おじさんが、わちゃわちゃしてる物語が好きだ。
唐突になんだと思われるかもしれませんが、おじさんというのは、フィクション、とくにビジュアルが人気に直結しがちな漫画においては、どうしても冷遇されがちな存在。
美中年は別として、普通のおじさん(おばさんも)が主人公の作品は少ないし、「登場人物、ほぼおじさん」となると、もうそこに書き手の愛がないと描けないのではと思う(読み手は楽しいけど、おじさんばっかり描くのはやはり大変だと思う)。
たむらあやこ先生の「楽園タクシー配車日報」はひさびさに、おじさんわちゃわちゃ感を存分に楽しめて、最高に笑える漫画でした。
とある北の町で営業する、小さなタクシー会社「楽園タクシー」。
暴れん坊だがカツラをとるとおとなしくなる荒井さん、「さしすせそ」が壊滅的に言えない横川さん、最低の人間性を誇る元自衛官の滝山田など、ワケあり、クセありのドライバーたちをまとめるのは、主人公で配車係の中谷さん。
そんな一見まともそうな中谷さんにも、病的なクセがありました。
営業所のなかで一番自炊をし、有料で他の従業員にもふるまうほどの腕前ですが、
「どんなメニューも五目化してしまう」という恐ろしい病にかかっているのです。
※【コマ引用】「楽園タクシー配車日報」(たむらあやこ/講談社)1巻より
ナルトやもやし、きくらげ、ムール貝、ホタテなどが入った塩ラーメン……はまだいいとして、
※【コマ引用】「楽園タクシー配車日報」(たむらあやこ/講談社)1巻より
五目化したクリームシチューはカオスとしか言いようがない。
なぜかムール貝が必ず混入しているのも闇が深い。
「いっぱい入ってたほうがうまいべ!?」
というのが中谷さんの持論のようですが、他人からは「味がうるさい」「すべてが主張しすぎて味がまとまらない」と不評のよう。
(ちなみに、五目らない唯一のメニューは「ホットケーキ」だそうです)
見かねた従業員は
「一回ワカメだけの味噌汁作ってみろ!」と中谷さんにやってトライさせますが、結果は……。
オチがまた最高なので、ぜひ読んでいただきたい。
そして中谷さんの五目料理は、実際に美味しいのかそうでないのか。
ラーメンとシチューで検証することにしました。
まずはラーメンから。
具材はナルト、きくらげ(水で戻す)、もやし、ホタテ、ムール貝、うずらの卵、豚肉、キャベツ。
それに中華麺と、顆粒の鶏がらスープを用意しておきます(市販の塩ラーメンでもいいかと)。
みじん切りしたにんにくをごま油で熱し、豚肉を色が変わるまで炒めたら、ホタテとムール貝を入れて炒める。ムール貝は火が通ったら貝がらから外しておきます。
野菜ときくらげ、うずらの卵を入れて炒め、塩コショウ。
今回は八宝菜風になるよう、仕上げに鶏がらスープを加え、水溶き片栗粉でとろみをつけてみました。
ゆでた中華麺とスープを丼に入れ、盛り付けたら…
中谷ラーメン(塩)の完成。
やたらと豪華な見た目です。
実際に食べると、これは普通に美味しい。中華と五目は相性がいいし、違和感のある具材もないので、当然といえば当然かもしれない。
次は問題の五目シチューです。
具材はかまぼこ、うずらの卵、きくらげ、こんにゃく、豚肉、ベビーコーン、人参、じゃがいも、エビ、ムール貝。
シチューのルーは、中谷さんのキャラ的に、小麦粉とバターを炒めて…という感じではなさそうなので、市販品を使います。
作中に出てくる器は「三平皿」。
聞きなれない食器ですが、北海道では三平汁を食べるときにおなじみのアイテムだそう。本州では「なます皿」として知られ、具材が多い汁ものを入れるのにちょうどいい食器です。
(三平皿そのものは手に入れられず、今回はサイズがほぼ同じものを探しました)
厚手の鍋にサラダ油を入れて熱し、豚肉を炒め、続いて魚介類、酒(日本酒か白ワイン)を入れて炒めます。手でちぎったこんにゃく、野菜を軽く炒めたら水を入れて煮込み、
いったん火を止めてルーを入れ、仕上げに牛乳を加えて煮込んだら完成。
中谷シチュー(クリーム)。
渋い……見た目から渋いクリームシチュー。
実食してみると、これが意外と悪くない。
こんにゃくやかまぼこといった、異端系の食材もなじんでいて「和風シチュー」と考えたら全然いける味です。
パンよりご飯、ワインより日本酒が飲みたくなるクリームシチュー。
中谷ラーメン(塩)の完成。
やたらと豪華な見た目です。
実際に食べると、これは普通に美味しい。中華と五目は相性がいいし、違和感のある具材もないので、当然といえば当然かもしれない。
次は問題の五目シチューです。
具材はかまぼこ、うずらの卵、きくらげ、こんにゃく、豚肉、ベビーコーン、人参、じゃがいも、エビ、ムール貝。
気づいたけど、きくらげとうずら卵が入ると大抵のものは五目りますね。
シチューのルーは、中谷さんのキャラ的に、小麦粉とバターを炒めて…という感じではなさそうなので、市販品を使います。
作中に出てくる器は「三平皿」。
聞きなれない食器ですが、北海道では三平汁を食べるときにおなじみのアイテムだそう。本州では「なます皿」として知られ、具材が多い汁ものを入れるのにちょうどいい食器です。
(三平皿そのものは手に入れられず、今回はサイズがほぼ同じものを探しました)
厚手の鍋にサラダ油を入れて熱し、豚肉を炒め、続いて魚介類、酒(日本酒か白ワイン)を入れて炒めます。手でちぎったこんにゃく、野菜を軽く炒めたら水を入れて煮込み、
いったん火を止めてルーを入れ、仕上げに牛乳を加えて煮込んだら完成。
中谷シチュー(クリーム)。
渋い……見た目から渋いクリームシチュー。
実食してみると、これが意外と悪くない。
こんにゃくやかまぼこといった、異端系の食材もなじんでいて「和風シチュー」と考えたら全然いける味です。
パンよりご飯、ワインより日本酒が飲みたくなるクリームシチュー。
結論。五目化はわりとどんな料理でもイケる。
中谷さんの五目病が再現できて満足ですが、一番食べてみたいのは、営業所総出で作るこだわりの「楽園漬け」。材料にこだわった、プロ顔負けの漬物、気になる。
たむら先生は、ご自身の闘病を描いたこちらのエッセイもおすすめです。
中谷さんの五目病が再現できて満足ですが、一番食べてみたいのは、営業所総出で作るこだわりの「楽園漬け」。材料にこだわった、プロ顔負けの漬物、気になる。
たむら先生は、ご自身の闘病を描いたこちらのエッセイもおすすめです。
コメント
コメント一覧 (6)
おお、これは見た目や材料からもそっくり…!
北海道は鮭を使ったお漬物もありますもんね。
写真を見て余計に食べたくなってしまいました。情報ありがとうございます!
さて、楽園漬けですが、こちらの「にしん漬け」のこだわりバージョン
なのかなと思っています。にしん漬けは以前、テレビの「秘密のケンミン
SHOW」でも取り上げられていたと思います。
http://www.hokkaidolikers.com/articles/2643
カレーに白身のわっかだけ入っていたら、一瞬イカと勘違いしちゃいそうですね^^;
わー、さすが、この作品もご存じでしたか!
舞台となっている北海道に、モデルの漬物がありそうですよね(ニシンを使ってるとことか)。
お母さまが絶賛するタクアン、どんな味だったのか気になります。
漬物ほど属人的な料理もあまりないかもしれないですね。
ふむぅ~ん❕☀☀
五目ラーメンはともかく五目シチューはないな・・・と思っていたけど、結構おいしそう。シチューの懐って深いんですねぇ。
楽園漬け、私も気になりました。
モデルになった漬物がどこかにあるのかなぁ。
素人が作るプロ顔負けの漬物と聞くと、母が「今までで一番おいしかったしあれを超えるものに出会ったことがない」という、近所のおばぁちゃんが作っていたタクアンを思い出します。
おばぁちゃんもレシピも失われて久しく、再現は不可能なのですが、楽園漬けもそんな漬物みたいな感じだ。