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「恋は雨上がりのように」の眉月じゅん先生の最新作「九龍ジェネリックロマンス」。

舞台は「ジェネリック地球(テラ)」と呼ばれる新天地の開発が進む架空世界。
香港・九龍の小さな不動産店で働く鯨井令子は、同僚の工藤にひそかに思いを寄せている。しかし工藤には別の女性の影が……。

異国を舞台にした大人のラブストーリーかと思いきや、1巻のラストで衝撃の展開を迎えて、2巻を心待ちにしていた人も多いのではないでしょうか。

SFと恋愛、謎めいた展開とさまざまな要素が混在して今後も目が離せませんが、眉月先生のインタビューによると(下記記事)、九龍城砦のような街を描いてみたかった、というのが本作のきっかけになっているそう(「クーロンズ・ゲート」、私も世代なので懐かしい…!)。そしてその言葉どおり、街やそこでの暮らしの描写が本当に魅力的なんです。



迷路のような路地、誘惑だらけの食堂街、雑多な人々が暮らす小さな部屋。東アジアの街で感じる、猥雑で自由な空気が愛らしく描かれていて、旅心が誘われてしまう。

「鯨井令子」は何者なのか。工藤の元婚約者とは誰なのか。

2巻でも謎はまだまだ深まるばかりですが、おいしそうな食のシーンの数々にも食欲をくすぐられます。

特に頭がいっぱいになってしまったのが、新キャラの全身整形美女・楊明と令子の女子会に登場した、この山盛りの香港レモンチキン。

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※【コマ引用】「九龍ジェネリックロマンス」(眉月じゅん/集英社)2巻より

サクサクの唐揚げに、甘酸っぱいレモンソースが染み染みに絡んだ魅惑のメニュー。
これを一心不乱にむさぼる楊明と令子の描写がまた印象に残ります。

世の中レモンブームらしいですが、私も料理名に「レモン」とついていれば脊髄反射で注文するくらいレモン料理大好き。

本場では「西檸煎軟雞」とか「西檸雞」というようで、唐揚げやレモンソースの作り方も種々様々。YouTubeやWEBサイトで中国語圏の方が公開しているレシピを参考にしつつ、再現してみました。

ただ、まだまだ研究の余地がありそうなので以下のレシピは暫定版です。


↑手順は動画でもどうぞ。

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材料:(たっぷり食べる前提で2人分)
・鶏もも肉 500g
・沈殿片栗粉 大さじ3+同量の水
・片栗粉 大さじ5
・サラダ油 適量

★下味用
・酒 大さじ2
・塩 小さじ1
・砂糖 小さじ1
・ごま油 大さじ1
・しょうゆ 大さじ2
・卵液 1/2個分

★レモンソース用
・レモン 1個(小ぶりのものなら2個)
・水 大さじ2
・はちみつ(砂糖でもOK) 大さじ2~3
・塩 少々
・片栗粉 (小さじ1+倍量の水)

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鶏もも肉はやや大きめのそぎ切りにし、ボウルに入れて酒、砂糖、塩、ごま油、しょうゆ、コショウを入れてよくもみこみ、卵液を加えてさらにもみこむ。

このまま30分ほど寝かせる。

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レモンの皮をすりおろし、果汁をしぼる(タネは取り除いておく)。
絞り終わったレモンは、仕上げのトッピングに加えるため薄く輪切りにしておく。

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さて、唐揚げにはコロモのつけかたに色々流派があります。

コマ画像からするとコロモ厚めのビジュアルなので、昔の中華料理屋さんっぽく卵を多めにしてみたりしたのですが、そうするとザクザクした食感にはなりにくいんですよね(私のやり方がイマイチなのかもですが…)。結局卵液は控え目で、片栗粉をしっかりつける方法に落ち着きました。

辻調理師さんのレシピによると、片栗粉は「沈殿片栗粉」と通常の片栗粉を分けて加えると食感よく仕上がるとのことで、参考にしてみました。

沈殿片栗粉とは、片栗粉を同量の水で溶いてしばらく置いてから、上澄みの水を捨てたもの(要するに湿らせた片栗粉?)。

これをまずつけこんだ鶏肉全体にからめてなじませる。

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その後通常の片栗粉を2~3回に分けて加え、表面で粉がふくようにさっくり全体に混ぜる。

これを二度揚げします。
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まずは160度の低温の油で2分ほど。一度引き上げ、しばらく休ませてから油を180度に上げ、2分ほど表面がからりとするまで揚げる。

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レモンソースを作ります。
フライパン(or鍋)にレモン汁+水を入れ、レモンの皮、はちみつ、塩少々を加えて火にかける。煮立ったら水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。

揚げたての唐揚げをソースに入れてからませ、輪切りレモンを加えたら完成!

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日頃は健康を考えて少量しか食べないようにしている唐揚げも、今日はがっつり食べるぜ、という決意の表れ。

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おともはライチ酒。
氷と一緒に水orソーダで割って、真っ赤なさくらんぼをトッピングしたら、なんだかガーリーな一杯に。

私は↓のリキュールを使いましたが、DITAとかのほうが手に入りやすいかも。


茘枝酒 [ リキュール 500ml ]
キリンビール
2017-02-21



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食べた感想:
読んでからずっと食べたくて食べたくて仕方なかったレモンチキン…!
ご飯も副菜も不要、山盛りのこれをライチ酒と一緒にガンガン食べるのみです。

二度揚げのサクサク唐揚げに甘酸っぱいレモンソース。
うう、最高。
最高すぎて二週連続作っちまったよ。

今回はたくさん食べられるようさっぱり目にしたけれど、香港ではレモンソースの仕上げにバターを加えるのも定番のようです。よし今週も作ろう!(増量)


心ゆくまでむさぼって満足したはずだけど、いつか本場でレモンチキンを食べてみたい、という気持ちはおさまらない。そして今、それが難しいことを知っているのでなんとも暗い気持ちになる。

本作と香港の現状はリンクするものではないのだろうけど(そもそもSFだし)、「皆クーロンに恋してるんだ」という作中の言葉は、切なく複雑に響いてしまった。

ジャッキー・チェンやチャウ・シンチーが駆け抜ける香港、ウォン・カーウァイが撮った恋する香港、その魅力が「懐かしいもの」にならないことを今は願うしかない。





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