エッセイ漫画やイラストで知られる谷口菜津子先生の初のストーリー短編集「彼女は宇宙一」。
世渡り上手なイケメンが宇宙人を名乗る美少女に翻弄される表題作や、怪獣と戦うぽっちゃり改造女子など6編が収録されているなかで、最後の「ランチの憂鬱」はSNS世代の女子の友情が読後さわやかに描かれ、特に印象に残りました。
グループのリーダー格・マホちゃんの昼食を「うらやましい」と言ったことで、ハブにされたリンカ。
というのも、リンカのママが作る凝ったキャラ弁に対し、母子家庭のマホが持参するのは市販の菓子パン。リンカの言葉を嫌味と受け取ったマホは、彼女の弁当を毎日ゴミ箱に捨てる嫌がらせを始める。
しかし一見愛情あふれるリンカのママは、実は目の前の娘よりインスタに夢中。
ハリボテのような幻想の「幸せな家庭」に追い詰められたリンカは、ついに本音を吐露して家庭を崩壊させる。
※【コマ引用】「ランチの憂鬱」(谷口菜津子/KADOKAWA/エンターブレイン「彼女は宇宙一」より)
コロッケサンドは、本心をぶつけあったリンカとマホが仲直りするラストシーンに登場します。マホが昼食に買った市販のコロッケパンとパックサラダ、それにリンカが作った茹で卵を組み合わせ、即席アレンジしたサンドイッチ。
これまでの日常が崩れた世界で、ふたりでこのサンドイッチをシェアして食べるシーンの前向きさがとても良かった。
というわけで作ってみる。
コンビニのコロッケパンとサラダ、それから茹で卵はリンカ母が作っていた「煮豚の煮汁に半熟卵を漬けたもの」が美味しそうだったので再現してみました。
コロッケパンはいろいろ探し回った結果、今出てるセブンのコロッケパンがサイズ&フォルム的によさそう。
半熟煮卵をフォークでつぶしながら、マヨネーズとあえます。
コロッケパンを開きにしてサラダ野菜、たまごの順にのせて、
包丁で半分こ。
(たまごはパンの奥に挟めばよかった…切るときに盛大にあふれました。うかつ)
なんか女子らしい食べ物になったぞ。
食べた感想:
半熟煮卵をつぶしたトロトロのタルタルは、醤油味がほんのりきいてちょっと贅沢な気分になります。
味気ないコンビニのコロッケパンが、ちょっとした工夫でワクワクするような食べ物に変身する。生きづらい思春期の女の子たちへのエールのようなサンドイッチでした。
この表紙のカラーもそうだけど、谷口先生のビビッドな色彩感覚いいですよね。
コメント
コメント一覧 (2)
言われてみればやたらと多いですねw(最近はたまごサンドも…)
マンガとコロッケパンは、トキワ荘の時代から相性がいいのかもしれませんね。