「いちごの季節といえば…」という問いに対し、昔なら自信をもって「春」と即答できたはずなのに、最近はどうもわからない。
クリスマス前にはケーキ作りの需要でスーパーにパックいちごが並びだし、ファミレスでも1月あたりからストロベリーフェア的なものががスタートするご時世、すでにいちごの季節感はブレブレです。
唯一、いまでも「春らしいいちご」を感じさせてくれるのが、この季節に安く売られている小粒のいちご。
「あまおう」「さがほのか」といったブランドも冠さない無印いちごは、そのまま食べると酸味が強くて、ああそういえば昔のいちごには練乳が必要だったよな、とあらためて気づくほど素朴な味がします。
この激安小粒いちごが贅沢な朝食に変身するのが、「きのう何食べた?」1巻に登場する手作りジャム。
※【コマ引用】「きのう何食べた?」(よしながふみ/講談社)1巻より
シロさんが店頭で購入したのは「2パック300円」のいちご。
うちの近所のスーパーでは「2パック500円」が底値だったので、相当お買い得ですね。
作り方:(分量は作中をご確認ください)
いちごは洗ってヘタを取り除きます。
砂糖を全体にまぶし、ボウルのなかで3時間ほど置いておきます。
砂糖の量はジャムの保存性に比例しますが、シロさんの家はすぐに食べきる前提で控え目(おそらく果実量の30%くらい?)にしているようです。
水けが出たいちごは、ホーロー鍋に汁ごとうつしかえて中火にかけます。
ジャムを煮るときの「木べらのひと時」って、うっとりするほど楽しい……。
アクがガンガン出てくるので、こまめにすくっていきます。
このアクは、よしなが先生によると熱い紅茶に入れるとロシアンティー風になって美味しいらしい。
ちなみにこんな感じです。
アクが気になるなら、一回茶こしで漉してもいいかも。
甘酸っぱいストロベリーティで、優雅な気分になります。
(ロシアンティーは、子供のころ「ガラスの仮面」で亜弓さんが飲むシーンを読んで以来、あこがれの飲み物)
さて。
小粒いちごの色が少し抜けて白っぽくなり、粒をつぶさないように注意しながら、そのまま煮詰めていくと……
鍋のなかが深いルビー色になります。美しい……。
ややとろっとしたら火を止めます(煮詰めすぎて飴状にならないよう注意)。
ジャムが熱いうちに煮沸消毒した耐熱びんに入れたら完成。
翌日の朝食が待ちきれない。
カフェオレといちごジャムのバタートースト、それだけなのにご馳走感。
「朝は脂肪と糖分たっぷり取ってもうしろめたくない~」
というシロさんのセリフに背中を押され、バターもジャムもいつもよりたっぷり塗ります。
食べた感想:
いちごの粒感そのままのジャムは、砂糖控えめのせいか「甘さ」だけでなく「酸っぱさ」もちゃんと感じます。たくさん塗ってもしつこくなく、これは確かにひと瓶すぐに食べきってしまうかも。
バタートーストの上に乗せると、しょっぱさ+甘酸っぱさのコンボで、もうただのトーストがちょっとしたペイストリーに化ける至福。
こういう果肉まるごとのプレザーブスタイルのジャムって、市販だと「高級品」。同じ分量を買うと目玉が飛び出る価格なこともあり、多少の手間で自作できることを思うと、ついほくそえんでしまう。
そういえばこの1巻のいちごジャムは、「何食べ」初スイーツ。今やベーキングパウダーも使いこなし、お菓子作りの経験値も上がったシロさんを思うと、隔世の感がありますね。
コメント
コメント一覧 (8)
農家さん自家製のイチゴを好きなだけ…!
夢のようなシチュエーションですね。
ジャムはいろんな種類があるけど、バタートーストに合うのはやっぱりイチゴが最強だし、イチゴジャムの食べ方としてもバタートーストが最強だなあ、としみじみ思った再現でした。
なんて綺麗なルビー色!親戚の苺農家さんにシーズン終わりの苺狩り(好きなだけ!)に誘われて山ほどとってきたので、私もきのう何食べた見直して作ったところです。
でも灰汁がとってもとっても出てきて…。あ、私もロシアンティーしました!甘酸っぱ優雅紅茶美味しかったです。
バターの塩辛さ(マーガリンですが)と苺の甘酸っぱさは本当にベストマッチですね!たっぷり乗せて食べたのですぐ無くなりそうで急いでまた1瓶作りました(笑)
10年前…(唖然)。
いつかシロさんの年齢に自分が近づいてしまうのでは、と思うとオソロシイ。
しかし少量でもお庭でイチゴがとれるなんて、なんて素敵…!
ミントさえ枯らす私からすると、まぶしすぎる環境です。
おばあさま・お母さまの手作りジャム、コメントを拝見するだけでも美味しさが伝わってきます。しかもいちごから栽培した手作りとは、これ以上ない贅沢な食べ物ですね。
おお、それはなかなかのお買い得プライス…!>198円
しかし2パック300円は、スーパーではなかなかないですね。
八百屋さんだと、それくらいの価格もあるみたいですが…。
よしなが先生によると、砂糖を入れたらすぐに煮てもOKらしいので、そこは好き好きかもしれませんね。
ジャムって「砂糖入れて煮るだけ」といっても、果物によってペクチンの含有量が違うし、アク抜きが必要なものもあるし、案外奥が深いですよね…。
イチゴの旬、まさに今ですね。
庭のイチゴも次々と赤くなっていってます。本当に次々となので、まとまった数が取れないのが悲しい家庭菜園・・・。
外食産業さんや市販のお菓子類の早すぎるイチゴ推しには私も首をひねる日々です。
季節の先取りはファッションだけで充分ですよ。
このジャムは昔、母がよく作っていたものに似ています。
当時は祖母が結構広い畑を持っていて、そこでイチゴを大量に作っていたのです。
生で食べられる量はたかが知れているので、そのほとんどがジャムになっていました。長期保存ができるぎりぎりの量の砂糖で、ソースに近いくらいの煮詰め具合だったなぁ。
それが寸胴鍋いっぱいできてました。ジャム作りの日は台所どころか家中がイチゴの香りで満たされてた。正直、腹が減って仕方なかった。
私の近所にある店ではイチゴが安くなることはないので(なぜだ・・・底値で398だ・・・しかも量も少ない・・・)祖母の畑もなくなり、自分ちのイチゴもまばらな今では、夢のような料理に感じます。
買いたい衝動に駆られましたが、市販品も眠らせる有様のため我慢しました。
でも手作りジャムいいですね。
もうちょっと話が進んでからのお話かと勘違いしてましたw
そういや先日、なんか思い立って初めてイチゴジャム手作りしました。
果実に砂糖を振りかけてから『ちょっと混ぜて』置いとくのですね。振りかけてそのまま置いてたのですが、案の定あまりイチゴから水分が出なかった。
しかもちょっと火にかけ過ぎたか少し飴状になった感じ?まあ味は問題ありませんでしたが。
次はもっと上手に作れるようになりたいな。