「女の子の食卓」「おいピータン!!」など、女性誌には昔から食のショート漫画の名作が目立ちますが、この作品も末永く続いてほしいシリーズです。
ヨコイエミ先生の「カフェでカフィを」は、タイトルどおりカフェや自宅、職場、自販機の前などなど、さまざまな「お茶のひととき」をテーマにしたオムニバス漫画。
「お茶をする」というのは、他愛ないおしゃべりをしたり、真面目な打ち明け話をしたり、ひとりで考え事をしたり……とシーンもさまざまで、もしかしたら三度の食事よりもドラマ性豊かなシチュエーションなのかもなあ、と気づかされます。
前に出てきたキャラクターが次のエピソードでは主役になったり、何話かを重ねて進展していく人間関係があったり、個々の短編がつながっていく構成も楽しいです。
あと、まるで喫茶店で隣の席の会話を盗み聞きしているかのようなセリフの妙も魅力。
特にお気に入りは福祉会館の談話室に集う漫画好きおじさんたちの「三爺マンガ同好会」シリーズ。ああいうご年配グループの会話って、ツボに入るといつまでも聞いていたくなりますよね…。
今回は3巻で気になった喫茶店メニューがあったので再現しました。
エピソードの主人公はエッセイストの女性。
依頼を受けている原稿が書けず悩むなか、気分転換に入ってみたのはずっと気になっていた古い喫茶店。
そこで彼女がオーダーしたのは、「本日のホットサンド」のニラレバサンド。
ニラレバは「本日の日替わり定食」で、明らかにこれを流用して作っているメニューのよう。
※【コマ引用】「カフェでカフィを」(ヨコイエミ/集英社)3巻より
トンカツや焼き肉、ハンバーグなどをはさんだおかず系サンドイッチは珍しいものではないけれど、ニラレバは初耳。味に保守的なタイプなら頼むのを躊躇しそうなメニューです。
セットのコーヒーもカップとソーサーの柄がバラバラで、どこまでもゆるいこの喫茶店。
でも「店選び、外したな」なんて思わず、主人公がどこか面白がっている様子なのは、やはりモノカキの性でしょうか。
肝心のニラレバサンドの味ですが、
意外…美味しい
入ってる炒り玉子がニラレバとパンをつないでる
パンにしみたタレもいい
と、作中では意外に高評価。
果たしてどんな味がするのか試してみました。
材料:(分量は参考まで/2人分)
・鶏レバー(今回のはハツ付きだったのでそのまま一緒に) 100g
・ニラ 1/2束
・たまご 2個
・にんにく 1かけ
・しょうが 1かけ
・8枚切り食パン
・バター
<下味用>
・しょうゆ 小さじ1
・みりん 小さじ1
・片栗粉 小さじ2
<合わせ調味料>
・しょうゆ 小さじ1.5
・砂糖 小さじ1.5
・塩 少々
※ニラレバは土井善晴先生のレシピを参考にしてます(シンプルでおいしい!)。
作り方:
鶏レバーは洗って水けをふき、薄く切ってからしょうゆ(小さじ1)、みりん(小さじ1)で下味をつけ、片栗粉(小さじ2)を絡めておく。
卵は割りほぐして、塩・砂糖で味をつけておく。
中華鍋に油を多めに入れ、卵を半熟状態に火を通して皿に取り出す。
中華鍋に再度油を入れて熱し、にんにくとしょうがのみじん切りを入れ、香りが出たら鶏レバーを入れて炒める。
表面に焼き色がついたらざく切りにしたニラを加えでざっと炒め、焼いておいた卵を鍋に戻し、合わせ調味料を入れて全体にからめる。塩で味をととのえて完成。
ニラレバの完成です。
甘辛く炒めたレバーにふわふわの卵がおいしい。
玉子入りのニラレバって作るの初めてだったけど、やさしい味になってなかなかいいな。
家族がレバー食べられないので、半分は夕食として食べて、残りを翌日のホットサンドに使うことにします。
8枚切りの食パンにバターを塗って、上にニラレバをたっぷり乗せ、ホットサンドメーカーではさんで焼き上げます。
見た目はあんまり違和感ないですね(ニラが切りづらくてあちこち飛び出してしまいましたが)。
食べた感想:
主人公の感想どおり、炒り玉子が甘辛いニラレバとパンとのつなぎになって、意外にもなかなかいける味。
考えてみたらレバーペーストという存在もあるし、パンとレバーの相性は悪いはずがない。唯一、ニラがご飯の方向に手招きしているので、よりパンとなじませるならニラは少な目にしてもいいかもしれないなー。
「カップとソーサーの柄が違う」コーヒーも再現してみました。この適当さ、なんだか笑ってしまう。
ニラレバサンドとコーヒー、一緒に食べると確かに微妙。むしろビールと一緒に食べたい。でもこういうこってりした食後には、やっぱりコーヒーが欲しくなっちゃうんだよな。
主人公が喫茶店で思い出していた、ニラを買いに行ったまま逃げてしまった元恋人。
別のエピソードに、主婦のニラを持ち逃げする謎の中年ナンパ男が登場しますが、やはり同一人物……なんでしょうかね。
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