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クリスマス前のスーパーの雰囲気が好きです。

青果コーナーにはケーキ用のイチゴやちょっと珍しい野菜が並び、精肉コーナーでは丸鶏やブロック肉が大量陳列。チーズやワインも種類豊富で、いつもの安いスーパーもまるで成城石井のよう。

25日の夜には突然品揃えが180度変わって数の子とか蒲鉾だらけになり、なにこれ別の世界線…??ととまどう流れ含めて好きです。あの洋→和のあっけらかんとした急転換こそ、日本らしさなのかもしれない。

わが家も毎年クリスマスは「年に一度のガチ洋食祭り」という認識で、オーブンで肉を焼いたり、クラッカーにちまちま乗せたやつ出してみたり…と色々やってきました。が、そろそろネタも尽きてきたのが正直なところ。

きくち正太先生の食エッセイ漫画「あたりまえのぜひたく。」最新刊に、日本人のクリスマスの原点に立ち返るような料理が出てきて目を開きました。




それは、骨付き鶏もも肉の煮つけ

甘辛い醬油味の骨付き照り焼きチキンを、手に持ってかぶりつく。
ああそうだった。子供のころのクリスマスといえば、ご馳走といえば、これだったよ…!

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※【コマ引用】「あたりまえのぜひたく。-外食気分は昭和喫茶で。-」(きくち正太/幻冬舎)より

今でもスーパーのお惣菜売り場やお肉屋さんに置いてたりしますよね。

骨までしゃぶりつくすぐらい好きだったのに、何年も食べてないなあ。……と思ったら再現したくなり、挑んでみることに。

作り方:(分量は作品を参照してください)
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骨付きの鶏もも肉を用意します(作中では5本だったけど、鍋に入りきらなさそうなので4本です)。

普段はあまり見かけないけど、クリスマスの時期は立派なサイズのものがたくさん出ていてありがたい。

まずはこれを下ごしらえしていきます。
余分な脂や鶏皮、そして大きさをそろえるためにはみ出た部分をカットしていきます。
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下ごしらえのビフォーとアフター。
ちょっとスリムになりましたね。

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形をそろえるために切り取った正肉、鶏皮&脂は別にしてとっておく。
これはあとで「お楽しみ」として別の料理に変貌するのです。

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骨付き肉が並べられる程度の底の大きい鍋を用意し、そこに日本酒、みりん、濃い口しょうゆ、ざらめを入れて煮立たせ、タネを抜いた鷹の爪を投入。

このなかに骨付き肉を並べ、肉の八分目程度まで水を加え、火にかけて煮立たせます。

鍋をゆすって煮汁と肉全体を一度なじませたら、クッキングシートで落とし蓋を作り、さらに鍋のフタをして中弱火で30分煮込みます。

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煮込んだらこんな感じに。
ちょっと残念だったのが、骨付き肉のサイズが作中よりも大きすぎたようで、持ち手になる部分(脚の付け根の部分)が煮込んでいるうちにズルリとはがれてしまったこと。

もうちょっと短くカットすればよかった……。が、味に変わりはないだろうからまあいいか。

30分経ったらフタを外し、水あめを加えます。

再度フタ&落とし豚をして10分煮込んだら、そのまま冷まして味をしみ込ませます。

(完全に冷えると肉が固くなってしまうので、適度に冷ますか、食べる前に少し温め直すのがおすすめです)

付け合わせの野菜と一緒に盛りつけて完成。
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野菜は作中の絵から、プチトマト、蒸しブロッコリー、サラダ菜、ピーマンorパプリカ、セロリ、レモンと判断。

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(プチトマト、ピーマン、セロリは直前に氷水で冷やしておくとパリッとして美味しいです)

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てりってり!
(鍋底に皮が張り付いて、ちょっと形くずれてしまった)

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ああ、手に持ってかぶりつくこの感じ、懐かしい。

子どものころ食べた骨付き肉は冷えて固かった記憶があるけど、これはじっくり煮込んだせいか柔らかくて食べやすい。

骨についた肉までしつこく食べるクセは昔から直りません。

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子どものころはシャンメリーだったけど、大人なのでこういうやつで。
ワインやビールもいいけど、熱燗が確かに合う…!


さて、昭和のクリスマスのいいところは、このあとのお楽しみ料理にあります。
下ごしらえでとっておいたお肉と鶏皮で、2品できちゃいます。

【その1】焼き鳥
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まず、骨付き肉の煮汁の残りにしょうゆを足し、甘さを抑えるように調整します。
これを小鍋にとりわけ、煮詰めておきます。

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切り分けておいた正肉は串を打ち、深谷ネギをネギ串にします。

フライパンでまず鶏肉の串を焼きます。裏返す段階でネギ串も一緒に焼き、両面に焼き目がついたら煮詰めた焼き鳥のタレを加え、からめながら焼きます。

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ハンパ肉で作る焼き鳥!
きくち先生の説明では、骨付き肉5本から3本分の串ができるそうですが、今回はちょっと大きく切りすぎたのか、4本分から3本分とれました。

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炭火でなくても、フライパンで十分おいしい。
そしてこの甘辛いタレがめちゃくちゃうまい…!なんだこれ…!

【その2】鳥皮炒めと深谷ネギの親子丼
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お次はきくち先生の奥様が大好物という、鶏皮を使った親子丼です。

深谷ネギは斜め薄切りにし、鶏皮はフライパンでこんがり焼いて脂を出し、キッチンペーパーでぬぐっておきます。

脂を出すと肉がけっこう縮むので、親子丼は一人分かなあ。

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さきほど焼き鳥にも使った煮汁の残りを小鍋に加え、焼いた鶏皮を加えて5分ほど煮ます。

薄切りにしたネギを加えてさっと煮、溶き卵を加えて半熟に仕上げたら丼ごはんの上へ。

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三つ葉を散らしたら完成。

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とろとろ半熟の卵にプリプリの鶏皮。カロリーは爆高だろうけど、それに見合う味です。

そしてこれもタレがめちゃくちゃ美味しいのだが…!しっかり甘辛くて、鳥の旨味が引き立つようなたれです。

下ごしらえで余った端肉だけでなく、煮汁のリメイクとしても秀逸なおまけレシピ。さすがきくち家の料理です。

クリスマスだからといって浮かれる歳でもないし、がっつり洋食もそろそろキツい。
そんな境地に達した方こそ、クリスマス当日もアフターも楽しめる「昭和のごちそう」で楽しんでみてはいかがでしょうか。





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