ひさびさに「ダンジョン飯」の再現に挑んでみました。
7巻で、何気ないけれどツボに入った料理がありまして。
ハーピーの卵をポーチドエッグにし、コカドリスの卵黄ソースとともにパンに乗せた魂のエッグベネディクト。
「魂と卵」の比喩について考察しながら、センシは食材としての卵の類稀な性質について熱弁します。
温度やあわせる材料で自在に変化する。料理を選ばず、万国共通で愛される味。
値段や希少性といった先入観を抜きにすれば、「世界最強の食材」はやはり卵なんじゃないでしょうか。「魂」に例えられるのも道理千万。
それはさておき、私がぐっときたのは、センシがエッグベネディクト用のパンを切るシーンです。
使われるのは「ダンジョン飯」でおなじみの、ちぎりパンのフォルムをしたあのパン。
センシはこれを、横にスライスしちゃうんです。
※【コマ引用】「ダンジョン飯」(九井諒子/KADOKAWA)7巻より
ちぎりパンをちぎらない男…!
もともとパーティーのなかで付き合うならセンシ一択派ですが、このシーンでさらに好きになってしまったのでした(7巻はセンシの過去が明らかになるエピソードもありましたしね)。
それはそうと、ちぎりパンを横に切ると、もこもこした雲のようなかわいい断面になる、というのも知らなかった事実。
九井先生が忍ばせるこのさりげない「食」のセンス、相変わらず最高です。
作り方:
それでは再現していきましょう。
作り方は動画で見ていただいたほうがわかりやすいかもです↓
以前同じようなダンジョン飯のちぎりパンを再現したときは、天然酵母から起こしてがんばりましたが、パンこね苦手&ちょうど指先をケガしてしまったこともあり、今回はホームベーカリー様にお任せします。
▼以前のちぎりパンレシピはこちら
ケースに
・強力粉(250g)
・スキムミルク(6g)
・砂糖(15g)
・塩(5g)
・バター(10g)
・水(190cc)
を入れる。
さらに
・ドライイースト(3g)
をセットし、パンこねモードで一次発酵までお任せ(うちはちょい昔のパナソニックのHBです)。
一次発酵が終わったら、打ち粉をした台に生地を取り出し、ガス抜きをして16等分する。
16等分した生地を丸め、固く絞ったふきんをかけて10分休ませる。
休ませた生地を再度丸めなおし、スキレットに並べる(2倍に膨らむのであんまりみちみちにしないほうがよい)。
直径13~16cmのスキレット2つ分できました。
35度で40~60分ほど二次発酵。
生地が2倍くらいにふくらんだらOKです。
取り出して艶出し用の卵液を塗り、180度に予熱したオーブンで15~20分焼く。
焼けましたー。
スキレットから取り出して、網の上で冷ましておきます。
ここからはソースづくりです。
ボウルに
・卵黄(1個分)
・レモン汁(大さじ1/2)
・水(大さじ1)
を入れてよく混ぜる。
それを湯煎にかけ、ゆるめのマヨネーズのようになるまで泡だて器で混ぜる。
・すましバター(30g)
を少しずつ加え、さらに混ぜる。
塩コショウで味を調えたら完成。
オランデーズソースっぽいやつです(初めて作ったからちゃんとできてるのか不安)。
小鍋に湯をわかし、酢と塩を入れます。
そこに割った卵を静かに投入し、ポーチドエッグを作ります。
半熟くらいにまとまったら、引き揚げておきましょう。
さていよいよ、あこがれの「ちぎりパン入刀」のお時間です。
ちぎりパンをちぎらないという暴挙にドキドキします。
うまくあのフォルムにできるでしょうか。
うーむ、左側はきれいなフォルムが出たけど、右側は生地が詰まっていたのかいまいち…。
スキレットの生地の詰め方を調整せねばいかんな(無駄な向上心)。
気を取り直してパンの上にポーチドエッグをのっけて、切り分けます。
オランデーズソースをたっぷりかけて完成。
魂のエッグベネディクト、できました!
ちなみに添え野菜は、その前のエピソードに登場した謎植物、バロメッツ(とその若芽)。
ビジュアルからミディトマトと山菜のこごみ(を茹でたもの)を使ってみました。
こごみって、ファンタジー世界の湿地とかに生えてそうなビジュアルだよな…と思ったので、この機会に使えてちょっとうれしい。
切り分けたパンに卵とソースをたっぷりつけていただきます。
食べた感想:
甘めのパンに半熟ポーチドエッグとオランデーズソースがからんで、黄身好きにはたまらない濃厚な美味しさです。シンプルな材料なのにこの贅沢感、卵はやはりキングオブ食材。
エッグベネディクトは数年前の朝食ブームですっかり人気メニューになりましたが、オランデーズソースさえマスターすれば、自宅でも意外と気軽にできるんだなあと発見でした。
7巻はパーティーに新しく加わった猫忍者のイヅツミの魅力も満載で、もう、もう「ネコを擬人化したらこうなるよね…!」という納得感満載のわがままキャラクターがかわいすぎてたまらんです。
9巻は5/15発売のようです!
▼以前再現したレッドドラゴン料理はこちら
コメント
コメント一覧 (4)
おへそで蔓と繋がっていて歩ける範囲の草を食べつくすと死ぬとかなんとか。
「東洋には植物から作れる布がある」から
「植物の羊がいる」になったのかと思われます(西洋で布と言えば羊毛だったため)。
どの植物かとかは微塵も伝わってないのでわかりませんが元の話が麻布だったとしても、現在残ってるバロメッツの想像図からするとシダっぽい(シダの葉の裏にはもこもこの産毛がついてる)のでこごみで大正解のような気がします。
検索すると出てくる旧ぷよぷよのバロメッツ君はありゃトマト羊ですね煮込んだら美味しそう。
エッグベネディクトの時点でもう御馳走だぁ。
774さん
わー、理解が深まる解説いただけて大感謝です!!
作中でバロメッツのなかに羊が入っているシーンもあって、どうしてなんだろう…と思っていたのですが、納得です(勘違いから伝播したイメージというのもめっちゃ面白いです)。そしてコゴミの裏付けもできてほっとしましたw
そして九井先生は古今東西のいろいろなモチーフを取り込んで創作されているんだなあ、とあらためて感動です。
そうか、イングリッシュマフィンが元ネタだから横切りなんですね。
オランデーズソースとトロトロの黄身がパンに絡まって美味しそう…!
パンに卵ってのは最高の組み合わせなんでしょうね。フレンチトーストもそうだし、マフィンと半熟のスクランブルエッグなんてのは定番ですし。
話が変わりますけど、コゴミって洋食にあうんでしょうか…?
お浸しや天ぷらはしたことありますけと、茹でただけのをパンに添えるってのは、なかなか勇気がいりそうですね…!
00092さん
はっそうか、エッグベネディクトはイングリッシュマフィンで作るものだから横切りにしてるんですね…!(そこ気づいていませんでしたw、ありがとうございます)
コゴミですが、実は今回はパンと一緒に食べずその後の夕食にまわしたので相性はわかりませんでした^^;
次作るきっかけがあれば今度は試してみたいと思います~