先日、映画「リトル・フォレスト」(冬・春編)の試写を見てきました。
原作が好きすぎて「イメージと違ったらどうしよう…(単なるおしゃれほっこりロハスムービー化してたりしたら…)」と、前作公開時はなんとなく避けてしまったのですが、杞憂でした。
「ここまで原作の世界観を忠実に映像化してくれるなんて」とうれしくて上映中に思わず涙。 橋本愛ちゃんは可憐な美少女のイメージが強かったのですが、今作では少年のような凛々しい美しさでした。
※【コマ引用】「リトル・フォレスト」(五十嵐大介/講談社)2巻より
劇中でおいしそうな料理をたくさん見たせいで、そういえば暖かくなる前に作ってみたいメニューがあったんだった……と思いだして挑戦してみたのが「大根タルト」。
あけびやヤマグワなど、季節ごとの果物を楽しめる小森の村の生活。 しかし春先にかけて果物がとれない時期があるようで、主人公のいち子は食べきれないほど収穫できる「春蒔き大根」をデザートにしようと試行錯誤します。
大根に似ている果物=リンゴ、という発想で作ったのが、アップルパイならぬ大根のタルト。
一作目、幼馴染のユウ太が試食した感想は「たくあんのタルト」。 改良した二作目も 「どこか有名な店で出されてな『これはこういうものなのです』って言われれば……もしかしたらおいしいのかもしれない」 と、あんまりな感想w
大根は創意工夫でリンゴになるのか。おいしいのか、おいしくないのか。ずっと気になっていた疑問に挑んでみました。
作り方:(分量は参考まで)
大根は下のほうは辛みがあるので、青首の部分(上の部分)を使います(300gほど)。
縦半分に切り、薄く半月切りにします。
薄切りにした大根を砂糖と酢で漬け、おもしをしてしばらく置きます。
大根を漬けてる間にタルト生地にとりかかります。
タルト生地はさっぱり仕上げるために、バターではなくサラダ油を使うのがポイントのよう(サラダ油を使ったタルト生地の作り方は、こちらやこちらを参考にさせていただきました)。
ボウルに卵(室温に戻しておく)1個、砂糖30gを泡だて器でよく混ぜ、サラダ油30gを入れてさらに混ぜます。
ふるった薄力粉150gを入れ、粉っぽさがなくなるくらいまでさっくり混ぜる。生地をまとめ、ラップにくるんで冷蔵庫で15分ほど寝かせます。
甘酢に漬けた大根がしんなりしたら、水分をぎゅっと絞って、シナモンと砂糖(今回はきび糖)をまぶしておきます。
冷蔵庫にねかせていた生地を2等分し、ひとつをのばしてからタルト型に張り付けていきます。生地の底にフォークで穴をあけ、大根を入れます。
もうひとつの生地をのばしてタルトの上部にフタをし、切り込みを入れ、卵液を塗って予熱した180度のオーブンで、様子をみつつ45分ほど焼きます。
16cmのタルト型を使ったのですが、生地が少なすぎたようで、えらい薄いタルトになってしまったorz 挑戦される場合、もっと小さい型を選ぶか、上記の分量を増やすことをおすすめします。
オーブンで焼いてる間、家人に「おでんの匂いがする…」とつぶやかれて不安になりましたが、焼き上がりはちゃんとお菓子っぽい匂いです。
粗熱がとれたら切り分けます。
食べた感想:
おそるおそる試食してみると、おお、思ったよりも「リンゴ」っぽいぞ! シナモンのおかげか大根独特の臭いもあまり気にならず、ちょうどいい甘酸っぱさとシャキシャキした食感は「外国のリンゴに似た果物を使ったタルト」と説明されたら、信じてしまうかも。
さらにフルーツっぽく改良するなら、甘酢漬けの砂糖をメープルシロップにかえてみたらどうかしら。洋酒を入れてみてもいいかも?ドライフルーツやナッツとあわせたら……などなど、お菓子作りが苦手な私でも、あれこれ「次の試作」への妄想が膨らみます。
でもそこはやはり、あくまでも「代用品」。 村にイチゴやヤマグワが実る季節がくれば、本物の果物のおいしさに夢中になって忘れてしまう。
「だから“大根タルト”は今年も未完成」
スーパーに行けば、いつでもいろんな果物が手に入る。その便利さは捨てがたいけど、「ない」ことを受け入れるって、なんて素敵でクリエイティブなんだろう。味わい深くて大好きなオチです。
コメント
コメント一覧 (9)
はじめまして、コメントいただきありがとうございます!
(鍵コメントでいただいた件、確認遅く&対応遅れて申し訳ありませんm__m)
大根タルトを過去に作られたとのこと、ブログのお写真拝見しましたがおいしそうです!
大根のお菓子なんて初めてで、作る前は相当不安だったので、事前にこちらのお写真を見ていれば、安心してもっと早く挑めたかもしれません^^;
メディアファクトリーさんのコミックエッセイシリーズ大好きなので、せきね先生のご著書もチェックさせていただきますー!
野菜系のスイーツはいろいろありますが、大根は私も初体験でしたw
大根コンポート、気になって検索してみたら、確かにありました…!
http://www.hanasaki.or.jp/recipe/daikon_02.html
オシャレでびっくり@_@
こちらのレシピでもレモン汁を加えているようなので、大根のにおい消しに効果あるのかもしれないですね~。
コメントいただきありがとうございます!
確かにお酢よりも柑橘系の果汁を使ったほうが、よりお菓子っぽくなりそうですね~。
いろいろ改良ポイントを探るのも面白いです^^
なるほど、確かにそうですねえ>消極的な必然か好奇心のどっちか
たまに「代用案」が奇跡のおいしさになったりするのが、料理の面白いところかもしれませんね^^
確かにおかず風のパイにしたらどうなるのか気になりますね!
甘い大根タルトがこれだけ美味しかったのだから、ハズしちゃう可能性は薄い…かも?
(冷凍庫に余ったパイシートがあるからやってみようかしら…)
ブログはもうだいぶ前からたのしく拝見していましたが、今回五十嵐大介氏の『リトル・フォレスト』しかもあの「大根タルト」再現ということで、ぐぐっと体温が上がってしまいました。
私も過去数回つくったことがあります。(写真だいぶひどいですが…http://ameblo.jp/dora-yurai/entry-11550571089.html)おそらくumebonさん作のものよりも大根がくったりした仕上がりで「『たくあんのタルト』は言い得て妙!」とものすごく納得しておりました。umebonさんの大根タルト、生地がぱりっとしておいしそうです。
私も五十嵐氏には遠く及びませんが、田舎暮らしをしており、その様子を自己流マクロビレシピとともに『ゆるゆるマクロビ生活』(KADOKAWA/メディアファクトリー)というコミックエッセイに描いたりしております。もしご興味がありましたら、お手にとってみていただければうれしいです。
…すみません、さいご若干宣伝めいてしまいました。長々と失礼いたしました。これからもおいしいたのしいブログをたのしみにしております!
昨日コメントさせていただきました、せきねゆきと申します。
大変申し訳ありません!私、誤ってメールアドレスを記載してしまっていたようです。投稿後コメント編集や削除等はできないようでしたので、もし可能でしたら、umebonさんの方で昨日の投稿を削除していただき、本投稿に続けて再投稿させていただくコメント(昨日と同内容でメールアドレス削除版)をあらためて掲載いただくことは…できないでしょうか…?
日々多忙なumebonさんに、私のミスからこのようなお手数をおかけしてしまうこと、深くお詫び申し上げます。もしも可能でしたら…ご対応いただけると、たいへんありがたいです。
失礼いたしました。これからもブログをたのしみにしております。
大根をコンポートとかにしてフィリングにしてもよさそうですね。
検索したらレシピがいくつかありました。
大根のにおいは・・・アルコールとかレモンとかで加工してみてはどうだろうか・・・
とも思ったのですが、シナモンで挑戦してみても残ってたくらいですからかなりの強敵みたいですねこれは(^▽^;)
今回のレシピ、甘酢のお酢をレモン汁かオレンジジュースにしても
良さそうですね。
前者は代用が必要でなくなれば直ぐ廃れますし、好奇心も飽きれば同じく
オリジナルと同じかそれ以上に美味でなければ定着しないってことでしょうかね
………個人的にはおでんの大根を強めに煮染めて水気を切り
程々の厚さにスライスしたのをパイ包みにしたらどうなるかなってふと思いました
パイって煮物を包んで焼く場合も多いし、甘さとは違うアプローチになるかなぁと