「3月のライオン」では主人公の零君だけでなく、さまざまな棋士たちにもスポットが当てられます。
怪物・宗谷名人のように華があってマンガ的にもキャラが立っている人たちだけでなく、普通の将棋漫画ならスルーされてしまいそうな、地道な勝負を続ける棋士がエピソードの主人公になることもあります。
10巻に登場する入江さんもそのひとり。 子供のころに海でおぼれかけた経験から、「決してパニックをおこさない事」を信条に生きてきた棋士。
零との対局の日も、天才高校生である零と、20年かけてこつこつ同じランクに上った自分を会長(デリカシー皆無)に比較されても、にこやかに「勉強させてもらいます」と返すような人柄(カッコよすぎてホレる…)。
そんな常にマイペースな彼にも「精神安定剤」的なものはあるようで、対局のときはエネルギー源として缶しる粉が欠かせないよう。零との対局でも休憩時間に「かーっ甘っっ」としる粉を飲みながら、落ち着こうとする様子が印象的でした。
リアルの将棋界でも、カリスマ性やユニークなキャラで人気を博す棋士たちもいますが、ほとんどの棋士は入江さんや9巻に登場した土橋さん、それに島田さんのように、地道にコツコツと努力を続けてきた人たちなんでしょう。
零や宗谷のような天才だけでなく、そういった人たちの姿の丁寧な描写こそ、この作品のもうひとつの大きな魅力だといえます。
※【コマ引用】「3月のライオン」(羽海野チカ/白泉社)10巻より
そんな入江さんが零との対局のあとにバーでひとり注文したのが、冷やしあめの小瓶。
ひと口飲んでから、バーのママに氷とウイスキーを入れてもらい「あめスキー」に。
珍しい飲み方にほかの客も驚きますが、
「私も最初は驚いたけど――でも これが意外とクセになるのよ」
とバーのママ(美咲ママ?)が語るように、なかなかおいしそうでもあります。
入江さんが飲んでいた、あのビンの冷やしあめは実在するのかしら……。 と気になって調べてみたら、広島の桜南食品というメーカーさんが出しているワンカップのひやしあめ(ページ左下の商品)が作中に出てくるものによく似ています。
お取り寄せしてみたのがこちら。 ビンの柄は三種類あるようで、かわいい花柄タイプが2種類、「ひやしあめ」と書かれたものが1種類。どれもレトロでかわいいです。
飲み終わったらプリン容器とかにしてもよさそう。
アルミのフタを開けて飲む方式のようです。アルミの表面がところどころヘコんでいて、ユルい感じで密閉されているのがまたレトロでいい。
氷を入れる前にそのまま一口飲んでみると、ジンジャーエールともまた違う、生姜の風味が広がります。かなり甘いけど、砂糖だけでなく麦芽飴が入っているせいか、まろやかにも感じる。
ロックアイスを入れて、ウイスキーを注いで混ぜます(量はお好みで)。
かわいらしい花柄グラスに甘いウイスキー、というなんだか不思議な取り合わせ。
濃厚な甘さにウイスキーの香り、ショウガの懐かしい風味は、「勝負のあとの美酒」にふさわしい味かもしれません。炭酸で割ったら、ジンジャーハイボール風にもなるのかな? 余った冷やしあめでまた試してみよう。
ところで、入江さんは零君との対局に勝ったのか? 負けたのか? はっきりと描かれてはおらず、文脈からすれば負けたととらえられそうですが、読み方によっては勝ったと見る人もいるでしょう。
どちらにしろ、この白黒つけない余韻のある終わり方こそ、入江さんのエピソードにふさわしい締め方だなあと思います。
レモン味もあるようです。
コメント
コメント一覧 (12)
毎巻のおいしそうなシーン、楽しみのひとつです^^
棋士にもおやつタイムがあるように、読者のおやつタイム的に羽海野先生があえて用意してくれてるのかもしれないですね。
>零と入江さんの対局
そうなんですよね、あの巨大魚のシーンを見ると負けたように思えるし、のりりさんのコメントにあるように、そのあとのバーの描写だと勝ったようにも読めるし・・・。
どっちに受け止めてもいいんだ、と解釈してます^^
滑川七段、わたしもまた再登場してほしいキャラです!
悪役キター!と思ったら、単にすごく悪役顔なだけだったというw
はじめまして、コメントありがとうございます!
確かにあのコマを見ると、勝ったと読めますよね。
その前の巨大魚の心象風景の描写からすると負けたようにも読めるし、読者に解釈ゆだねられているんでしょうね。
入江さん好きの私はやっぱり勝っててほしいですが^^
ぼちぼち更新していますので、またどうぞお越しください!
さて今回の零と入江さんとの対局は、私は零が勝ったと解釈しています
入江さんの心理描写の巨大な魚(多分リュウグウノツカイ)との対峙の後の気泡は溺れてしまったという事、つまり負けた事を暗示していたのではないかと
三月のライオンは、今回の入江さんに限らず魅力的なサブキャラが多数描かれているのが良いですよね
私のお気に入りは9巻に登場した滑川七段です
キャラの濃さと良いキャッチコピーの秀逸さと良い文句なしです
流石に準レギュラーはないでしょうけれども、たまには登場して欲しいキャラです
いつも、参考にさせてもらってます
勝負は勝ったんだと思いますよ
負けたら反省して対戦表確認で
勝ったら祝杯ってなってたし
勝ったから、冷やし飴ハイボールの祝杯しに来たんでしょうね(^-^)
また、見にきます
最近お店でも、いろんなハイボールのバリエーションがあるし、柚子入りもおいしそうですね!
私も以前はあまり飲まなかったのですが、マッサン効果の影響で(ドラマ見てるわけじゃないのに…)、つい手にとるようになりました^^;
ほー!CLAMP学園にも出てくるんですね、知らなかったです。
私の住んでいた関西では定番だったのですが、当時はあまり飲んだ記憶がなかったり…。
ショウガは最近ブームになってるし、冷やしあめもそろそろ夏の定番として人気になるかも^^
炭酸割りもやってみたいし、ホットで飲むのもよさそう~(何瓶か余ってるのでやってみます!)。
「あめスキー」のネーミングがまたいいですよね。
サントリーのCMの井川遥ママに作ってもらいたい…。
≫一口飲んでからすっと差し出して注いで貰う仕草もまたいい
そうなんです!
入江さんがやるとまったカッコイイという(///)←地味棋士好き
私は自分で一口飲んで自分で酒をつぎ氷を入れる…という文字に書いてもなんだか侘しい感じですw
≫ひろたのぽんず
調べてみたら、おいしそうですね、これ!(しかも種類が豊富すぎて迷う…)
実家はそういえば、やしきたかじん氏推奨の旭ポン酢も定番だったなあ。
冷やしあめ、私の出身の大阪でも定番だったおですが、地元では「スーパーの地下コーナーでおばちゃんが売ってるジュース」というイメージでしたw(子供のころはショウガ苦手だったのであまり飲んだ記憶はないのですが…)
京都の喫茶店の冷やしあめは、風情があってなんかステキです。
杉浦先生のご著書にも登場するってことは、江戸時代あたりからあるってことなんですかね。
≫和製カクテルのようなハイカラだけど滋味深い飲み物
まさにそんな感じでした!懐かしいけど、なんだかハイカラな気分に…。
まるまるさんもぜひ機会があったらお試しください^^
地元には売っているのを見たことがなく、もちろん今現在まで口にしたことは無いのでどんな飲み物なんだろうと思いをはせています(笑)
冷やしあめを炭酸で割ったらジンジャーエール。
生姜がきいてるそうだからなんとなく味がイメージできますね。
あめスキー。
ノスタルジックな雰囲気のお酒みたいですね。
小粋なバーとかが隠れメニューにしてそうな感じです。
一口飲んでからすっと差し出して注いで貰う仕草もまたいい
ウィスキーと氷を入れる容量を作るための仕草ですがかっこいい、と思えてきます
私の場合、注いで貰うのはぐでんぐでんになりながらホッピーに中入れて貰う時だけ……こっちはかっこ悪いですなぁ
>全開のポン酢
自分のトコは手作りひろたのぽんずを買っています
酸味が強めですが風味が出ていて値段の割には良いと思います
高校時代に故・杉浦日向子さんの「百物語」を読んだ時でした。
「甘酒をあげようか、冷やしあめをあげようか?」
「冷やしあめを頂戴しやす」
冷やしあめ、という不思議な語感に、すごく興味をそそられ、
友人と京都を初めて旅した時、銀閣寺の近くにある茶店で
「冷やしあめ」の文字を見た時には、迷わず飛び込みました。
初めて飲む冷やしあめは
生姜をきかせたべっこう飴が液体になっているような
滑らかで冷たい舌触りで、甘酒とは対極にある
不思議な飲み物でした。
ウィスキーと合わせたら、和製カクテルのような
ハイカラだけど滋味深い飲み物になりそうですね。