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先日4巻が発売された「九龍ジェネリックロマンス」。少しずつ明らかになっていく謎が気になって止められない一方、どう考えてもこの先には悲しい事実が待っている予感しかしない……。

シリアスな展開のなか、癒やしのひとつはやはり食べ物のシーン。

4巻で食欲をくすぐられたのが、令子と楊明がお店で食べていたポーローヤオ(菠蘿油)と香港式ミルクティー

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※【コマ引用】「九龍ジェネリックロマンス」(眉月じゅん/集英社)4巻より


ポーローヤオは表面はカリカリ、中はしっとりの菓子パン風スイーツにバターをはさんだもの。

ちなみにバターなしだと「ポーロ―パオ(菠蘿包)」という呼び名になるようです。香港式ミルクティーは、濃いめの紅茶にエバミルクを注いだドリンク。

ポーロ―パオは日本でも最近「台湾メロンパン」として取り上げられることが多いですが、元祖は台湾ではなく香港、というのは覚えておきたいところ。


本場の香港で食べてみたい……けれど、さすがに叶わない状況です。

都内に香港風の軽食が食べられる店があると何かで見たことを思い出し、調べてみたらずばり見つかりました。

飯田橋の香港贊記茶餐廳さん。

茶餐廳(ちゃさんちょう/チャーチャンテーン)とは、香港発祥の軽食や喫茶目的のカジュアルな飲食店のことらしい。

コロナですっかり隠遁状態だったのですが、所用で3か月ぶりに都心に出る予定ができたので、立ち寄ってみることに(※緊急事態宣言前のことですmm)。

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地下鉄の飯田橋駅から歩いて数分程度。

喫茶店のような店内を想像していたけれど、4人がけテーブルが中心でレストランっぽいです。でも雰囲気はカジュアルで、日本の中華料理店とは明らかに違う印象。本場の茶餐廳もこんな感じなのかなあ。

メニューにはサンドイッチなどの軽食のほかにも、点心や一品料理も充実していて、周囲のお客さんの多くが喫茶というより食事で利用しているようでした。

中国語が飛び交っていて、海外のような雰囲気にわくわく高揚しつつ、ポーローヤオと香港式ミルクティーを注文。

ちなみにポーローヤオとポーローパオ(それからエッグタルトも)はテイクアウトも出来ます。現在は緊急事態宣言中ということもあり、外食を控えたい方はご活用を。

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わー、ティーカップが作中に出てきたものにそっくり!(香港のエバミルクメーカーのカップのようです)

ふんわりしたパンに、たっぷり卵黄が塗られたクッキー生地がかぶせられています。

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中にはバターのスライスがどーん! 温かい状態で出てくるのも嬉しい。

いざ食べてみると、メロンパンほど甘すぎず、温められてふんわりしたパン生地と、クッキー生地のざくざくした食感、そこにバターの風味。シンプルかと思いきや、複合的な美味しさにハマってしまいそう。


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そしてさらにこの香港式ミルクティーが、すっごく美味しかった

私は牛乳が得意ではないのでミルクティーも普段飲まないのですが、これは牛乳くささがほとんどなくてぐびぐびいけます。エバミルクを使うのがポイントなのかな。ポーローヤオとの相性も抜群…!


あと余談ですが、メニューに港式鴛鴦があって感動。

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↑ちょうど照明が映り込んじゃったけど、「4.」の香港式コーヒーミルクティーの部分です。

昔よく通っていた実家近くの香港系レストランにこのドリンクがあって、点心にすごく合うのでお気に入りだったのです(自宅でも作れそうだけど、こういうのはお店で飲むから味わい深いのである)。

今回は飲めなかったけど、次回は注文したいなー。点心も食べてみたかったなー。と後ろ髪をひかれつつ、ポーローヤオをお土産に購入して退店。



長居を避け短時間しか滞在できなかったので、テイクアウトしたものを家でじっくり味わい&撮影することに。

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温かい状態だったので、持ち帰る間にバターが溶けてしまってたらどうしよう……と心配だったのですが、ちゃんとバターを別添えにしてくださっていました(ありがたやー)。

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ポーロ―パオにバターをはさめば、ポーローヤオに。

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家で食べてもほっとする美味しさ。バターをはさむ前にトースターで軽く温めれば、よりお店に近い味になりそうです。

ポーローヤオは中国語で検索すると本場のレシピも見つかるので、自宅で再現もできそうです。

パン生地にクッキー生地を重ねて焼く点は日本のメロンパンと同じですが、クッキー生地に卵液をたっぷり塗るのがポイントっぽい。



おともの香港式ミルクティーも再現したくてエバミルクを探してみたものの、近所の店には置いてないし、ネット通販でも大きなサイズしか見当たらず……(牛乳苦手だから、こんなに使い切れないしなあ↓)。




そんな時見つけたのが、牛乳を煮詰めれば市販のエバミルクと同様のものになるという情報。おお、試してみよう。

200ccの牛乳を火にかけて、沸騰しかけたら弱火に、吹きこぼれないよう注意しながらさらに煮続けます。
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半量程度(今回は100cc)になるまで、ときどきかき混ぜながらゆっくり煮詰めます。

半量くらいになると、ほんの少しとろみがつきます。
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牛乳の膜が浮いているので、念のため茶漉しで漉しておく。

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温めたカップにエバミルクを入れ、濃いめに入れた紅茶をたっぷり注ぎます。

本場ではセイロン系の茶葉がメジャーらしいので、それに合わせてみました。

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やっぱり牛乳臭さがなくて飲みやすい!

しかし紅茶を濃くしたのに、お店で飲んだものより色が薄くなってしまった。本場ではプーアル茶をブレンドすることも多いとか。プーアル茶ならもっと色も濃くできそうだなあ。


4巻で明らかになったことといえば、香港から九龍を訪れる際に蛇沼がグエンに注意する「九龍産の物は飲食禁止」という点。

黄泉戸喫(よもつへぐい)をはじめ、「異界の食べ物を食べてはいけない」というルールは古今東西の物語に見られますが、九龍においても同じなのでしょうか。

謎が明らかになったとき、作中の美味しそうな食べ物の意味も変わってくるのだろうか……と気がかりを覚えつつ、次の巻を待っています。


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