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先日約10年ぶりの引っ越しをしまして(といっても徒歩数分圏内)、転居後もトラブルがあって落ち着かなかったのですが、ようやく生活が整いました。というわけで久しぶりの更新です(SNSからも遠ざかっていたので、ご心配いただいた方申し訳ありませんm_ _m)。


冷蔵庫の野菜室をあけたら、見覚えのあるラインナップが広がっていました。
ごぼう、プチトマト、白菜、セロリの葉っぱ…。

あ、これ「おかめ日和」2巻で、やすこさんが作ったバイキング風夕食の食材だ!

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【コマ引用】「おかめ日和」(入江喜和/講談社)2巻より

ある日、冷蔵庫の中を見て激怒する先生(やすこさんの夫)。
食材の管理がなっていないと憤慨し、1日でも期限が切れた食材は捨てるようやすこさんに宣告します。

これまでもその面倒くささをいかんなく発揮してきたキングオブ面倒キャラの先生ですが、食材を無駄にすることは絶対許さないマンであると同時に、賞味期限切れを絶対許さないマンでもあります。

かくしてやすこさんは「食材を無駄にしない」ことを誓わされつつ、「食材をガンガン捨てる」アンビバレンツな行動の罪悪感で目を回すことに…。

先生、賞味期限と消費期限は違うのよ…。
うちなんて賞味期限1週間は実質1か月だと思ってるし、賞味期限2年のはちみつなんて永久不滅食材だと思ってるよ…(それもどうか)。


さて、やすこさんが当日中に使い切らないといけない食材は、

・白菜1/8株
・新ゴボウ2本
・セロリの葉っぱ
・レタス1/2
・プチトマト
・ナス2本
・うどん2玉
・かまぼこ1/2
・豚バラ薄切り
・玉子

これを1日で全部消化する献立を組め、と言うのはなかなか家事力を試される問題です。
真っ先に思いつくメニュー「鍋」はポン酢が苦手な子どもたちに不評だし、家族の好みはバラバラ。

普通ならちゃぶ台をひっくり返して一筆書いて家を出ていいところですが、やすこさんは「母神」なので家族全員が満足する方法を探ります。

そのアンサーとして出した献立が秀逸なのです。

その答えとは、バイキング風献立

・うどんすき風鍋(かまぼこ、白菜、玉子、うどん)
・新ゴボウのかき揚げ
・カレーチャーハン(豚バラ薄切り肉、セロリの葉っぱ、コーン缶)
・レタス、プチトマトのサラダ

(※ナス2本はお昼の天丼に使ったようです)

これでみごとにノルマの食材を全消化!

自分も献立を考えるとき、「炭水化物が被る…」とか「和洋中でジャンルがバラバラ…」とか無駄に悩みがちなんですが、それもこれも「バイキングスタイル」と言い切れば、一気に「アリ」になっちゃうのが面白い。

そんなやすこさんのアレンジ力に敬意を表して再現してみます。

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作中と同じ食材がこちら。
かまぼこやうどんなんかは買い足しました。

まずはうどんすき風の鍋から。
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鍋に水を入れて火にかけ、うどんスープの素を入れます。
白菜を入れてしばらく煮込み、

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かまぼこ、玉子(落とし玉子)、うどんを入れてしばらく煮て完成。
しかしこれまであんまり使ってなかったけど、うどんスープの素って便利だな…。


次はカレーチャーハン。
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セロリの葉と茎は細かく刻みます。
コーン缶は汁気を切り、豚バラ肉は細切りに。

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フライパンに油を入れて、豚バラ、セロリの茎を炒め、火が通ったらコーン、セロリの葉を入れてざっと炒め、塩コショウする。

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ご飯を投入し、カレー粉を入れて炒め、塩コショウ、ケチャップとウスターソースを少量入れて味つけ。


あとは新ゴボウのかき揚げ、レタスとプチトマトのサラダを並べて完成。
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大皿にドカンと盛ると、よけいにバイキングっぽい!

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【コマ引用】「おかめ日和」(入江喜和/講談社)2巻より

うどんすき風の鍋なら、酸っぱいポン酢をかけなくてもいいので子供たちも喜んで食べてくれる、という趣向。かまぼこと野菜のシンプルなうどんも、鍋にすると大人も箸が進みますね。

今回は落とし玉子にしたけど、卵とじ風にしてもよかったな。


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【コマ引用】「おかめ日和」(入江喜和/講談社)2巻より

子供向けに甘口に仕上げたカレーチャーハン。
コーンの甘みもあって食べやすいし、具だくさんで残り物消化と思えない味に。


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【コマ引用】「おかめ日和」(入江喜和/講談社)2巻より

新ゴボウのかき揚げ(すみません、作るところの写真撮り忘れました…)。
ささがきにして、天ぷら衣にまとめて揚げただけ。
作中にあわせて、作り置きを温めたものです(事前に食べてしまったので量が少ない)。

ここからバイキング献立ならではのお楽しみも。
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【コマ引用】「おかめ日和」(入江喜和/講談社)2巻より

おじいちゃんがうっかり新ゴボウのかき揚げをうどんに落としたことで生まれた、天ぷらうどん。
うどんに天ぷらが乗っかれば、もうそれは問答無用でご馳走です。

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【コマ引用】「おかめ日和」(入江喜和/講談社)2巻より

こってり好きの雄大が作ったのは、カレーチャーハンの上にレタス、かき揚げを乗せて、上からマヨネーズをかけた「高カロリーマイルドカレーチャーハン」。

周囲の男子の羨望を集める魅惑のチャーハン…。
雄大、幼稚園児にして料理でこんなクリエイティブを発揮するとは…恐ろしい子!

やすこさんの創意工夫が伝わったのか、普段こういう「変化球献立」にうるさい先生も、なにげに今回の食卓を楽しんでいるのがわかります。


完結して久しい「おかめ日和」ですが、漫画アプリの無料連載などで、また新しい読者が増えているのを感じます。

一時は先生の「モラハラ」描写を理由に低評価レビューが続いたり、SNSでも一部のネガティブな切り出しで話題になったりしました。

「おかめ日和」は人生で惚れ込んだ作品のひとつなので世間で変に曲解されるのは悲しい…のですが、「今の目」で読み直すと、先生の暴力的なキャラクターを受け付けない人が多いのも、正直理解できます。あまりにもリアルだからです(ただそのリアルさ、人物像の一貫性こそ入江作品の魅力です)。

一方で興味深いのが、やすこさんと先生の馴れ初めが描かれる物語の後半になるほど絶賛するレビューが増えていくという現象です。

私は物語は「単純に断罪できないもの」を描くことができるもので、「おかめ」もそういう夫婦の物語だと思っています(もっといえば「見放された人間が救われる可能性の物語」とも思っています)。

なのでぜひあの感動的な最終巻まで読んでいただきたい…のですが、先述のとおり暴力的な描写を受け付けない人もいるのは理解できるので、「無理のない範囲で…」と添えておきます。

なんか真面目に書いてしまいましたが、ちょっと前に手に入れた入江喜和先生の30周年同人誌で、亀田家の子供たちの成長後の姿が見られて最高じゃったーーー!!(雄大が、雄大が超イケメンなんです!!)というオチで。

kiwabon




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