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最近、商業ビルにライフスタイル用品やインテリアのテナントが増えたり、店内に雑貨コーナーがあるファッションブランドも増えたりしていますよね。服よりも雑貨を見る方が好きなので、こういうトレンドはちょっと嬉しい。

「雑貨店とある」は、そんな雑貨好きにおすすめの漫画。

飄々とした店長とクールなバイト男子が切り盛りする、こだわりの日用品と併設カフェのスイーツが売りのお店。そこに集うお客さんたちとの交流を描いた作品です。

あとがきによると、作者の上村先生も雑貨とカフェがお好きらしく、特に古民家系のお店が好みだそう。




私がこのマンガに心つかまれて単行本を一気買いしまったのは、1巻のプロローグのチョコレートパフェのエピソード。

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【コマ引用】「雑貨店とある」(上村五十鈴/芳文社)1巻より

「あのチョコレートパフェあります。」
と店頭に貼り出されたチラシ。

バイトの越湖君の
『あの』って何なんですか
という問いに、店長は
あのチョコレートパフェは『あの』こそ主役なんだよ
と禅問答のような回答。

そこにやってきたのは、一人のサラリーマン。
彼こそ「あの」の部分に惹かれてやってきた、自称「チョコレートパフェに一家言持っている」お客。

彼の前に到着したのは、フルーツや生クリーム、チョコレートソースでデコレーションされた、クラシカルな一品……まさに、昭和世代が思い出を共有する「あの」チョコレートパフェです。

エピソードでは、このパフェを堪能する男性の感情の起伏を一話丸ごと使って描いていて、読み終わると食べたくなってしまうこと必至。

ちょうど我が家には、以前↓「ホクサイと飯さえあれば」の再現で使ったパフェグラスがあるので、久々に引っ張り出して作ってみることに。




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さて材料です。

「あの」感を出すためには、昭和感のあるセレクトにこだわってみたい。

というわけで、アイスは当然ながらレディボーデンです。ハーゲンダッツが普及する以前、日本の庶民にとって「ちょっといいアイス」といえばこれだったのですよ、平成&令和生まれのみなさん。バニラとチョコを用意します。

あとは
・ホイップクリーム
・コーンフレーク
・みかんの缶詰
・さくらんぼの砂糖漬け
・りんご
・バナナ
・アーモンドチップ
・ウエハース
・ミント
あたりを揃えれば、組み立てるだけ。

せっかくなのでフルーツの切り方も、喫茶店の匠風にひと工夫を。
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りんごは「木の葉切り」で飾り切りに(ネットで切り方調べた)。

くし切りしたりんごの左右に斜めから包丁で切り込みを入れる、を繰り返します。↑写真みたいな感じのパーツができます。

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少しずつずらして重ねると、こんな感じに。
おお、意外と簡単なのになんかすごいゴージャス!

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バナナは1本を大き目に斜め切りし、変色防止にレモン汁を振っておきます。

あとオレンジはくし切りにして皮に切り込みを入れておきます。

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そして、お店でもよく見る三角形のウェハース。
調べたら「ファンウェファー」という業務用商品らしく、お取り寄せしてみました(100枚入りなので、しばらく家で食べ放題です)。




以上を持って、「あのチョコレートパフェ」を組み立てていきます。

↓工程は動画でもどうぞ。



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パフェグラスにチョコレートシロップを注ぎます。

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コーンフレーク、缶詰のみかんを入れる。

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ホイップクリーム、チョコレートアイス、バニラアイスの順に重ねる。
(動画ではチョコとバニラのアイスの順番間違えて、逆になっちゃいましたmm)

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ホイップクリームを絞り、フルーツ(バナナ、りんご、オレンジ)を飾る。
チョコレートシロップ、アーモンドチップ、ウェハース、ミント、さくらんぼをトッピング。

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Oh,昭和〜〜!
(そういえば最近、昭和スイーツもブームみたいですね)


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何から行こうか。

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まずはトッピングした果物をつまみつつ、生クリームの山を崩していきます。
作中のサラリーマン同様、気分はもはや冒険者。

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アイスの層に到達しました。

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二段構えのアイスがうれしい。

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冷たさで舌が麻痺してきたので、ウェハースで口直し。

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いよいよコーンフレークの層に到達。

作中では、世間のパフェにおけるコーンフレークの冷遇ぶりに異議を唱える男性の主張が描かれます。
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【コマ引用】「雑貨店とある」(上村五十鈴/芳文社)1巻より

「かさ増し」「いらない」と散々な言われようで、最近のおシャーン系パフェでレギュラーメンバーになることはほとんどない存在。

思い返せば、私も最近はコーンフレークを入れているようなパフェを、古臭いと鼻で笑うような態度があったかもしれない。反省。

久々に食べると、アイスやクリームの水分でしなっとした部分も、ザクザクした食感も、どちらもいい。

かさ増しなんてとんでもない、昭和のパフェの土台を支えているのは君だ。

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そしてパフェを愛するサラリーマンを陥落させたのが……底から発掘されたみかん!

アップルの発表会の「One more thing」的なやつ。
もしくはパンドラの箱の最後に残ったアレ的存在。

なんでもいいけれど、最後まで食べる側を満足させようとする、このサプライズが心憎いではありませんか(※自分で入れてるんだが)。

パフェはグラス一杯で楽しめる冒険であり、起承転結の物語でもある。そんな印象を抱いたエピソードと再現でした。

しかし最近流行のおシャーンなスイーツも、いずれは「古臭い」と軽んじられ、また昭和レトロのように持て囃されるようなサイクルができたりするんだろうか……。




食べ物の流行史については、畑中三応子さんの↓この本が面白くておすすめ(装丁も凝っててかわいい)。




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