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久々に小池田マヤ先生・家政婦さんシリーズから再現です。
「波飛沫せし家政婦さん」に収録された「Hey,Sup?」のエピソードから二品。

舞台はとある日本の海辺の町。米国のIT長者が避暑地に使う別荘では、盛大なパーティーが毎年の恒例になっている。ここに派遣されてきたS級家政婦の里は、海辺でSUP(スタンドアップパドル・サーフィン)を乗りこなす少年・晴海と出会う。

最新トレンドを取り入れた里の華麗なパーティー料理はお客に大好評、その一方で長年メイド長をつとめてきた倉橋は、「フォアグラのソテー」などオールドスタイルのおもてなし料理をことごとく否定され、どこか寂しさを隠せないでいる。

パーティーの夜、IT長者のひとり娘・マリアの部屋の着替えを手伝うためにクローゼットを開けた里は、そこに海辺で出会った晴海がナイフを持って隠れているのを見つける。あの女を殺したい――海が好きな優しい少年と、お嬢様の間に何があったのか。

クセのある登場人物たちが織り成す愛憎の人間関係、美しさと毒気が混ざり合うストーリーは、家政婦さんシリーズの真骨頂。ひと夏のから騒ぎとその終幕が、大人になりつつある少年の成長とリンクして描かれ、読み返すたび余韻に浸ってしまう。

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※【コマ引用】「波飛沫せし家政婦さん」(小池田マヤ/双葉社)より

スクランブルエッグは、別荘での朝食シーンに登場する一品。
倉橋メイド長の得意料理で、これだけはオーナーから調理のご指名が入るほど。トロトロの食感は絶品で、日ごろメイド長をバカにする若手メイドもその味に思わず歓声。

小池田先生のあとがきによると、フレンチの谷昇シェフのレシピがもとになっているそう。


↑参考にスクランブルエッグのレシピが載ってる本を取り寄せてみた(ネットでも同じレシピが公開されてるようです)。

ポイントは「蒸気湯煎」で火を通すこと。ボウルに直接お湯をつけず、蒸気の熱のみで卵を調理する…というシンプルだけどひと手間かかる調理法です。

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卵はボウルに割り、カラザ(白いヒモ状の部分)を箸などでつまんで取り除いておく。これをしないと口当たりが悪くなるそう。続いて生クリーム、バター、塩少々を入れて箸でよく混ぜておく。

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作中ではボウルをふたつ重ねて湯煎していましたが、ちょうどよく重なるボウルがなかったので、鍋+ボウルでやってみます。

鍋に湯をわかし(上にのせるボウルの底にお湯がつかないくらいの水位)、いったん火を止めます。卵をといたボウルを上にのせ、シリコンベラでゆっくりかきまわします。全体に火がとおり、ボウルのなかで卵がゆっくり戻るくらいの固さになったら完成(途中でお湯の温度が下がって卵が固まりづらくなってきたら、ボウルをいちど外してお湯を再沸騰させるといいかも)。

簡単そうだけど、この火加減が自分には案外難しかった……。
卵に火を通す時間をかけすぎると、卵の水分が飛んでしまいねっとりした黄身あんのようになってしまうし、もちろん火が通りすぎてもだめ。余熱も考慮しないといけない。3回ほど試した感じでは、湯煎してから3~5分くらいで仕上げるのがちょうどいいかも(使う卵の量や調理器具によっても変わってきそうですが)。

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スクランブルエッグ、というより卵ソースみたいなトロトロ感!

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トーストしたバゲットにのっけていただきます。
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食べてみても、これはもう卵というよりソース……というほどトロットロ。
バターの香りもふんわりきいて、一流ホテルのようなゴージャス感を朝から自宅で味わえて至福。調理時の温度の違いでこんなに食感が変わるって、卵ってやっぱりすごい食材。小池田先生作品の卵料理といえば、「聖☆高校生」に出てくるトリュフの香りを卵にうつしたオムレツも美味しそうだったなあ。

作中の料理で、もうひとつ気になっていたやつ。
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※【コマ引用】「波飛沫せし家政婦さん」(小池田マヤ/双葉社)より

プッチンプリンとコンビニアイスをぐっちゃぐちゃに混ぜて作るアイスクリーム。

プッチンプリンの繊細な舌触り&ジャパニーズコンビニアイスのなめらかな口どけを冒涜してるわ!」とメイドの愛ちゃんが激怒しながらこしらえるこのスイーツは、マリアお嬢様の好物で、子ども時代からの思い出の味。

愛ちゃんの怒りはもっともだけど、このジャンク感にそそられてしまう。
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材料はプッチンプリン、あと日本のアイスといえばスーパーカップですわよね。
冷凍庫で冷やしておいたボウルにアイスを入れ、プッチンプリンをぶっこむ。

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ざっくり混ぜたら完成(混ぜてる間に溶けてしまったら冷凍庫に突っ込みなおそう)。

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ちょっとコールドストーン風。
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不味いはずがないと思ってたけど、当然、無論、議論の余地なく美味しい。たぶん人類みんなが好きな味。バニラアイスにプリン、それにカラメルも加わって、お安い庶民派スイーツが掛け算でパワーアップ。この平和なスイーツが、作中のとある事件の引き金を引くことになるなんて想像がつかない…。

今回は比較的お手軽な料理でしたが、「Hey,sup?」は本格的なパーティー料理がたくさん登場するのも見どころ。ラストシーンの巨大アスピックゼリー、作るの大変そうだけどいつか挑戦してみたいなー。

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