長期連休はだいたい帰省や旅行の予定を入れちゃうことが多いのですが、今年は自宅でまったり。 せっかくだから、なにか手間のかかる料理でもしてみようかしら…と思い立ち、ずっと作ってみたかった「ドロヘドロ」のラーメンに挑戦してみました。
魔法使いの世界を牛耳るファミリーのボス・煙がその昔経営していたラーメンチェーン「花煙」の一番人気メニュー。
※【コマ引用】「ドロヘドロ」(林田球/小学館)5巻より
ドロヘドロの食シーンは、本編に関係なくてもやたらとディテールを描くのが特徴ですが、このラーメンの説明も
「細めんのこってりしょうゆ味、分厚いあぶりチャーシューと3日3晩特製スープに漬け込んだ揚げキノコのトッピングが好評で……」
と詳細。煙の好物・キノコがちゃっかり乗っているなど、この漫画のこういう細かい描写にグッときます。
あと「花煙」は煙ファミリーの部下、心&能井コンビが出会うきっかけにもなっています。恋愛でも友情でもない「パートナー」として強固に結びついたふたりの意外な過去は、全巻のなかでも1、2を争うほど好きなエピソード。
何かと思い入れがあることもあり、どうせならトンコツスープから手作りで再現してみることにします。
作り方:
最初にチャーシューを作りから。豚バラ肉のブロックをぐるりと巻き、煮る時に崩れないようにタコ糸でしっかり縛り、フライパンで表面に焼き色をつける。
圧力鍋に水とチャーシューを入れ、香味野菜(青ネギ、しょうが、ニンニクなど)と一緒に火にかけて30分加圧。
圧力鍋の茹で汁を別の鍋に取り分け、酒、みりん、しょうゆ、などで適当に味をつけます。これはチャーシュー&揚げキノコ&煮卵の漬け込み用や、スープの「かえし」として使います。
↑のスープにチャーシューを漬け込んでおきます。
次は揚げキノコのトッピングの準備。 今回はしいたけ、エリンギ、しめじで。適当にカットしたキノコを、サラダ油+ごま油をミックスした鍋でさっと揚げます。
揚げたキノコは↑上で作った漬け汁に入れて、3日間漬け込みます。
キノコの仕上がりを待つ間に、いよいよスープ作り。
「細めんのこってりしょうゆ」ということで、濃厚しょうゆトンコツをイメージ。
トンコツスープの作り方をネットで調べてみると、豚のゲンコツ(ひざ関節の部分)という部位を使うらしい。業務用店や精肉部門のあるスーパーなら手に入りやすいようです。
ゲンコツから濃厚スープをとるには、骨を切断して髄の部分を露出させる必要があります。 しかし包丁やトンカチでいくら奮闘しても、ゲンコツはビクともしません。健康優良な豚だったのでしょうか……。
これ以上骨を持って「切れない…」と途方に暮れた状態でいると、ご近所であらぬ誤解を受ける事案が発生しそうなので、別の手段を考えることに。
ホームセンターで糸のこを購入。
骨にある程度切り込みを入れ(結構大変)、トンカチで叩くとようやく骨が割れました。なんか、もはや私の知っているほっこりなクッキング風景ではない。でもこういう殺伐としたシーンって「ドロヘドロ」っぽいな、とある意味満足。
割ったゲンコツをタワシなどを使いながらよく洗い、寸胴鍋に入れて水から下茹でします。30分くらいしっかり茹でます。
再度水をたっぷり貼り、下茹でしたゲンコツを茹でます。ここから10時間ほど火にかけます。ヒマな人にだけ許される時間の使い方です。
白いトンコツスープはいわゆる「乳化」でできるものらしいので、アクをとりながら強火でしっかり沸騰させます。1時間もするとスープが白っぽくなってきます(このへんで、匂いも「獣臭」→「ラーメンの香り」になってきます)。
水分が減ったらお湯を足して2~3リットルはキープします。
外から帰ってきた家人が「なんか玄関から二郎の匂いがするんだけど…」とおびえていました。
途中で香味野菜を足し(ドロドロになる前に引き上げる)、さらに煮込みます。鍋底がこげつかないように、時々かき混ぜます。
5~6時間で乳化が進んで、かなり白濁した状態に。あれだけ頑丈だったゲンコツも煮崩れて、ぼろぼろの小片に……これもなんかドロヘドロっぽい。
もうちょっと「こってり」感が欲しいなあ…と思い立ち、背脂を調達(これも精肉部門のあるスーパーなら、置いてる場合があるようです。今回はご厚意で分けていただきました)。
鍋に投入し、一緒に煮込んでいきます。
10時間ほど煮込んで、かなり濃厚なスープが仕上がったので、最後に漉して完成。
漬け込んでいたチャーシューはタコ糸をほどき、バーナーで表面を炙ります。
温めた丼に「かえし」を注ぎ、ゆでた細麺を入れてトンコツだしを注ぎ軽くほぐします。
厚めにスライスしたあぶりチャーシュー、3日3晩漬けた揚げキノコ、煮卵、ネギ、お好みで背脂(茹で終わったものを細かくしたもの)を加えて完成。
ついでに箸袋も作ってみました。
食べた感想:
素人が初めて作るトンコツなんて、果たして食べられるモノになるのだろうかと不安でしたが、ちょっとびっくりするくらいうまい。思わず一瞬脱サラを考えてしまったほど(※ネットのレシピのおかげです)。
あと、揚げキノコがトンコツと相性◎。ラーメンにキノコのトッピングって珍しい気がするけど、これはもっとメジャーになってもいいかも。さすが煙さんやで(店が潰れたのもキノコの食中毒がきっかけだったみたいですが…)。
正直、途中から単なる「スープ奮闘記」になってしまった気もしますが、トンコツをイチから作る過程はある意味カオスそのもの、「ドロヘドロ感」があって、自己満足的に楽しめました。
しかしトンコツを作る手間と時間の大変さを知ってしまったので、今度からラーメン店でうかつにスープ残せなくなりそう…。
ちなみにドロヘドログッズを扱っておられるMHz SHOPさんで、今度こんな食器が出るそうで…!(以下ツイート引用)
MHzSHOP@MHzSHOP食器はギョーザ皿、調味料入れ3個セット、ギョーザ男の取り皿の3種類です!れんげはノベルティとなります!どうぞよろしくお願いいたしますー! http://t.co/l1YufCGkQ0
2015/09/25 22:27:32
これはギョーザが捗りますね。花煙のラーメン鉢の開発もぜひに、ぜひに(嘆願)。
コメント
コメント一覧 (8)
二郎のにおいがする、と言われた時は、「ご近所から苦情がきたらどうしよう」とビクビクしました^^;
ドロヘドロ、ほんとにご飯がおいしそうですよね。
20巻はアスが作る餃子が、たまらなくおいしそうでした…!
ラーメンってこうやって作ってるんだ~(「かえし」と「スープ」は別、とか)、と意外と知らないことだらけで、いろいろ勉強になりました^^;
ドロヘドロ、独特の世界観と陰惨なのにギャグもさえてる、という点では確かに沙村先生っぽいかもしれません!
でももうちょっとカラッとしてるかも?
20巻超えそうな巻数ですが、ハマると一気に読めるので、機会があればぜひ^^
ありがとうございます!そう言っていただけると、連休をつぶした甲斐がありましたw
検索すると、ラーメンを自作する方々が結構たくさんいて、公開されているレシピがすごく参考になりました。
ネット時代ってありがたいなあ…と実感しました。
そうなんです、初めて自分でスープから作って
「どんなギトギトのスープでも、もう二度と残しません」と誓いたくなりました^^;
でも健康のことを考えるとしょうがないですよね……。
あと昔読んだ東海林さだお先生の本で、ラーメン店の店主は「スープでテラテラ」か「スープでヘトヘト」になっている顔の二種類ある、と書かれていましたが、それも納得でしたw
おぉう、今回のもすごいですねぇw
ラーメンスープを家で手作り、ラーメン好きの夢かも知れませんねぇ。
二郎のにおいのするおうちって素敵ですw
ドロヘドロって地味に飯漫画ですね。
殺伐とした戦闘シーンとかの合間にぽこっとこういうのが、新しい魅力に気がつきました。
冗談はさておき。
今回はまた物凄い頑張りましたねー!超本格的じゃないですか!!
一度食べてみたくなりましたよumebonさん作花煙ラーメン☆
ドロヘドロは未読なのですが、パッと見た感じ沙村広明さんと似たような作風なのかしら??
手間のかけ方が、趣味レベルを越えてますね。笑
いつも楽しみに読んでいますー!
前回のラーメン更新のついでに作られたのかな?
なんて思いページを開いてびっくり!!
何という手間暇のかかったお家ラーメン…
しかし、改めてこうしてラーメンを作る手順を見せられると
確かにラーメン屋にて「塩分、カロリー気になるからスープ残そ」なんて言ってた自分を殴りたくなりますね。
しかし、花煙のラーメン、食べてみたいです!