっかくなので、このまま8時間きっちり煮込んでみます。
8時間煮込んで引き上げた肉がこちら。
もう見るからにトロトロのふわふわで、トングでつかんだら崩壊してしまいそうなので、大き目の網杓子で慎重に引き上げました。
切るときも、もう「すっと包丁が入る」レベルではなく、繊維がほぐれるくらいにやわらか。
少し冷ましてからのほうが切りやすいかもしれない。
野菜盛り(今回はサンチュ、えごまの葉、白髪ねぎ、にんじんの千切り)、タレ、豚肉を煮たスープを並べたら、8時間煮込んだ肉パーリーの開始。
見るからにホロホロの豚バラ肉を…
野菜でくるんで、タレをのっけていただきます。
口のなかでほろっと崩れる豚バラ肉と、さっぱりサンチュに香味野菜の組み合わせが最高…!
手巻き寿司みたいに、少量のご飯も一緒に巻いて食べるのも美味しい。
そしてほんとに長時間シンプルに煮込んだだけの豚の塊が、どうしてこんなに絶品になるのか。料理は魔法、とは言い得て妙。
タレは2種類用意してみました。
・コチュジャンとすりおろしにんにく、ごま、砂糖、酢、しょうゆを混ぜたもの
・ごまペーストとすりおろしにんにく、砂糖、酢、しょうゆを混ぜたもの
(適当です…)
そして影の主役、豚スープ。
8時間煮込んだだけあって、まるでラーメンスープのようにしっかり豚エキスがとけこんでいます。味付けなし、コショウを振るだけでも十分おいしい。
この黄金色に輝く豚スープの残りで、ともこが翌日作ったのがカレー。これも美味しそうだったので、ついでに再現してみることに。
冷めると鍋の表面に白い脂が固まるので、取り除くとさらにきれいなスープになります。
(取り除いた脂は、カレーの玉ねぎ炒めるのに使っちゃいましょう)
豚スープにしっかり塩気がついているので、ルーではなくカレー粉で作るスパイスカレーにしました。
あっさりめのカレーに、トッピングした豚バラ肉の組み合わせがうまし。
しかし500gくらいの塊肉って、作る前は「こんなに食べられるかしら」と思うんだけど、いざ作ると毎回瞬殺なんですよね。次こそは1キロくらい仕込もう…。
ドラマ版も3話まできましたが、原作がうまく再構成されていて、蓮佛さん&トリンドル玲奈さんもイメージぴったりで、安心して見られます。谷口先生のイラストもちょこちょこ登場して楽しい。
主人公をあらたにした続編の「今夜すきやきじゃないけど」もおすすめです。
コメント
コメント一覧 (4)
梅本さんの再現料理、いつも楽しく拝見しています。
今回サイトを訪問して、「今夜すきやきだよ」の文字が見えていそいそと記事を拝見しました。
最近原作を読みドラマを見たのですが、トリンドル玲奈ちゃんも蓮佛美沙子ちゃんも彼氏のゆき君も心太との関係も原作とはちょっと違いますが、どちらもすごくいい作品だなと思っています。
料理もメインテーマの一つであることは間違いないのに、良い意味で料理が添え物というか作り方を説明したり作るシーンが続いたりもしないので、なかなか再現しにくいかと思いますが、また素敵な再現料理を見せていただけたらなぁと思います。
これからも頑張ってください。
さゆさん
はじめまして、コメントいただきありがとうございます!
ドラマ、原作とちょっと異なる部分はありつつ(特に男性キャラ)、骨子となる部分は忠実でとてもよかったですよね。
ドラマでは料理も目立つ形で登場したので、目が満足しちゃった部分はありますがw、機会があればまた作ってみたいです!
旨いけど予告でがっかりする分純粋に料理を楽しめなくなりそうです。美味しいけど
塩豚の薄切りにえごまと薬味とコチュジャンソースを添えると一瞬で韓国料理になりましたね
ポッサムっていいますが、あっちは煮込みが一時間程度なので歯ごたえは違う、になりそうではあります(旨いけど
ポッサムよりの楽しみ方をしたいのであれば、五時間位の段階でよろしいかもしれませんね
まーむさん
作品タイトルですき焼きメニューと勘違いしてしまった人がいたら申し訳ない^^;
(でもちゃんとマンガ・ドラマともにすき焼きのシーンも出てくるのでご安心くださいw)
確かに韓国料理店で食べたポッサムは、トロトロというよりも割と歯応えもしっかりあったかも。
1時間程度でいいなら、もっと気軽に作れそうですね!