飲む汁ようかん
「……なんでそれ作るの?」と突っ込まれるのは承知の上で、気になってしまったものはしょうがない。というわけで、「ちはやふる」に登場する「飲む汁ようかん」、作ってみました。




「3月のライオン」にも出てきましたが、将棋の対局で棋士が食べるおやつって気になりますよね。 チョコレートを大量に食べる名人や、和菓子派から洋菓子派に転向した名人など、エピソードを読むだけで楽しい。

最近では、将棋やチェスなどを「マインド(頭脳)スポーツ」と呼ぶこともあるそうですが、ブドウ糖しかエネルギー源にならない脳をフル回転させるプロたちの「ガソリン」は千差万別なんだなあ、となぜか興味を引かれてしまいます。

頭脳だけでなく、身体も思いっきり使うため「畳の上のスポーツ」とも言われるのが、競技かるた。

その世界を描いた「ちはやふる」は、少女マンガの繊細な描写とスポ根的興奮を同時に味わえる、言わずもがなの名作ですが、ここにも個性的な選手たちと結びついた印象的なおやつが出てきます。

「ちはやふる」(末次由紀/講談社)2巻より
※【コマ引用】「ちはやふる」(末次由紀/講談社)2巻より

主人公の千早にとっての定番おやつは、チョコレート。安いコンビニのチョコも、一粒数百円の高級チョコも、かるたの後は単なる「エネルギー補給源」として、バリバリと消費されます。

千早が目標とする現クイーンの若宮詩暢は、「スノー丸」というキャラクターにご執心。グッズ目当てにアイスを食べ過ぎて、激太りしてしまうほど。

「ちはやふる」(末次由紀/講談社)7巻より
※【コマ引用】「ちはやふる」(末次由紀/講談社)7巻より

そして現名人の周防久志は、和菓子全般がお好みのよう。圧倒的な強さで怪物と恐れられる彼は、その変人ぶりも突出しています。A級選手を見かけると、誰ともかまわず和菓子を配りまくったり、タイ焼きを飛行機に見立てて「ブーン」と飛ばして遊んだり……。

そんな彼の和菓子コレクションのなかでも気になったのが、「飲む汁ようかん」。

さらっと登場する、何てことのない目立たないお菓子ですが、「そういえば、飲むゼリーはあるのに、飲むようかんって確かに見かけないよなあ」「水ようかんのユルさって、ストローで飲むのに相性よさそう」……と、読んだ時からなぜか心に引っかかってしまった。


材料: 
・棒寒天 1/8本(固めに仕上げるなら1/4本) 
・さらしあん 50g 
・水 500cc 
・砂糖 50g 
・葛粉 3g(大さじ2の水で溶いておく)

ようは普通の水ようかんをゆるめに作るって感じです。

棒寒天 さらしあん 
1.棒寒天は洗って軟らかくなるまで水に浸す。寒天の水気をしぼって小さくちぎり、さらしあん、水、砂糖と一緒に鍋に入れて火にかける。

くず粉 
2.沸騰したら弱火にし、木べらでよく混ぜながら10分ほど煮る。最後に水で溶いた葛粉を入れ、よく混ぜて火を止める。

こす さます 
3. 2を漉し、人肌程度になるまで冷ます。餡と水分が分離してくるので、たまにかき混ぜる。容器に入れ、途中で何度か混ぜながら冷蔵庫で冷やす。

飲む汁ようかん 
食べた感想: 
トロっとした飲み心地と、あんこのさらっとした食感が、意外に一般ウケしそうな美味しさ。 スタバあたりが、春の新メニューとして出してもいいんじゃないでしょうか。

「トールノンファットウィズホイップ汁ヨウカンプリーズ」とかカウンターで小粋に肩肘ついてオーダーしてみたいものです。 

今回は「汁感」を出すために、かなりゆるめにしてみましたが、寒天の量を調整すれば好みの固さが見つかると思います。

対戦後には体重が3キロ減る、という熾烈な競技かるたの世界。試合の後、電池が切れたかのようにチョコをむさぼる千早に対し、周防名人には和菓子を「味わう」余裕を感じます。この差がまた、名人のカリスマ性を際立たせてる気がします。




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