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「薬膳」をテーマにしたグルメマンガでありつつ、病気で生きづらさを抱えた独身女性の前向きな一歩を描く「しあわせは食べて寝て待て」。



主人公の麦巻さんは、がむしゃらに働いていた状態から「一生付き合わなければいけない病気」になり、生活が一変。フルタイムで働けないことから会社にいづらくなり退社、今はデザイン事務所で週4のパート勤務をしている。

収入が下がったことで引っ越しを余儀なくされ、内見で訪れたのは古い団地。内見中、頭痛に悩む彼女に、隣に住む高齢の大家さんが差し出したのは、「生の大根」。ドン引きしたものの、いつのまにか頭痛はすっとおさまり――これが彼女と「薬膳」の出会いとなります。

再会した大家さんに食事に誘われ自宅を訪れると、キッチンにいたのは背の高い若い男性。彼こそ、その後麦巻さんを薬膳の世界に導く、司さんです。

しかし司さんは「風邪気味なのに、高齢者の家に食事に来るなんて非常識」と初対面の麦巻さんにピシャリ。恥ずかしさから思わず飛び出した麦巻さんに、追いかけてきた彼はスープジャーを手渡します。

そこに入っていたのは、肉団子のスープ。しょうががきいた鶏団子に、しめじや野菜の旨みがとけこんだ一品。この料理が、麦巻さんが団地で新生活を始める決意をするきっかけとなります。

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※コマ引用:「しあわせは食べて寝て待て」(水凪トリ/秋田書店)1巻より

健康なとき、病気になった自分や、それを取り巻く世界について想像できる人は少ないでしょう。「バリバリ働くこと」から不本意に、または意識的に降りた人の生き方を、この作品は少しだけ教えてくれる気がします。

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材料(2~3人分):
<鶏団子>※8~10個分
・鶏ひき肉(今回はももとむねのブレンド) 200g
・長ネギ 5cm分をみじん切り
・しょうが 1~2かけ分をすりおろす
・溶き卵 1/2個分
・酒 大さじ1
・味噌 小さじ1.5
・片栗粉 小さじ1.5
・塩 小さじ1

・にんじん 小1本
・しめじ 1/2株
・キャベツ 1/8
・レンコン 100gくらい
・昆布 2切れ
・薄口しょうゆ 適量
・塩 適量
・水 1000cc

作中にレシピはないのであくまでも想像です。
薬膳のルールから間違ってる部分があったらごめんなさいmm

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鶏ひき肉と塩をボウルに入れてよく混ぜる。

粘りが出たら、みじん切りしたネギ、すりおろしたしょうが、溶き卵、酒、味噌、片栗粉を加えてさらによく混ぜる。

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こんな感じになりました↑

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鍋に水と昆布を入れ、ゆっくり煮だします。

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煮出した昆布は一度引き上げ、食べやすい大きさにカットしておく。

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鍋の昆布だしを沸騰させ、ひと口大に丸めた鶏団子を落としていく。

鶏団子を丸めるときは、手のひらにごま油(分量外)をつけるとベタつかずきれいに仕上がります。

鶏団子が表面に浮き上がってくるまで煮て、アクをとります。

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ひと口大にカットしたにんじん、ほぐしたしめじを入れて20分ほど弱火で煮込みます。

このとき出たアクもすくっておきます。

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ざく切りにしたキャベツを投入し、柔らかくなるまで煮る。

キャベツが柔らかくなったころに味見すると、野菜の甘みがちゃんとスープに出ていることがわかります。

物足りなければ顆粒の鶏ガラスープを加えてもよさそうですが、今回は素材の味中心で仕上げてみたいので、薄口しょうゆと塩でシンプルに味つけ。

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仕上げに、皮をむいてすりおろしたレンコンを加えます。

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火が通ると、白っぽいレンコンが薄茶色になります。

軽くとろみもついたら完成。

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司さんがスープジャーを持って走ってくるシーンが好きなので、手持ちのスープジャーにスープを移してみる。

切っておいた昆布もこのときトッピングとして加えます。

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スープジャーから皿にうつしてみる。

…何の意味があったのか自分でもよくわからないが、なんか気分は上がったのでよしとする。

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居ずまいを正したくなるようなヘルシーさ。

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すりおろしたレンコンの、ゆるいとろみが何とも美味しそう。

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食べた感想:
しょうがの風味がきいた鶏団子は、味噌のおかげでうまみもしっかり。ちょっと大きめに丸めたので、食べごたえもあります。

味つけをシンプルにしたので、物足りないかな~と心配だったのですが、スープは野菜の甘み十分。甘みが出る野菜というと真っ先に玉ねぎを思い浮かべるけれど、にんじんやキャベツ、レンコンだけでもこんなに出るんですね。

ご飯はもちろん、パンとあわせても意外といけました。

トッピングした昆布は少し硬かったので、キャベツと同じタイミングで加えてもよかったかもしれない(やわらかい羅臼昆布とかなら、最後の仕上げでよさそう)。

何より、食べているときに「自分をいたわっている」感じがして、ゆるく前向きになれるのがいい。

薬膳というとクコの実やナツメが入っていたり、「特殊な材料を使う特殊な料理」というイメージが強いですが、旬の食材を使ったり、自分の体を意識したりする実践方法は、意外と普段から馴染みのあるものだとわかります。

しかし食材組み合わせのロジックはまるで方程式のようで、ちゃんと覚えようとするとこれがなかなか難しい…! 作品を読むなかで、ふんわりと理解していければいいな~と期待。





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