※【コマ引用】「A子さんの恋人」(近藤聡乃/KADOKAWA/エンターブレイン)3巻より
他人にとってお土産のマグカップに名入れをオーダーする際
えいことか けいことか ゆうこは
漠然と
エーコ ケーコ ユーコ
なのである。
「英語の英と書いて英子」
と説明した自分の名前が、店員の勘違いで「A子」となっていた。
これが妙にしっくり来る、と気づくところからA子さんの物語は始まります。
A子さんにはふたりの「恋人」がいる。
米国渡航前にきっぱり別れるつもりが、縁を切れなかった男、A太郎。
米国でできた新しい恋人、A君からはプロポーズを受けるも、返事をしないまま帰国してしまう。
関係をはっきりさせられないふたりの間で右往左往し、懊悩するA子。振り回しているようで、実は振り回されているかもしれないA太郎とA君。そしてA子の腐れ縁的親友のK子とU子。
ちょっとひねくれたアラサーたちの、白黒つかない等身大の人間関係は、「心が薄汚れていること」に彼女らと同じく自覚的なひねくれ系読者なら、ニヤニヤしながら楽しめるはず。
そして何より、一番の魅力は近藤先生の線(絵、というよりあえて「線」と言いたい)。キャラクターたちの「次の動き」まで内包する美しい線画は、マンガなのに時折脳内でアニメーションが再生される感覚に陥ります。
今回作るのは、3巻でA君がA子のために作ったディナー、豚ロースの香草焼き 焼きリンゴとアスパラ添え。
それまでに何度かA子を自宅に招くも、夜になるとさっとつむじ風のように帰られてしまっていたA君。これはふたりの関係を一歩進めるための「勝負の一皿」。
無事にディナーを終え、A子が「なんか知らない味がした」と感想をもったメインディッシュの秘密は、豚肉にすりこんだハーブの「タイム」だったよう。
人当たりの悪いクール系のA君が、A子のために凝った料理を楽しそうに仕込む様子は、なんともかわいらしい。
詳しい作り方は作中に載っていないので、海外レシピなどを参考にしつつ作ってみます(海外ではローストポークとりんごの組み合わせはメジャーみたいですね)。
詳しい作り方は作中に載っていないので、海外レシピなどを参考にしつつ作ってみます(海外ではローストポークとりんごの組み合わせはメジャーみたいですね)。
主要な材料は豚肩ロース肉、タイム、りんご、アスパラ。
豚肩ロースの塊肉に塩コショウとみじん切りにした生タイムの葉、オリーブオイルをすりこみ、ラップをして冷蔵庫で半日寝かせる。
肉を冷蔵庫から出して常温に戻し、油をひいて熱した鍋で表面を焼き付ける。
肉をいったん取り出し、同じ鍋でカットしたりんごとアスパラガスをざっと炒める。
塊肉を鍋に戻し入れ、上にタイムの茎の部分をのせて120度に予熱したオーブンで60分焼きます。
焼けたらアルミホイルにくるみ、30分ほど休ませてから厚めにスライスします。
今回はアップルソースも作ってみます。
鍋に残った肉汁にシードルを加え(この甘くないハードシードル、おいしかった)、バター、コンソメ、塩コショウと一緒に煮詰めます。水溶きコーンスターチを加えてとろみをつけたら完成。
A君のあまやかしディナー、完成(自分で作るとちょっとむなしいものがあるな)。
低温で仕上げたローストポークはしっとりジューシーで、タイムのさわやかな香りが食欲をそそります。
私は酢豚にパイナップルを代表とするおかず×果物の組み合わせは大好物なので、つけあわせのローストリンゴもおいしくて幸せ。家人は食べて「これ、じゃがいもじゃないのか…」と落胆していましたが…。
そのままでもいいけど、甘酸っぱいアップルソースをかけてもおいしい。
普段作らない類のソースだから、海外っぽい雰囲気が出て、一瞬ここはニューヨークのアパートメントかと錯覚しそうです(関東平野です)。
A君の甘やかしはこれだけに終わりません。デザートのアイスも3種類常備。
※【コマ引用】「A子さんの恋人」(近藤聡乃/KADOKAWA/エンターブレイン)3巻より
A君の冷蔵庫に入っていたアイスは、「CIAO BELLA」というニューヨークのジェラートブランド。
数年前までは日本でも買えたのに(コンビニのampmでも売られてた記憶……パッケージのデザインは変わったみたいですが)、残念ながら現在は輸入されていないようですorz
なので泣く泣く別のジェラート店(マリオジェラテリア)のピスタチオアイスを買ってきた。
チョコとバニラ、ピスタチオを並べられたら、A子ちゃんと同様、私も断然ピスタチオと即答するな。
しかしピスタチオ味の食べ物って、毎回「この味がそうと言うなら、そうなんだろうな…」とどこか100%腑に落ちないのは私だけでしょうか。いや、好きなんですけど。
A君が作るこのローストポークに対し、A太郎が作る料理として登場するのはロールキャベツ。
ローストポークとロールキャベツ、どっちを選ぶ?と言われると、うーんと悩んでしまう。ふたりの間で揺れるA子の気持ちもこんな感じでしょうか。
近藤先生は亜紀書房さんで連載しているエッセイコミックもじんわり面白いです。
コメント
コメント一覧 (4)
なぜガードレールに「ピスタチオ」が…w
うちは実家の父親がおつまみによく食べていたのでそのイメージが強く、初めてジェラートを見たときは「あれがお菓子になるんだ!」と驚きました。
あああ、私も「”ダーク”チョコ」と言われると、ちょっと気持ちがぐらつきます…。
バニラも「”マダガスカル”バニラ」となると、かなりぐらつきますw A君には「全部くれ」と言って軽蔑されそう…。
A君の部屋がたまらない説、すごく同意します!K子ちゃんの部屋とは別のベクトルでの「いい部屋」ですね。
『これ、じゃがいもじゃないんだ』
(笑)😁
ピスタチオって、そう言えばどんなヤツだっけ🎵
以前、務め先の近くな道路のガードレールに『ピスタチオ』ってスプレーしてありまして。全然関係ない話の途中で同僚が『ピスタチオってどんなんでしたっけ』と聞いてきて、『族(ゾク)の名前だよ😃』と言って。みんなで、大笑いしたことがありました。
とさ。
「A子さんの恋人」登場ですか!私もファンなので嬉しいです。
たしかに、「絵」というより「線」という印象が強いです。時々浮世絵っぽい気も。
この漫画、何気なく食が絡んできますよね。
きりたんぽを一から作りだしたり。
ローストポーク、低温でこんなに美味しそうに焼けるんですね。真似してみます。
最後のアイスの選択、私も絶対にピスタチオです。ダークチョコ(ダークがポイント)も捨てがたいですが。
そして、ピスタチオってこんな味と言い切れない気持ちもよーくわかります。
ケーキでもピスタチオ味があれば必ず選ぶんですけど、味にムラが大きいというか。
A君のアパートの部屋ものすごく好みで、あーこんな部屋に住んでる彼氏なら、絶対に迷わないのにとA子さんを羨ましく思ったりしています。
まあ、A君もかなり一筋縄じゃ行かなさそうですが…