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2019年の「マンガ大賞」にもノミネートされた「違国日記」、3巻もめちゃくちゃ心に刺さる内容で、何度も読み返しています。
(今年のマンガ大賞はほかにも好きな作品がたくさんノミネートされてて嬉しい…)

両親をなくし、小説家である叔母の槙生と一緒に暮らす朝。
卒業式に険悪になった親友のえみりとも仲直りし、高校生活がスタートします。

ある日槙生がマンションに帰宅すると、リビングには学校帰りのえみりと朝の姿が。
年頃の女の子らしくかしましくはしゃぐ二人を見て、槙生は自宅がこれまでのように「自分だけのテリトリー」ではなくなってしまったことに軽く絶望。
やばい
超 超超超超ひとりになりたい
苦しい
どうしてわたしはこんなに世界と繋がるのがうまくないんだろう

いたたまれず自室にひきこもり、仕事を始めます。

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※【コマ引用】「違国日記」(ヤマシタトモコ/祥伝社)3巻より


創作のスイッチが入ると「違う国」に行ってしまう槙生。
朝から声をかけられた瞬間、
今 うるさい
振り返りもせず一喝してしまいます。

槙生の豹変に、とまどう朝。
仕事の邪魔にならないよう気をつかって過ごしますが、夕時になり突然槙生は朝のことなど目に入らないかのようにキッチンへ向かい、無言で夕食を作り始めます。
ひととおり準備したのち、何も言わず自室に戻る槙生。再びあっけにとられる朝。

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※【コマ引用】「違国日記」(ヤマシタトモコ/祥伝社)3巻より

夜になって仕事がひと段落し、リビングに現れた槙生の表情はうってかわって穏やか。
さっきまでの態度など覚えていないかのように朝に声をかけますが、振り回された朝は爆発。その怒りに、今度は槙生が困惑します。

この「他人と暮らせない」人間の一連のコミュ障っぷり、マイペースっぷり。それにわけもわからず翻弄される側の狼狽。どっちの気持ちもめっちゃわかる、わかるよ…!と悶えました。

このとき槙生ちゃんが作った謎料理も気になります。
牛肉と野菜を煮た鍋は、おそらくすき焼き風でしょうか。作中の描写を参考に作ってみます。

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材料は牛肉、白菜、しいたけ、玉ねぎ。
鍋(フライパンでも)にざく切りした野菜とお肉を入れ……

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酒、しょうゆ、みりん、砂糖、顆粒だし、めんつゆを加えてフタをし、火にかける。
分量はてきとー!煮えた段階で最終調整するので、ここでは味付け7割方程度にしとくといいかも。

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煮えたら味をみて、必要あれば再度調味料で調整します。

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ご飯の上にすき焼きを乗せて完成。

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七味と卵ぶっかけたほうがおいしい」という槙生ちゃんの言葉に従って、溶き卵どばー。

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牛丼チェーン店でこういうの食べたことあるような気がする。

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食べた感想:
牛丼はたまに作るけど、すき焼き丼は意外と盲点的献立かも。
鍋ひとつでできて簡単だし、タンパク質も野菜もしっかり摂取できる。この合理性、槙生ちゃんの料理っぽいですね。


急にふさぎこんだ朝に困惑する槙生でしたが、自分自身が15歳だったころのことを思い出し、思春期の少女の「さみしさ」を受け入れようとします。

朝に歩み寄り、ぶっきらぼうに肩を抱きしめて言い放つこの言葉が、とてもとても好きです。

あなたがわたしの息苦しさを理解しないのと同じように
わたしもあなたのさみしさは理解できない
それは
あなたとわたしが別の人間だから

孤独な少女にとっては残酷でもあり、大人になる過程で受け止めなければいけない、そして生きる上で救いにもなる言葉。

血が繋がっていてもいなくても、我々はみんな別の人間だから、わかり合えない。わかり合えないからこそ、歩み寄る。
仕事中にどう声をかければいいか。ひとりでご飯を食べるのは嫌だ。
こうやって一歩ずつルールを決めて築かれていった朝と槙生のふたりの暮らしは、第一話にその完成形が描かれていることに気づきます。3巻まで読んだあと、最初から読み直すと感慨深いものがあるのでぜひ。


1巻と比べ、だんだん距離が縮まっていく風の表紙のふたりもよき…。

1巻のギョウザの再現はこちら。


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