やっと九井作品のご飯を再現できて、自己満足に浸っています。
短編集「ひきだしにテラリウム」で描かれる、架空のご飯ワールドのセンスに脱帽したので、九井先生が新作で「食」をテーマに描く、と知ったときは「編集者はわかってらっしゃる!」とうなずいたものでした(えらそうに)。
しかし発売された「ダンジョン飯」1巻に登場する料理は、舞台がRPG風ファンタジーだけに、出てくるのはガチの非実在食材。
スライムとかミミックとか、カルディにも新大久保(※やたらとマニアックな食材が揃う素敵なまち)にも当然置いてないので、「あの食材を代用したら雰囲気だけでも近づけるかな~」と妄想をたくましくするしかありません。
※【コマ引用】「ダンジョン飯」(九井諒子/KADOKAWA)2巻より
そんなみんなの悩みに応えてか(?)、先日発売された2巻では、人間界でも手に入りやすい材料で再現可能なレシピが登場しました。
第9話に登場する、手作りパン&クレープにはさんで食べる鶏のキャベツ煮の献立です。
「盗れたて野菜と鶏のキャベツ煮 略奪パンとご一緒に」とこじゃれた名前のつけられたこのメニュー、1~2巻に登場する料理のなかでは最もノーマルで作中世界に近い再現ができそう。
念願のダンジョン料理、わくわくしながら挑んでみました。
パン(作り方):
まずはパン作りから。作中でパンを発酵させる種となったのは、オークが略奪先から持ち帰った「腐った乳」。
ということで、イメージ的に近そうなヨーグルト酵母を起こしてみます(天然酵母初心者でも扱いやすいらしい)。
※作り方はこちらのレシピを参考にさせていただきました
ボウルに強力粉(300g)、塩(小さじ1)、砂糖(大さじ2)、水(180cc)、ヨーグルト酵母(大さじ2)を入れて混ぜます(※分量は自宅のホームベーカリーの天然酵母パンのレシピを参考にしていますが、酵母はもうちょっと多くてもよかったかも)
生地がまとまったらオリーブオイル(大さじ1)を加えてこねる。生地がきれいに伸びるようになるまで、打ち粉をした台にたたきつけながらしっかりこね続けます。
ボウルに入れてラップをし、生地が2~3倍になるまで暖かい場所で一次発酵。 今回は半日ほど置いたのですが(知らなかったけど、イーストと違って天然酵母って時間かかるんですね)、ちょっと過発酵になっちゃった……。
軽く生地のガスを抜き、等分(今回は12等分)して丸めます。作中の描写にはなかったけど、念のため1時間ほどベンチタイムも設けました。
鍋に生地を並べ、二次発酵させます(1時間ほどですが、パンが固めに仕上がってしまったので、もっと長くてもよかったかも)。 鍋はストウブを使っています。
コンロとオーブンで半々ずつ焼くので、オーブンが使えてフタのある鍋なら何でもいいかも。
鍋にフタをし、ごく弱火で30分ほど焼きます。 フタで少しつぶれちゃったけど、パン生地が下からぐーっと伸びあがってきます。
フタをとり、180度に予熱したオーブンで30分焼く(パンにきれいな照りを出すなら、オーブンに入れる前に卵液をパン表面に塗っておく)。
焼きあがり。天然酵母パン、のんびりしてていいけど時間かかるんですね…。
底もしっかり焼けました。 高さのある鍋で焼いたので、作中とちょっと違うシルエットになっちゃいましたが…。底の浅い鍋なら、もっと近い形になったかも。
ピリ辛鶏と丸ごとキャベツ煮:
続けてメインディッシュ。おもな材料はキャベツ、にんじん、玉ねぎ、鶏肉、唐辛子。これをどう調理するかはほとんど説明がないので、コマの絵から妄想するしかありません。
鶏肉は絵にあわせて手羽にしました(でも色んな部位をミックスしてもよさそう)。ボウルに入れて塩、みじん切りした唐辛子を揉みこみます。
キャベツはどうしようかな…。「丸ごと」とあるけれど、刻んでいるようにも見えるので、とりあえず適当な千切りにしてみる。にんじんは輪切り、玉ねぎはざく切り。
鍋に玉ねぎ→にんじん→鶏手羽、の順に重ねて並べ、水を入れてフタをして煮込む。
キャベツがしんなりと煮えたら、塩コショウで味を調える。マルシルが「辛っ」という反応をしていたことを思い出して、唐辛子の輪切りと一味も追加してみる。
クレープ:
最後に、メインディッシュをくるんで食べるクレープを準備。
小麦粉、塩、水、オリーブオイルをボウルでよく混ぜ、一度漉す。フライパンで両面がパリッとするまでよく焼く。
※「クレープ」という言葉に引きずられて上記の配分にしちゃったけど、水分減らしてチャパティ風にしてもよかったかも…
念願のダンジョン飯、できあがりました。
手作りパンは小分けにちぎって食べるのが何だか楽しい。発酵で失敗したせいか、みょーに噛みごたえのある仕上がりになっちゃいましたが…。
鶏のキャベツ煮は唐辛子をたくさんぶちこんだので、ピリ辛というより激辛ですが、ポトフっぽくて食べやすい。
あっさりしてるし汁気もあるので、クレープにはあまり合わないけれど、そこは主人公たちにとって異文化であるオークの食生活なので、違和感を感じるレベルでいいのかもしれない…と勝手に納得。
ひとつ前のエピソードでは、ドワーフ族のセンシがほぼ同じ材料で作るキャベツ煮が登場します。
オークとドワーフ、種族によってまったく違う食文化が存在する。 王道のRPGでは描かれない些細な描写だけれど、なにより彼らを身近に感じさせてくれるじゃありませんか。
コメント
コメント一覧 (12)
なるほど、マンドレイク≒ジャガイモ というのは思いつきませんでした!
高麗人参は単に見た目が似てると思って使ったのですが、ジャガイモの芽が伸びた状態ならビジュアルも近づけるかしら…(危険)。
ところでマンドレイクですが実在のマンドレイクはナス目ナス科マンドラゴラ属に当てはまり、マンドラゴラ属に当てはまるものがマンドレイクそのものしかないらしく、代用品に同じナス目ナス科まで遡ってなおかつ根菜であることを考えるとジャガイモが妥当ではないかと言う意見もあったりするそうですよ、
わー、確かに鶏ひき肉のほうが、クレープにあわせるには食べやすそう!
(手羽先だと、ちょっと食べづらかったですw)
ナンとパン、たしかに被り感が…「ダブル主食」がオークの食文化なのでしょうか…。
そうなんです、「ようやく一般人でも再現できるメニューが…!」と読んだときにテンションが上がりましたw
一番の理想は、確かに絵の中に入って一緒に食べることですよね~。
今後バーチャルリアリティーの技術なんかが発展したら、そんなことも可能になるのかしら…と夢広がります。
モンスターがあんなにおいしそうに見える漫画もないですよねw
でもどうがんばっても再現できないし…とハンケチを噛みしめていたのですが、ようやく普通の食材が出てきて狂喜&乱舞でした。
九井先生作品では、「ひきだしにテラリウム」の「すごい飯」「○△□を食べる」のエピソードにも度肝を抜かれたので、ショートショートの料理描写ももっと読んでみたいなあ、と思ってます。
わー、もったいないお言葉ありがとうございます!(こ、告白まで…!///)
料理漫画と違ってレシピがないので(といってもダンジョン飯はまだ詳しく書かれてる方ですが…)、自分であれこれ考えながら作るのが怖くもあり楽しくもあるので、読んでくださる方に伝わったのならすごくうれしいです^^
しかし確かにより忠実にするなら、そもそも食材を盗んで調達しないといけませんねw
≫すき焼き鍋
なるほど、その手があったか…!と目からウロコです。
確かにすき焼き鍋ならオーブンに入れられるし、形状もベストですね。
うちも持て余しているすき焼き鍋があるので、今度機会があれば試したみたいです…!
1巻のときから作ってみたかったのですが、ようやく実現できてうれしいです*゚。+(n´v`n)+。゚*
味付けが辛口なら馴染みそうですし
松屋の麻婆豆腐で火を吐きながらそんな小並感を感じました
しかしナンとパンに対しておかず一つってダブり具合が凄い
変に偏った感じで掻っ払ってきましたって感じですね
まァ確かにこのメニューが一番無難に再現できそうですしね。
絵の中の料理は昔のやつだと豪華な料理が並んでいる絵が多いから、その中に入って食べてみたいなと思います。
スライムの干物とか宝石みたいな虫とか、わけわからないのにおいしそうなものがいっぱいでいいですよねダンジョン飯。
でもこの料理はほどよく身近で遠くて、近い国の料理みたいでわくわくします。
パンはハードルが高いですがキャベツ煮は真似して作ってみます!
おもしろーい! とワクワクして読みました。
キャベツはどうしよう、とか、「辛!」とか、ファンタジーのレシピを想像というより創造して現物にしていく過程、マンガ食堂ってマンガのワンシーンだ~。こういうのやってるumebonさんが、好きだ!(告白/笑)
タイトルから、ぬ、ぬすみに入ってるんじゃ・・・とドキドキしましたが、そうじゃないみたいでよかった^x^
パンの焼き方がうちとおんなじで、仲間だ! とうれしくなりました。
(わたしはすき焼き鍋をガスコンロで温めてから、レンジに入れます。すき焼きを作ったことない、パン鍋・・・)