こびとたちの小さな世界を丁寧に描く「ハクメイとミコチ」4巻から、3種類の駅弁を再現してみました。
カノカン湖で朝釣りするため、夜越し汽車に乗ったハクメイとミコチ。架空の世界の汽車が、まるで身近な存在のように感じられる緻密な描写もすごいですが、何よりたまらないのは、道中に楽しむさまざまな食べ物のシーン。
出発間もなく、食堂車に朝ご飯の弁当を買いに行く2人。店の前でどの弁当にするかあーだこーだと迷っている間に、ハリネズミのおじさんが先に注文したのが揚げ山芋とビール。
※【コマ引用】「ハクメイとミコチ」(樫木祐人/KADOKAWA)4巻より
揚げたての揚げ山芋をシャクシャクとつまみながら去るおじさんの姿を見て、たまらず2人もこれを注文。フライドポテトならぬ揚げ山芋って…!と読んでる側もここで胃袋わしづかみされます。
※【コマ引用】「ハクメイとミコチ」(樫木祐人/KADOKAWA)4巻より
揚げ山芋と一緒に、ミコチが買ったのは「きゅうりサンド」。ハクメイが買ったのは「いなり弁」。
座席で並んで食べながら、お互いのお弁当を交換するやりとりもほほえましい。
このほか球体の瓶に入った水出し茶の「球茶」、熱々の「生姜天」、「あんまりおいしくない珈琲」など、車内グルメがたくさん登場して、最後のほうは「たまらん…!!」と悶えることになります。
流行りの豪華列車は別にして、庶民的な食堂車って日本ではほぼ廃れてしまったので、こういう光景が懐かしくて、うらやましい。最近の新幹線は、駅ナカ施設のお弁当販売が充実していたりするけど、やっぱり「車内で買い食いする」楽しみは特別、とあらためて思う。
食堂車には乗れないけど、作中に登場したお弁当を再現して、気分だけでも味わってみます。
まずはイメージにぴったりの使い捨て容器を探します(これが一番時間かかった…)。
形だけでなくサイズも確かめつつ、理想に近い3つの容器がそろいました。
サンドイッチには長方形、いなりずし用は丸い折り箱。それから揚げ山芋にはドギーバッグ風の容器。
まずは揚げ山芋から。
山芋は大和芋と長芋、2種類用意してみます。
コマの絵をみると、厚ぼったいコロモがついているように見えるので、フリッター風にしてみる。
コロモは小麦粉、コーンスターチ、卵、ビール、塩を混ぜたもの。
長芋と大和芋は洗って皮をむき(気にならなければそのままでもOK)、タテ長の乱切りに。
これに薄く小麦粉をふり、コロモをくぐらせて揚げます。
コロモがキツネ色になる程度にさっと揚げたもの、厚切りのポテトフライのように芯まで火がとおるよう揚げたもの、の2種類作ってみた。
熱いうちに塩を振って完成。
揚げ山芋:
スティック状なので、いかにもおつまみな感じ。
ビールを入れたおかげで、コロモはサクッとした食感。
さっと揚げたものは、ハリネズミのおじさんが食べていたシーンのとおり「シャクシャク」とした歯触り。
しっかり揚げたものはガラリと変わって、まるでポテトフライのようなホクホク感。
揚げ時間でこんなに別の食べ物みたいになるんだ…!と驚きました。
シャクシャクした方は冷めても美味しくて、駅弁向きかも…とちょっと納得。
さて続いて、きゅうりサンドです。
単なるきゅうりサンドでは面白くないので、ブドウパンのときと同様、ミニチュアの世界観を出すために、食材を巨大化させます。
そのためのキーアイテムが、加賀太きゅうり。
加賀野菜として知られる、巨大きゅうり。普通のきゅうりと比べたら、モンスター感ハンパない。
きゅうりは薄切りにして塩コショウをし、白ワインビネガーを振っておきます。
(あとで気づいたのですが、加賀太きゅうりは皮にかなり苦みがあるので、皮を数か所タテに剥いたほうがよさそうです)
食パンも、こびとさんの手に余る大きさを出すため、4枚切りを使います。
2枚セットで、1枚にはバター、もう1枚にはマヨネーズとディジョンマスタードをぬります。
きゅうりの薄切りをてんこ盛りにのせ、もう1枚の食パンではさんでラップをし、しばらくなじませます。
サンドイッチをキレイに切るのが苦手なので、今回この電動ナイフを使ってみた。
キレイに切れたけど、チェーンソーみたいな強烈な音でびびりました…。
きゅうりサンドの完成。
きゅうりサンド:
アフタヌーンティーでも定番の小さなきゅうりサンドイッチは「お口直し感」がありますが、この極厚パンのきゅうりサンドは、すごい食べごたえ。ちょっとだけ、こびとになった気分を味わえます。
下ごしらえに使った白ワインビネガーのおかげで、青臭さも抑えられて、なかなかおいしい。
いなり弁:
おいなりさん、甘い卵焼き、筑前煮、きのこのマリネ(※いなり以外の具は説明がないので想像です)。
なるべくビジュアル通りを心掛けたものの、特に変わった品はないので作り方は割愛。
助六以外でおいなりさんが入った弁当って意外にないから、こういうお惣菜と組み合わせた商品が実在したらいいなー、と思ってしまった。
もう一度集合写真。
お弁当の再現って、やっぱりプラモデルっぽくて楽しいな。
コメント
コメント一覧 (10)
食堂車が消えたのにも、ちゃんと理由があったんですね~。
確かに2時間半だと、食事をゆっくり楽しむ旅としては時間が足りなさすぎますね^^;
超高速列車が走るこびとの国…!
ハクメイとミコチのふたりなら、たぶんそんな時代も「こだま」でマイペースに旅してそうな気もしますねw
わー、過分なお言葉ありがとうございますm_ _m
ハクメイとミコチの料理、モノクロであんなにおいしそうなのはすごいですよね!
料理だけでなく、その前提となる世界観の丁寧な作り込みがあってこそだなあ、と思わされます。
毎回胃袋をつかまれている読者のひとりなので、再現するときもワクワクします^^
はじめまして、コメントいただきありがとうございます!
予想されてたのがちょっとお恥ずかしいですがw、あの揚げ芋のシーンは垂涎モノだったので、再現できて自己満足に浸りました…。
ハクメイとミコチ、何度読み返しても「こんなところにこんな描き込みが…」と新しい発見がありますよね。
今後もぼちぼちやっていきますので、どうぞよろしくお願いします^^
あこがれだった駅弁セット、ようやく再現できました!
読み返すと、ほんとにずっと食べっぱなしですねw>2人(そこがたまらんのですが)
目的地でも釣りをしたあと、きっとミコチがそれを料理して食べたんだろうな…。
アラレちゃんのイチゴショート、覚えていてくださってありがとうございます!
確かに食器で遠近感のひずみを出すテクもありますね…!
次の機会のために、参考にさせていただきますw
長芋でも自然薯でもどっちでも美味しそう。そもそも芋+揚げるは最適の調理法ですし
新幹線から食堂車が消えたのは乗客を少しでも増やす為と、速度そのものが上昇してゆったり食事する必要が無くなったからみたいです
例で言えば東京から大阪まで一番遅いこだまでも四時間、早いのぞみなら二時間半
ソレぐらいだったらワゴンの軽食か出発駅で売られてる駅弁や軽食で充分……なんでしょう
遅いこだまでも東京駅の近くで食事すれば、四時間過ぎて大阪に到着時に丁度少しお腹が空くかな……位です
その点、夜通し朝まで走る汽車の列車では食堂車の需要はまだまだあるという事で
小人の国で高速列車が開発されるまでは、この趣は充分楽しめるのかもしれません
2人の子孫が、今流行りの高級行楽列車に乗って遠くを猛スピードで走る高速列車を見やりながら「こっちの方がのんびりしてていいね」と言いつつ揚げ芋をかじる。なんて夢想もしましたw
はー!たまらん!!!
思えば自分の初コメも、ハクメイとミコチのジャムと無発酵パンだった気がします。
なんかこう、小さいころに読んだ童話やおとぎ話、ほんわりしたアニメ(とんがり帽子のメモルやスプーンおばさんなど)に出てくた料理のような、ノスタルジックな憧憬を感じる作品です。
漫画の白黒の感じもイイし、それがゆうこさんの手で総天然色になるのもたまりません。
丸わっぱ稲荷のあまりにもな本物っぷり、きゅうりサンドが売り物になる世界観とその美味しそさ、そして揚げ山芋!
漫画を読んだときはストーリーの流れもあって、面白い取り合わせだなぁと思ったけど、写真だと本当に美味しそうでワクワクしました。
今回もゴチ(ハート)な写真でした!
書き込みは初めてです。
ハクメイとミコチ、umebonさんの影響で買い揃えて読んでいたのですが
件のエピソードで揚げ山芋を見た時、
「あ、再現してくれそう・・・」と密かに思いました笑
実際に再現して下さって、本当に嬉しいです!
見た目も素敵だし、とても美味しそうで、また読みなおしたくなりました。
今後も応援させて頂きますので、無理をなさらず
楽しんでお料理なさって下さいね。
そういやこの回ではハクメイとミコチは目的地に着くまで、本当に食べてばっかりでしたよねw
目的地に着いてから何をするのかも描いて欲しかったけど、それは次巻で描かれるかなと期待。
加賀太きゅうりサンド、やってみたい!
アラレちゃんのイチゴショートケーキの時も思いましたが、こういうデカチイサイのってほんとファンタジックできゅんきゅんします。
赤ちゃん用のお箸やフォークがあると、さらに遠近感のひずみが実感できそう。