「MASTERキートン」の続編が始まる、というニュースに心躍ったのは数年前のことでした。
2012年からビッグコミックオリジナルで連載が始まり、2014年末に満を持して単行本化。 94年に連載終了した前作から約20年、キートンはどんな姿で登場するのか…連載は未読、単行本で初めて目にする私はワクワクしながら手に取りました。
キートンはシワは増え白髪も目立つものの、やっぱりキートンでした。頭も体もキレッキレだし、飄々としたキャラもそのまま。
ただ、探偵事務所を閉鎖して学業に専念するものの、アカデミズムの世界では「ロマンチックなアマチュア」扱いされまともに認められないことに、悩みや苛立ちも抱えています。そんな普通の人間らしい姿が味わい深くもありました。
※【コマ引用】「MASTERキートン Reマスター」(浦沢直樹/長崎尚志/小学館)より
キートンといえば、滞在先のご当地料理をガツガツと食べるシーンが印象的でしたが、続編でもその好奇心と食欲は健在。
今回作ってみたのは、7話に登場する「ブラジオリ」。父と同じ考古学の道に進んだ娘・百合子が、キートンのためにふるまったマルタ島の家庭料理です。
「肉団子の牛肉包み」と作中で説明されているとおり、ミンチ肉の団子を薄切り肉で包み、トマトソースで煮込んだ料理のよう。
海外のレシピを調べると、案外日本にある材料でも作りやすそう。見よう見まねで再現してみます。
作り方:(※分量は参考まで)
まずはトマトソース作り。鍋にオリーブオイルを熱し、つぶしたニンニク(2片)とあらくみじん切りした玉ねぎ(2個)を入れて炒めます。 トマト缶、ワイン、ローリエ、みじん切りしたパセリ、バジルを入れて煮込み、塩・コショウで味付け。
次に肉団子。ゆで卵2個(生卵でもOKのようです)、エシャロット(3本)、パセリ(1束)、にんにく(1片)、オレガノ(小さじ1)をみじん切りしてボウルに入れる。ここに牛ひき肉(300g)、刻んだベーコン(2枚)、粉チーズを入れてよくこねる
。
↑のミンチ肉をタワラ状にまとめ、薄切りの牛肉で全体を包む。 一枚で包めるような大きな薄切り肉はスーパーではあまり置いていないので、何枚かの薄切り肉をつないで一枚肉にしました(右写真)。
作っておいたトマトソースでじっくり煮込みます(包んだ肉がはがれるかもしれないので、タコ糸で縛りました)。 肉を盛り付け、ソースをかけて完成。(つけあわせは茹でたじゃがいも&ズッキーニのソテー)
食べた感想:
肉団子を肉で包む…って、意外となかった発想ですが、トマトソースで食べるせいか案外しつこくなく、さっぱりしておいしい。大人のハンバーグという感じで、赤ワインがすすむ。
マルタ島はその立地と歴史から、イタリアと多くの共通点がありつつ、中近東やイギリスの影響も受けているという、ユニークな食文化。父をもてなすのに、地元の人にレシピを教えてもらうなど、入念にリサーチする百合子の食への好奇心もまた、父親ゆずりかもしれません。
同じエピソードに登場する料理では、デザートの「ハルヴァ」も印象的でした。この再現が失敗続きでなかなかうまくいきません……。
でもどーーしても食べたい料理なので、負けずに挑まなくては。成功したらまたここでご報告します!
コメント
コメント一覧 (12)
たしかに猪熊滋悟郎も喰いっぷりスゴかったですねw
浦沢先生って「食べてる」表情を描くのがすごくうまいんだなー、とあらためて気づきました。
ダンジョン飯、好きなので実はやりたいですw
なんとか現実に近い材料で再現できないか…と妄想中なので、がんばりたいと思います^^;
はじめまして、コメントありがとうございます!
(皆様のヒマつぶしになるだけで光栄なので、にやにや読んでいただけてうれしいですw)
「薄花少女」、恥ずかしながら存じ上げませんでしたが、
なんてすてきなタイトル…と思いながら検索してみたら、絵もイメージどおりかわいいですね^^
機会があればぜひ読んでみます!(スダチ入りポテトサラダも気になります)
ハルヴァ情報ありがとうございます!
実はまさに初回、グレーテルのかまどのWebレシピを参考にして作ったのですが、わたしの手際が悪かったようで、失敗してしまいました…(涙)。
動画で手順を確認したいんですが、NHKオンデマンドにもないみたいだし…引き続き地道に再チャレンジ&研究続けたいと思いますTT
グレかま面白いですよね^^
瀬戸くんがもはやパティシエなのでは…というくらいスキルが上がってて、見習いたい…。
そーなんです、2012年ごろ連載が再会して、ようやく単行本にまとまったのでファン歓喜でした^^
政治から歴史まですごく幅広く展開されるので、どのエピソードもいま読んでもおもしろいです。
しばらく絶版だったんですが、数年前に完全版も出て手に入りやすくなってるみたいなので、機会があればぜひ~(あとアニメ版も出てます)。
たしかにこれ肉肉しいし、育ちざかり向けの料理ですねw
チーズを入れるのもおいしそう・・・!
ブラジオリはいろんな作り方があるみたいで、確かに煮込む前に焼いてるレシピもありました!
そっちのほうが煮崩れもしづらいかもしんないですね。
マルタってこれまであまり意識してこなかった地域ですが、調べると文化の交流地点で面白いですね。
ちょうどこないだ新宿でマルタの輸入食品フェアがあったので行ってきたのですが、あまり見慣れない料理がたくさんあって面白かったです^^
学会で認められないことに悩むキートンがちょっと切なかったですが、確かに百合子が一番の理解者ですね…。
(そして結婚→離婚までしてることにびっくりしました)
採集生活さんのブログ初めて拝見しましたが、珍しいレシピがいっぱいで楽しい!
「ハルヴァ」じゃなくて「ハルワ」という呼び名もあるんですね。
参考にして、引き続き研究を続けたいと思います٩( ‘ω’ )و
再開後のキートンの喰いっぷり、なんとなく猪熊 滋悟郎を彷彿させる様です
最近は「ダンジョン飯」が面白いんですが、まさかコレはやりませんよね(苦笑)
写真やレシピだけではなく文章も楽し過ぎてにやにやしながら拝読していますw
一冊、漫画をおすすめさせてください!偉そうに言っておいて、読んだことがあったら申し訳ないのですが……。
三浦靖冬先生の「薄花少女」です。二巻まで出ています。料理漫画ではないのですが、二巻目の方にイカナゴの釘煮など、スダチ入りポテトサラダなどなど、おいしそうな何品か料理が出ています。宜しければぜひ!読んでみてください〜。
これからも楽しみにしています!
ハルヴァって聞いたことがあると思って調べたらNHKのグレーテルのかまどという番組で再現してましたよ。名前から想像できないものだったので覚えてました。サイトにもレシピが乗っているのでご参考下さい。
一度連載終了してまた再開したんだ。
キートンさんは世界をまたにかける仕事をしてらっしゃるのかな?
(そういう事すら知りません(^▽^;))
その土地土地の料理が食べられるのは羨ましいw
今回の料理はがっつりお肉料理で育ちざかりが喜びそうな感じですね。
ソースを濃い味にしてみたり塊のチーズをINしてみたり・・・
機会があったら読んでみたいなMASTERキートン
焼いた事で旨味を中に閉じ込められるかもしれませんし(小並感
後、個人的には玉ねぎ少なめのトマト多めでソースが真っ赤なのが好みっぽい(やはり小並感
聞きかじりですが、マルタを始めとする地中海沿岸部って文化のちゃんぽんだったようです
東西の交易で食品や食生活の交流が多く、イタリアのトマト食文化もジブラルタルを超えて新大陸からやってきたトマトが始まりですので
この料理の付け添えに出るじゃがいもとズッキーニも原産は新大陸ですし、こう見ると料理って交易の集大成なんですねぇ
当然このReマスターも買いました!
百合子ちゃんがお父さんの一番の理解者なんだなぁって思ったです
そしてそんな娘の斜め上を行くキートンさんの大きさがしみじみした巻でした
毎回、美味しそうに食べるキートンさんが好きです~
採集生活さんでハルワの名前で色々載せていますよ
ご自分でも作っているみたい