
なるべく同じ漫画の記事が続かないようにしてるのですが、3巻があまりにも素晴らしかったので勢いで作ってしまった。
「たそがれたかこ」のにゅうめん入りソーキ汁。
深夜ラジオから聞こえてきた歌声に心をつかまれ、45歳にして若手バンド「ナスティ・インコ」に恋をしたたかこさん。
勇気を出して挑んだ初めてのイメチェンに、読んでるこちらも心が躍った2巻から一転、3巻はひとり娘の一花に訪れた突然の異変、人生初の反抗期による爆発(これが「のんちゃんのり弁」の流血夫婦喧嘩並みのすさまじさ)など、重苦しいシーンが続きます。

※【コマ引用】「たそがれたかこ」(入江喜和/講談社)3巻より
深夜に自宅を飛び出したたかこさんは、同じアパートに住む不登校の中学生・植松君の家出に出くわし、彼を連れて飲食処「美馬」へ向かいます。そこで注文したのが、にゅうめんinソーキ汁。
30歳近く歳が離れていながら、同じバンドのファンでさらに反抗期(思春期と中年の違いはあれど)の2人が、カウンターに並び、それぞれの思いを抱えて温かいにゅうめんをすする。
むっつりと押し黙っていた植松君も、「ヤベー」「まじウメー」とすごい勢いでむさぼる。 そんな「生きづらさ」を抱えた2人を見守る、店のマスター・美馬さんの優しい表情は、これまでの緊張感あふれる展開を解きほぐすかのようで、じんわりきます。
よりどころのない孤独な夜に、こんな居場所があったらどれだけ救われるだろう。 そしてソーキ汁とにゅうめんの組み合わせがまた、食欲と興味をそそります。
通常のソーキそばは太麺でコシもありますが、あのあっさりしたスープには、うどんや素麺みたいな柔系の麺も合いそうだよなー。

ソーキ汁は沖縄の家庭料理。豚の骨つきあばら肉(ソーキ)を、大根や昆布と一緒にだしで煮込んだもの。作り方は説明されていないので、例によって自己流です(ソーキ汁自体、家庭によっていろんな作り方があるみたい)。
骨つき肉は、スーパーだとスペアリブが手に入りやすいですが、業務用スーパーを探し回って軟骨バラ肉を見つけたので、今回はこっちを使ってみる(煮込めば骨まで食べられるそう)。


軟骨肉は水から茹で、煮立ったらザルにあける。これをもう1回繰り返す。


圧力鍋に軟骨肉、ショウガ、ネギ(青い部分でOK)、泡盛を入れてフタをして強火にかけ、蒸気が上がったら弱火で30分加圧→そのまま冷却。

煮込んだ軟骨肉は、骨からコラーゲンが出たのかトロリとしたスープに。このままフタをしない状態で、スープが白濁するようにボコボコと煮込みます。


その間に軟骨スープとブレンドするための、だしを準備。コンブとカツオで濃い目のだしをとります。

大根は1センチ程度の厚さに切って皮をむき、いちょう切りにし、軽く下ゆでしておく。


軟骨スープが白濁したら、キッチンペーパーを敷いたザルとボウルでスープを一度漉し、カツオ&こんぶだしと、軟骨スープをブレンドします(半々でも、どちらか多めでもお好みで)。

軟骨肉と大根、だしがらから作った結びこんぶを入れて大根がやわらかくなるまで煮る。塩、しょうゆ、みりん少々で味付けして完成(だしがきいてるので、味付けはあくまでも薄めで)。

湯をわかして、そうめんを茹でます(2人分で2~3束程度)。あとで温めなおすので、袋に記載された茹で時間よりも短めに。茹でたそうめんは流水でもみ洗いし、水気をきっておく。

小鍋に食べる分のそうめんとソーキ汁を入れてさっと温め、器に盛ってネギを散らす。


食べた感想:
骨まで食べられるトロトロのソーキ、意外にあっさりした豚骨&だしベースのスープ。淡泊なにゅうめんは味を主張しないので、優しいスープがダイレクトに胃にしみて、しみじみとおいしい。飲み屋さんに置いてたら、お酒の〆に大好評なんじゃないでしょうか。

※【コマ引用】「たそがれたかこ」(入江喜和/講談社)3巻より
このほかにも、飲食処「美馬」のメニューはお品書きだけでもツボをつかれるものばかり。美中年・美馬さんとメガネ男子・コーヘイ君の掛け合いも楽しいんだ。
近所にこんな店があったら、人はもうちょっと強く生きていけるとおもうの。 入江先生も後書きで「絶好調」と言うほどノリにのった展開で、次巻が待ち遠しい。
これからはじめて読む方は、ぜひ3巻まで一気に読んでいただきたいです。(雲田はるこ先生推薦の帯もカワイイのですよ)

追記:
美馬の存在がうらやましすぎて&食べたすぎて、おつまみメニュー作ってしまった……。
左から時計まわりに「たたみイワシとミモレット」「里イモの柚子そぼろがけ」「ズッキーニのピカタ」「塩銀杏」。たたみイワシとミモレットの組み合わせ、おいしい。
コメント
コメント一覧 (2)
はじめまして、コメントありがとうございます!
スペアリブでも作れるんですね!(軟骨肉が普通のスーパーでは売っていないので、また食べたくなったらどうしよう、と思ってたのでうれしいです)
ご近所に美馬みたいな店があったら…と、今回本気でうらやましい巻でしたw ジェラートも食べたい…。
新井英樹先生大好きです!!
あのお二人がご夫婦で、同じ屋根の下で創作活動されてるって、ほんとにほんとにすごいことですよね…。
このにゅうめん入りソーキ汁、私も無性に食べたくなりスペアリブですが作ってしまいました。
美馬さんの作るジェラートも食べてみたいものです。
無性に悲しくなる夜に行ってMLエキスを入れて欲しい(笑)
私ごとですが、入江先生のご主人が新井英樹氏だと知ってビックリしました。
新井氏ご存知なかったらすみません。