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タイトルのインパクトで手に取って、面白くて一気読みしてしまった「セクシー田中さん」。

そこに登場するペルシャの煮込み料理、フェセンジュンを再現しました。異国のマンガ飯が続きます(たのしい)。



主人公の朱里は23歳、合コンでも百戦錬磨のふんわり系愛され女子。若さと可愛さという今しかない自分の武器を知り、幸せよりも「不幸にならないこと」を計算しながら生きる彼女は、どこかむなしさを感じている。

そんな朱里が最近気になっているのが、「経理部のAI」と呼ばれる独身アラフォーの田中さん。

地味で老け顔、愛想もない田中さんは社内でも浮いた存在で、若い女性社員たちからは「論外」呼ばわりされている。しかし朱里は、彼女のボディーラインがやけに美しいことに気づく。

ある日、女子会で訪れたペルシャ料理店で始まったベリーダンスショー。
そこで妖艶に踊るスタイル抜群のダンサーが「あの田中さん」だと朱里は知る。その日から、朱里は田中さんのファンとして彼女の人生に絡んでいく。

田中さんは超人ではないし、眼鏡を外せば実は美人でモテモテ、というよくあるキャラでもない。ベリーダンスのステージでは輝いても、表の生活では人と関わることが苦手なまま。

ただひとりで生きる覚悟を持って、自分の力で居場所を見つけている。そんな田中さんに、朱里をはじめ周囲の人々が影響を受け、変容をとげていく。

もしかしたら自分も変われるんじゃないか、と自然に思えるようなストーリーがとても心地よく、勇気づけられる作品です。


フェセジュン」は作中にたびたび登場するペルシャ料理。
聞きなれない名前ですが、ザクロペースト、チキン、くるみを煮込んだ甘酸っぱいシチュー、とのこと。

田中さんがダンサーとして舞台に立つペルシャ料理店「サバラン」の名物料理でもあり、田中さんは自宅でも作っているよう(自由が丘に同名のお店があるけど、モデルなのかな?)。

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※【コマ引用】「セクシー田中さん」(芦原妃名子/小学館)1巻より

中東料理はケバブやフムスあたりはメジャーになったけど、まだまだ日本人にとっては未知のメニューが多くて料理のフロンティア感があります。くるみを煮込む、という発想がそもそもないですもん!

合コンきっかけで朱里と因縁のあるこじらせ銀行員、笙野。
ひょんなことから田中さんと知り合った彼も、自宅でこのフェセンジュンに挑戦するシーンがあります。

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※【コマ引用】「セクシー田中さん」(芦原妃名子/小学館)1巻より

その美味しさに感動しながら、ベリーダンサー姿の田中さんを見て暴言を吐いてしまったことを反省。やはり料理ってのは、異文化理解の糸口として優秀なのかもしれない……。


フェセンジュン(Fesenjoon /Fesenjan)のレシピは英語で検索すると色々出てきますが、肉やくるみを入れるタイミングなど、作り方は結構バラバラ。

要は「炒めたタマネギと挽いたくるみと肉とざくろペーストを煮込めばそれでOK!」みたいな感じで、そんなに細かく気を使わなくてもいいのかも。


作り方は動画でもどうぞ。

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材料:(4~5人分くらい)
分量は、笙野さんがスマホで見ていたネットのレシピの分量を参考にしてみます。

・鶏もも肉 500g
・玉ねぎ 大1玉
・くるみ(無塩) 170g 
・ざくろペースト 大さじ2
・砂糖 大さじ2

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こちらがざくろペースト。



私は↑の通販で購入しましたが(いろいろ探したけどペーストタイプはここしか見つからなかった)、もし手に入らなければ、↓のようなさらっとしたソースタイプや、100%のざくろジュースを使って水・砂糖の分量分を置き換えてもいいんじゃないかと思います。




あと味見した感じでは、プルーンエキスのような甘酸っぱい濃縮果汁でも代用できそう。

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くるみはフードプロセッサーでパウダー状にします。
フープロがなければ、すりこぎですったり、ジップロックなどに入れてめん棒でごりごりやっても同じようになるかも。

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玉ねぎはみじん切りに。

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鶏モモ肉はひと口大にきって、塩コショウ。

今回は田中さんや笙野さんのような勤め人でも手軽に作れるよう、ワンフライパンで調理します。
(お好みで煮込む工程からは鍋に移しても~)

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フライパンに油をひいて熱し、鶏もも肉の表面がかりっとするまで焼き(中まで火が通らなくてOK)、いったん引き上げます。

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同じフライパンに玉ねぎを入れて、中強火できつね色になるまで炒めます(多少焦げてもOK)。

そこにくるみパウダーを入れ、くるみから少し油分が出てしっとりする程度に炒めます。

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水500ccを加え、ざくろペースト、砂糖を加え、沸いたら弱火にしてフタをし、30分ほど煮込みます。

フェセンジュンの料理写真を調べると、薄茶色のものからこげ茶に近いものまでさまざまですが、仕上がりの色はざくろペーストの分量(&煮詰める時間)で決まるようです。

今回の分量だと薄茶色くらいに仕上がるので、お好みでペーストの量を増やしたりするといいかも。

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焼いた鶏もも肉をフライパンに戻し、さらにフタをして時々混ぜながら弱火で1時間ほど煮込みます。

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途中で水分が減って煮詰まってきたら、ここで最終的な味の調整。
もうちょっと甘酸っぱさを足したかった&色をつけたかったので、ざくろペーストと砂糖を追加で入れました。最後に塩を適量加えます。

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鶏肉がほろほろになってきたらOK。

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サフランライスも作ります。
サフランはあらかじめ水につけて色出ししておき、タイ米と一緒に炊く。

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炊きあがったらお好みでバター、塩少々を入れて混ぜる。

盛りつけていただきます。
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食べた感想:
ほろほろに煮込まれた鶏もも肉に、くるみのつぶつぶ感が残る濃厚でフルーティなソースがからんで、鮮やかなサフランライスと一緒に食べたら、もう、もう……と言葉が出ない。めちゃくちゃ好みの味!クセもないので、意外と誰でも食べやすいんじゃないでしょうか。

本場のレシピでは、煮込む際にターメリックやシナモンなどのスパイスを加えることも多いようなので、次回から試してみたいな。


こちらは笙野さん風食卓コーディネート(単にビール足しただけ)。
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しかし田中さんも笙野さんも、仕事帰りにこれを作ろうとするってなかなかのもの。
田中さんは将来海外でのベリーダンス修行を目指しているくらいだから納得だけど、未知の料理にいきなり挑む笙野さん、保守的なようで意外とチャレンジャーなのかも?

3巻では笙野さんがまさか!!の行動に出たこともあり、今後の展開にわくわくです。





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