「最近おすすめの漫画は?」と聞かれたら イチオシしているのが空木哲生先生。
「鴨の水かき」は社員3人の零細デザイン事務所を舞台にしたお仕事漫画ですが、イマ感ありつつどこか懐かしいタッチと、さわやかなストーリーがいいのです。
タイトルどおり、華やかに見えるクリエイター業界の悪戦苦闘を描いていて、デザイナーはもちろんプロダクション系にお勤めの方は、内容にも共感できる部分多いはず(クライアントの無茶ぶりとか、どんでん返しとか、もろもろ…)。
※【コマ引用】「鴨の水かき」(空木哲生/エンターブレイン/KADOKAWA)1巻より
第二話に登場するのは、お弁当のお話。舞台となる事務所「デザインプラス」の近所にはおいしい店がたくさん並ぶ商店街があり、外食やテイクアウトに便利な環境。
とあるお昼時、新人の沖君、紅一点の前原女史、そして社長がそろって事務所で食事する中、突然社長が「吟味選択した昼食からは…デザイナーの資質が出るっ」と持論を展開。それぞれが選んだ昼食メニューから、仕事のスタンスを分析します。
※【コマ引用】「鴨の水かき」(空木哲生/エンターブレイン/KADOKAWA)1巻より
三者三様のランチのなかで、強烈においしそうなのが沖君が4日連続でハマっている「小豆堂」の「アジフライ弁当」。 海苔がしかれたご飯の上に、大きなアジフライがどーん。
さらに磯部揚げやお惣菜らしきものまで。ボリューム満点でコスパもよさげ、いかにも男子好みのパワー弁当です。
社長の評では「ひとつのことにブレない沖くんらしさがある……だが4日連続は食いすぎだ!!」(もっともな気がする)。
一見むちゃくちゃな理論ですが、好む食べ物から「その人」が見えるとは古今東西言われていること。 我が身を振り返ると、ベトナム料理屋の日替わり弁当を選んだ前原女史のセレクトが近い気がします。アレもコレもついてて、食べたことがない珍しいモノに弱いというか……。
空木先生の食べ物描写は生活感があってどれもこれもおいしそうなのですが、このアジフライ弁当は社長がこってりと語る部分を含めて白眉。妙齢男子が4日連続でがっついた弁当を作ってみます。
お弁当の再現には容器が必須ってことで、作中で使われてるのに似ている弁当用フードパックをお取り寄せ。
こういう業務用梱包材って「最少1000個から発送」みたいなのが多いですが、今回は50パックから発注できて助かった(でも残りどうしよう)。
市販のフライ用アジは小さいものが多いので、今回は大き目のを丸ごと買って自分でおろすことに。
「何食べ」再現アジのたたきの回で学んだテクニックを復習しつつ。
三枚におろしたら(しっぽはつけたままで)、塩コショウして小麦粉→卵液→パン粉で揚げます。フツーのアジフライ。
磯部揚げは、ちくわ(5本入りの小さいやつでOK)をタテ半分に切って、天ぷら粉、青のり、黒ゴマを混ぜたコロモにつけて揚げます。
付け合せは見た目から判断してゴボウとニンジンのきんぴら。 いつもはささがきにするけど、今回はお弁当屋さんっぽく千切り状のきんぴらに。専用器具を使うとラクにできます。
フライパンに油をひいて、ゴボウとニンジンを投入。砂糖、みりん、醤油でいりつけて白ごまをふって仕上げます。
容器にご飯をすき間なくたっぷり詰めます。海苔の下にはやっぱりこれが欲しいよなー、ってことで、かつおぶしと醤油をまぶしたのをご飯の上にのっけます。
カットした海苔をのせ、きんぴら、フライ二種、たくあんを盛り付けていく。 お弁当の再現はやっぱり工作度高くて楽しい。 食べる前にフタして容器内の湿気度を高めておくのがのり弁の鉄則。
ほどよく湿らせたらいただきます。
沖君が4日連続で食すほどハマるのもわかる、アジフライとのり弁の威力。
揚げ物作りすぎたので、この後3日連続でこの弁当を持たされるはめになった家人からも「飽きなかった」の声をいただきました(ひどい)。
食ももちろんですが、この漫画、実は一番ステキだと思うのは数々の「タバコ」のシーン。 タクシーのなかのやけっぱちの一服、「ジタン」のパッケージの話、喫煙所での語り合いなど、ほんとイイ演出が多いのでそのへんもどうぞご注目を(嫌煙派の方は不快でごめんなさい…)。
ほぼ同時期に出た短編集の「スナップガール」もおすすめ。さわやか!
コメント
コメント一覧 (4)
これは美味しそう~この漫画も好きなので、今度試します!(笑)
また楽しみにしてます。
のり弁仕立てのアジフライ美味しそう!
それよりなにより…男性なんですか⁈ビックリ。
こんなお弁当出されたら、絶対一週間は飽きない自身?があります!(笑)
でもいろんな意味で、女性にはちょっとキツいお弁当ですね。
特に年齢が上がれば上がるほど・・・・゜・(つД`)・゜・
掲載されている「ハルタ」とかいう雑誌、こちらでは見た事が無いです。
地方はこういうところがネックだなァ。
単行本派ですか?掲載誌の「ハルタ」は食事シーンが出てくる漫画が多くて、読んでいてお腹が空きます。
この話は、モーニングで載っていてもおかしくないなぁと思うのですが、逆にモーニングだと埋もれるもしれませんね。
お店で売っている設定のお弁当まで再現してしまうとは…!(驚)どこまで凝り性なのでしょう!もう、職人技ですね!
梅さんは、デザイン関係のお仕事をなされているのでしょうか?漫画に出てくる食事を再現というのは、平面を立体にする、ということで、物を作るのが好きな人なのかな…と思いました。
>でも残りどうしよう
次回の漫画食関係のイベントで、梅さん手作りお弁当付き、とか、もしくは、お花見とかピクニックの時にちまちま消費するとか…。