旬の食材は、タイミングを逃すと次の年までおあずけになってしまう。
菜の花を使った「にがくてあまい」3巻に登場するケーキも、「今年こそ作ろう」と思いつつ、春先=期末の忙しさもありなかなか挑戦できなかったけど、数年越しでようやく。
渚の初恋の先輩・アラタと、インドからやってきた恋人・マリアのためのウエディングケーキ。渚にとっては、想いを引きずる相手の結婚を祝う、ほろ苦いエピソードでもありました。
※【コマ引用】「にがくてあまい」(小林ユミヲ/マッグガーデン)3巻より
菜花のペーストを練りこんだ米粉のスポンジを、豆腐クリームと黄色い菜花でデコレーションした、清楚な花嫁のような美しいビーガン・スイーツ。
漫画なのでモノクロですが、実際はどんな色をしているんだろう、と気になっていました。
作り方:(分量は作品のレシピを参照してください)
まずは豆腐クリームに使う木綿豆腐を、しっかり水切りしておきます(こういうとき、ストウブとかルクルーゼのフタは重しとして便利だな)。
トッピング用に使う菜花は包装をバラして茎の部分を水につけ、日当たりのいい場所にしばらく置くと、小花が開きやすくなります。
ケーキ生地に練りこむ分の菜花は、ゆでてフードプロセッサーでペースト状に。
ボウル(A)に米粉、甜菜糖、ベーキングパウダーを入れて泡だて器でよく混ぜます。
別のボウル(B)に豆乳、なたね油、菜花のペーストを入れてよく混ぜ合わせます。
ボウル(B)を(A)に入れてさっくり混ぜ合わせます。
型に入れて170度のオーブンで焼きます(生地に竹串を刺して焼き上がりを確認しつつ、時間を見る)。焼いた生地はケーキクーラーや網の上で冷ましておきます。
水切りした豆腐、豆乳、メープルシロップ、粉寒天、レモン汁をフードプロセッサーでなめらかになるまで攪拌。
この豆腐クリームをケーキの表面を覆うように、ざっくりとスパチュラなどを使って塗っていきます。
仕上げに菜花をあしらったら完成。
ドーム状のケーキはプリンセスラインのウェディングドレスのようで、なんてかわいいんだ!としばし見とれる。
食べた感想:
卵を使わない米粉ケーキは、どっしり・もっちりな食感。ふわふわのスポンジケーキを予想するとギャップに驚きますが、メープルシロップ香るなめらかな豆腐クリームと一緒に食べると、新感覚の和菓子のよう。ほろ苦い菜の花とあわせれば、まさに「にがくてあまい」ケーキです。
マクロビスイーツは見た目が美しいものが多いけど、これも出来上がった瞬間テンションが上がりました。いくら食べても罪悪感が芽生えないのも嬉しい(米粉なので腹持ちよく、一度にたくさんは食べられませんが)。
あらためて読み直して気づいたけど、このマンガのキャラクターの多くはマイノリティーの立場にあるんですね。
ゲイの渚だけでなく、落ちこぼれヤンキーから社員にのし上がったマキ、アレルギーで暗い青春をおくったアラタなど、みんなどこか「普通とは違う人生」に悩み、そこから立ち上がってきた人々。
そして菜食主義のビーガンも、食の世界ではマイノリティーといえる存在。そう考えると、グルメ漫画として楽しむ以上の受けとめ方ができる作品ではないでしょうか。
コメント
コメント一覧 (2)
ありがとうございますー!
これマンガで見たときから、実物がどんななのか気になっていたので、数年越しでようやく再現できてうれしいです^^
白に緑に黄色、下に敷かれたクロスの青。すごく爽やかな組み合わせですね、うっとりですわ。
マンガにもあった通り、生地はふんわり系ではなくてどっしりもっちり系なのですね。…生地だけでも再現してみようかな(気になる)。
にがあまのレシピは敷居の高いのが多いので(いや、にがあまに限らず他の作品もです)滅多に再現しない私にとって、こうして作って写真を見せてくれるumebonさんにいつも感謝しきりです。他力本願バンザイ(それもどうかな)。