「恋は雨上がりのように」(眉月じゅん)どんでんの味噌でんがく

45歳のおじさんに、17歳の美少女が恋をした。
…というあらすじだけ見たら、「けしからん」「妄想乙」と憤慨必至なマンガ「恋は雨上がりのように」。



小説家を志した過去がありつつも、現在はしがないファミレス店長の近藤。パートのおばさんにも「パッとしない」と陰口をたたかれるほど頼りないけど、その素顔は繊細で心優しい。
こんな彼に、バイトの女子高生・橘さんは思いを寄せる。 雨の日に彼女が告白したことから、ふたりの関係は一変してしまう。

再び「うらやまけしからん」という声が聞こえてきそうですが、この近藤の描き方が、絶妙なんです。
パトレイバーの後藤隊長似の、哀愁漂うこの文学青年崩れのおじさんを、誰が嫌えるでしょうか。同じ中年諸氏は「たまにはいい目をみてくれ!(涙目)」と応援したくなるし、橘さんと同じ目線で近藤に萌える女性も多いと思う。

「恋は雨上がりのように」(眉月じゅん/小学館)4巻より
※【コマ引用】「恋は雨上がりのように」(眉月じゅん/小学館)4巻より

「どんでんの味噌でんがく」は、小説家として成功した大学時代の友人・ちひろと久々の再会を果たした居酒屋で、近藤がうれしそうに食べる一品。

「オレたちと言えばコレだろ?」というちひろのセリフから察するに、学生時代の定番オーダーだったようです。たぶん、この居酒屋で一番コスパがいいメニューなんしょうね。
若き日の友人への複雑な思いがとけて、貧乏学生のころに一瞬で戻れたのはこの味噌でんがくの味のおかげだったのかも。             

そういえば、橘さんがバイト仲間の少女と「胸がときめくもの言いあいっこ」ゲームをする場面がある。
フレンチトースト、ピンクのガーベラ、リボンのサンダル……挙げられる単語にめまいがしそうなほど、17歳の少女を囲む世界の、なんとまぶしくキラキラしたことか。

それに対して、45歳のおじさんがキャッキャするのは味噌でんがく……ギャップにちょっと絶望しそうです。
でも、この何もかも異なるふたりの世界が通じ合う奇跡が、恋愛というものなのかもしれない。

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作り方:
材料は玉こんにゃく、八丁味噌。
それから、コマの絵を見ると、田楽みその上に何かがかかっているので、今回はゆずで再現してみます。
すりゴマとかでもよさそうだけど、なんか近藤氏ってゆず好きそうじゃないですか(じゃないですかと言われてもだが)。

世のおじさんは2タイプに分けられる。「ゆずが好きなおじさん」と、「ゆずに気づかないおじさん」。近藤氏は当然ゆず好きおじさんだ。

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どうでもいいプロファイリングは置いておいて、でんがく味噌を作る。
小鍋に八丁味噌と酒、砂糖、みりんを入れて火にかけ、焦がさないように煮詰める。
もうワンパンチ欲しかったので、練がらしで辛味も加えてみた。

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玉こんにゃくを茹で、田楽みそをかける。

刻んだゆずを散らしたら完成。
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食べた感想:
こっくりした味噌にぴりっとからしがきいて、ゆずのかおりが鼻にぬける。
玉こんにゃくの田楽ってちょっと珍しいけど、手軽にできるしローカロリーだし、家つまみのメニューにいいかも…と、妄想で作ったわりにけっこう気に入ってしまった。

しかし若い頃からこんな激渋メニューが好きなんて…近藤氏、やっぱり筋金入りの地味男子。そこがよい。




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