「家政婦・里シリーズ」の最新作「誰そ彼の家政婦さん」。 料理一色だった前作にひけをとらず、今回も里のおいしそうな料理がたくさん登場します。
中編の「しのぶもぢずり」は、バツイチ・男やもめの信夫さんのもとに「顔を合わさないこと」を条件に派遣された里が、掃除や作り置きの料理で交流していく様子が描かれます。
契約通りお互いに顔を知らず、書置きする手紙のやりとりで関係が深まっていく前半は、まるで平安時代の恋もようのようで、情趣たっぷり&ドキドキ。
※【コマ引用】「誰そ彼の家政婦さん」(小池田マヤ/祥伝社)より
「スルメと大根の煮物」は、とある事件からついに二人が対面したのち、里が信夫に教えた料理。本来は「海老と冬瓜の煮物」ですが、その場にあった材料でアレンジしたのがこちら。
料理上手の里が作る和食、さぞ時間も手間もかかるもの……かと思いきや、実は炊飯器ひとつでできてしまう簡単料理なのです。
材料: 大根、こんぶ、するめ、鷹の爪。あと調味料に酒、みりん、塩。
炊飯器に4~5cmに輪切りした大根(念のため面取り、十字切り込みも)、するめ、こんぶ、鷹の爪を入れ、ひたひたの水を注ぎ、酒、みりん、塩を適量入れる。
炊飯器を「おかゆ」モードにしてスイッチオン。ザッツオール!! めちゃ簡単。 (おかゆモードがない場合は、普通炊きを長めにすればいいような気がする)
炊き上がり、こんな感じ。イカの匂いがぷーんと漂います。
大根をちょっと厚めにしたせいか、トロトロまではいかず。もうちょっと長く加熱してもいいかも。 皿に盛って、お好みで「かんずり」を添える(なければ柚子胡椒でもよさそう)。
食べた感想:
イカの出汁が大根によく染みて、派手さはないけどあたたかくてほっとする味。 あんま飲めないけど、本能的に日本酒がほしくなります。
出勤前に仕込んでおけば、帰宅時にはこれで一杯できる……って、なんて素晴らしいんだ炊飯器料理。こんなのさっと出されたら、そりゃ信夫さんも落ちるよね。
あとスルメってそのままあぶって食べるだけじゃなく、こういう「乾物」的な使い方もアリなのね、と目からウロコでした。酒飲みさんじゃなくても常備しといて損はないかも。
※【コマ引用】「誰そ彼の家政婦さん」(小池田マヤ/祥伝社)より
そしてやっぱりもうひとつのレシピも試したくなってしまい、「海老と冬瓜」バージョンも作ってみることに。
材料はスルメ→海老、大根=冬瓜 に置き換えるだけ。ほかは調味料含め同じ。
海老は日本酒入れたお湯でさっとゆで、殻をむいておく。殻は炊飯器にダシとして入れて、身はあとで温めて添えるのでとっておきます。
冬瓜はタネをとって皮をむき、大き目に切っておく。炊飯器に海老の殻、昆布、冬瓜、鷹の爪を入れてひたひたの水を入れ、あとは同じく酒、みりん、塩で味付けしてスイッチオン。
炊き上がりこんな感じ。 こっちはおかゆモードだと、トロットロの状態に。通常の炊飯モードでも十分かも。 海老の殻を取り除き、とっておいた海老の身を入れ、炊飯器を保温状態にしてしばらく温めます。
温かい状態もいいけど、こっちは冷やして食べてみた。オクラをさっとゆでて半切りにしたものも添えます。
箸で持ち上げられないくらい、冬瓜がトロトロ! 海老殻の出汁がじっくりしみこんで、これもお酒がほしくなる味。
大根が冬向きなら、こっちは夏向きかも。そういえば「冬瓜」という名前のくせに、旬は夏なんですね、この野菜……。
「里」シリーズを読んで毎回感じるのは、料理だけじゃなく掃除や洗濯、そんな些末な家事の積み重ねが、日常を大きく動かしていくという説得力。
なにかを変えるのに、劇的なことはそれほど重要じゃないのかもしれない。 でも家事がんばろう&ちゃんと暮らそう…という前に、やっぱ単純に「うちもSランク家政婦ほしい!!」です…。
コメント
コメント一覧 (4)
ああ、確かに冬瓜自体にあまり味はありませんもんね。
冬瓜の煮ものも、出汁のおいしさを味わっているんだなと気づきました。
燕の巣やフカヒレも確かに…でもそう考えると、自身の旨味は弱いのに「高級食材」なのがちょっと納得いかんな、と思いましたw
っていうか冬瓜とか燕の巣とかふかひれなんかはみんなそうですのう。
里さんのシリーズは大好きで、こちらを見るたび自分で作りたい~と思いつつそのまま…駄目ダメ。
丁寧に生活しようと思いつつ、なかなか難しいです。
冬瓜ですが「夏に採れて冬まで持つ保存性の高い瓜」で冬瓜みたいですよ。
皮が硬くて、長持ちするんですかね?
あまり食べたことがないので、旬の季節になったらチャレンジしてみます*
炊飯器だけで作れるなんて、素晴らしい!!
久し振りに試してみたいと思います。
ちなみに酒、みりん、塩の適量とは、どれ位なのでしょうか?
教えていただけると幸いです。
m(_ _)m