「おせん」などで知られるきくち正太先生の食生活を描くエッセイコミック「あたりまえのぜひたく。」シリーズの二冊目から。

今年の夏こそ作りたかった、暑い日にぴったりのおつまみとカクテルです。

「あたりまえのぜひたく。ー魚愛が試される、それが煮魚。ー」(きくち正太/幻冬舎)より
※【コマ引用】「あたりまえのぜひたく。ー魚愛が試される、それが煮魚。ー」(きくち正太/幻冬舎)より

スイカ農家の親戚から、毎年食べきれないほどたくさんのスイカを貰うというきくち家。
無駄にしないために、食べるのではなく「飲む」ことを考案。
そこで生まれたのが、生スイカを使った夏にぴったりのロングカクテル。

さらにおつまみとしてあわせるのが、自家製のつくりおきドライカレーをワンタンの皮で包んで揚げた「なんちゃってサモサ」。
ページを捲るだけで食欲が湧いてくるエピソードです。

どちらもアイデアを参考に自己流で作ることも可能ですが、ちゃんと読むと、ドライカレーや、それを作るカレー粉自体もきくち先生のこだわりが詰まっていることがわかります。
どうせなら、と出来る範囲で再現してみることにしました。
(※詳しい分量は作品を参考にしてください)

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きくち家特製自家製カレー粉:
まずはドライカレーに使うカレー粉作りから。
カレー粉の作り方は、同巻に収録されているカレーライスのエピソードに登場します。

使うのは朝岡スパイスの手作りカレー粉セット。きくち先生は過去、カレー粉の内容を知るために購入したそう。
手作り用のカレー粉セットといえばGABANが有名ですが、これもいろんなスパイスが小分けに包装されて入っています。
(朝岡スパイスの取り扱い店舗はこちら。カレー粉セットの通販は、現状は公式のオンラインショップLOHACOで購入できるようです)

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まずはターメリックを弱火でゆっくりオレンジ色になるまで炒め、そのあとほかの全種類のスパイスをふるいにかけて加え5分ほどかき混ぜて完成。

さらにここに、家に中途半端に余ったシナモンや八角などの単品スパイスを足していくのがきくち家流。注ぎ足しに注ぎ足し、出来上がった自家製スパイスはなんと10年モノ!だそう。

さすがにそこまでは再現できないので、ひとまず我が家のちょっとずつ小瓶に余っているスパイスを混ぜてみました。
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瓶を時々攪拌し、一か月熟成させたらカレー粉が完成。
このスパイスで、今度はドライカレーを作っていきます。

ドライカレー食材
きくち家定番ドライカレー:
基本構成は合挽き肉、玉ねぎ、にんじん、トマト、ピーマン。それからショウガとニンニク。
そのほかは冷蔵庫の余り物野菜ならなんでもオッケーとのこと。今回は作中どおりナス、ゴボウ、セロリ、小松菜を追加。いずれも粗めのみじん切りにします。


フライパンに油を熱し、玉ねぎをよく炒め、ショウガとニンニクを入れ香りが出たら、合挽き肉を加えます。塩と醤油で下味をつけ、肉の色が変わるまで炒めたら、にんじんなど火が通りにくい野菜から加えて炒めます。


鍋に移し替え、湯むきして粗く刻んだトマトを加えたら、特製カレー粉を追加。
塩、醤油で味をつけ、水気がしっかり飛ぶまで煮詰めて完成。


まずは普通にドライカレーとしていただきます。
野菜たっぷり、調味料も必要最小限でシンプルなのに食べ応えばっちり。
残りはサモサ用にとりわけ、冷蔵庫で冷やしておきます。

つまみの下準備が終わったら、お酒に取り掛かりましょう。

きくち家特製ジンの生スイカ炭酸レモン割り:
スイカは適当にざくざく切り、皮を切り取ってザルへ。
下にボウルを置いて、手でぐしゃぐしゃ潰していきます。

編集者が「ミキサーとか使いましょうよ」と驚きますが、奥様いわく「こっちのほうが全然早いし楽だし何よりミキサーより美味しい!」。

確かにザルで漉すから事前にタネを取らなくていいし、スイカは柔らかいので充分手で間に合います。

今回どうしてもこの再現に使いたくて、思い切って買ってしてしまったのが、この片口。

酒器によし、小鉢にもよし。あこがれのアイテムだったのですが、どうせなら愛着わくものが欲しい……と、いろいろ探しまわり、一年かけてようやくビビッとくるものと巡り会えました。このトルコブルーが夏らしくて一目惚れ。


ザルで濾したスイカ果汁を注ぎ、レモンを絞って変色を防ぎます。ラップして冷蔵庫へ。

サモサの最終工程です。
ドライカレー(詰め
冷やしておいだドライカレーをワンタンで包んでいきます。糊付けには溶き卵を。

包み揚げ
160度の低温で、キツネ色になるまで揚げたら完成。 


冷やしておいたスイカ果汁と、冷凍庫で冷やしたジン(ボンベイサファイアがおすすめとのこと)、カットレモン、ロックアイス、炭酸水を用意します。

片口にボンベイサファイア注ぎ、スイカ果汁とあわせてよく混ぜます。

スイカとジンソーダ
これをロックアイスを入れたグラスに注ぎ、炭酸水で割り、カットレモンを絞ってグラスに入れ、軽くステアして完成。


大人でよかった、と心底思う夏の宴。


揚げたてのドライカレー入りワンタンは、まさになんちゃってサモサ!
パリパリのワンタンに、野菜たっぷりのスパイシーな具。スナック感覚で食べられて、手が止まらない。


そして鮮やかなルビー色の生スイカのジンソーダ。
生フルーツのカクテルって、お店で飲むと酔いも冷めるくらいのお会計になるけど、自宅なら遠慮なく飲める幸せ。スイカのさっぱりした甘さとジンの華やかな風味がよく合って、何杯でもいけそう。

ちなみに小玉スイカ1/2個で、2~3人分くらい作れました。
アルコールNGの場合は、スイカ果汁とソーダを割るだけでも十分美味しいです。

ほかにも真似してみたいレシピが満載ですが、この漫画のもうひとつの魅力は、随所にあらわれるきくち先生の奥様へのリスペクトだと思う。
尊敬する人はどなたですか?
即答である
カミさん!!
なんて、てらいなく言える人、なかなかいないです。






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