今年読んだグルメ系のマンガで、現状一番好きなのが、この「めしばな刑事タチバナ」。テーマはB級グルメですが、「作る」のではなく「語る」部分に焦点を置いてるのが特徴です。
取り上げられるのは、牛丼チェーン、袋入りラーメン、餃子の王将、天下一品……と、庶民のツボをつくお店や商品ばかり。
そしてその語りっぷりが、ハンパなくディープで面白い。B級グルメにはある程度詳しい、と自負していた自分も初耳のウンチクが満載で、その取材力に驚きました。さすが「アサ芸」連載。
※【コマ引用】「めしばな刑事タチバナ」(坂戸佐兵衛/旅井とり/徳間書店)3巻より
最新刊の3巻では、ウンチクだけでなくついにオリジナルレシピ(?)も登場。 やきとり缶の王者ブランド「ホテイのやきとり」について、「たれ派」か「塩派」かでモメるなか、タチバナはその最大の魅力を「ゼラチン」だと言い切ります。ただ、缶を湯せんして温めたやきとり缶のうまさも捨てがたいもの。
※【コマ引用】「めしばな刑事タチバナ」(坂戸佐兵衛/旅井とり/徳間書店)3巻より
その両方を味わえる食べ方が、「熱々やきとり冷製ジュレがけ」。 やきとり缶の肉を串に刺して熱々の「焼き鳥風」にし、残ったタレを冷蔵庫で冷やしてゼラチンの食感が楽しめるソースにする……というもの。
簡単そうなので、晩酌時にさっそく挑戦してみることに。作中では「たれ」のみでしたが、せっかくなので「塩」と2種類作ってみます。
さて、ひさびさにご対面したホテイのやきとり缶。側面に描かれたおなじみの味のあるオジさんのイラストは、漫画家のおおば比呂司氏によるものだそう。(3代目おたべちゃんもこの方なのね~)
スーパーやディスカウントストアにも置いていますが、最近は一番よく見かけるのって、コンビニかもしれない。
この、缶の裏に付属している爪楊枝も心にくい。 2巻でタチバナが「新幹線で一杯やりつつ、この爪楊枝で焼き鳥をツンツンすると興奮する」と語っていますが、その気持ちわかる! 今度新幹線に乗るとき、絶対試す。ビールよりウイスキーでやりたいな。
作り方: 缶をあけて、水を張った鍋orフライパンに入れ、火にかけて湯せんします。ゼラチンが溶けるまで、わりと時間がかかります。
缶の中身が温まったら、肉を取り出して串に刺します。1缶につき2本作れるらしい。肉がわりとモロいので、串に刺すのに苦労する……。
「世界経済が大変なときに、こんなことしてていいんだろうか」と一瞬我にかえりましたが、とりあえず食べてから考えることにして、先に進みます。
残った缶のタレは、ラップして冷蔵庫で1時間ほど冷やします。
この際重要なのが、テレビでも見て、いったん「自分が何をやっているかを忘れること」。 待ち時間で期待しすぎると、頭の中で味が再現できてしまってお楽しみがなくなるから……ということらしい。
なんとなく、わかる気がするけど、こんな精神面にまでアドバイスしてくれるグルメ漫画が、ほかにあったでしょうか……。
串に刺した肉をトースターで温め、冷えてゼラチン状に戻ったタレをスプーンですくって盛り付けます。 仕上げに山椒や七味を振ってもOKらしい。 たれ味バージョン。
塩味バージョン。
食べた感想:
串焼きの熱でジュレがすぐに溶けてしまうので、温度差を楽しむならすぐ食べるべし、だそう。
味のほうは正直、まんまいつもの「ホテイ」が串になって食べやすくなっただけ!! という感じなのですが、一度缶のイメージを取っ払って「焼き鳥」として食べてみると、 そこはホテイ、しっかり「炭焼き」の味もして濃厚でお酒がすすみます。
「塩」は味のごまかしが効かないので、やっぱり「たれ」のほうが、こういうジャンクっぽい料理には合うかも。
しかしここまで手を加えちゃうと、「缶もの」としてのアイデンティティーがアヤしくなってきますね。タチバナも「何度もやるもんじゃない」と言っていますが、やっぱり缶のまま爪楊枝でつつきながら食べてこそだなあ、と思うのでした。
コメント
コメント一覧 (8)
ホテイの焼き鳥缶のあの炭火味、失礼ながらずっと香料だと思ってたので、本物と知ったときは感動でした!
工程見ても、ほんとに本格的なんですね~。すごい企業努力だ。
そして焼き鳥ご飯のレシピ、おいしそうです!
フライパンで炊く、というところも含めて、Qさんにとって思い出の味なんでしょうね。真似してみたい!
・簾状のコンベアに鶏もも、胸1枚肉を、皮目を下に隙間なく広げる。
・コンベアラインの下には炭火を熾した台車を多数配置。時々鶏の脂が滴り落ちて炎が上がる。時々台車を引き出して火かき棒で炭の状態を調整。
・すっかり焼き上がり焦げ目が付いた鶏一枚肉を細かく切断。
・缶に詰めた後調味液を入れ、蓋をして煮沸して完成。
大昔、短期アルバイトした大食堂ではハンバーグは蒸し機で、唐揚げはオーブンで焼くという、通常では思いも付かない方法で大量生産していることを知り感心しました。
それから考えるとホテイの焼き鳥缶は結構オーソドックスな生産方法だったんですね。
焼き鳥ご飯は給料日2週間前頃からの定番でした。タレ味焼き鳥缶と牛蒡、あれば人参と舞茸。これを米2合と併せて蓋付テフロンフライパンで炊いてました。当時は冷蔵庫も炊飯器もガス湯沸かし器も持ってない生活で、フライパンで飯を炊く方法はこの頃覚えました。そういえばもうこのメニューは十数年作ってませんね。焼き鳥缶は今日買って来ましたがこのレシピを作るかは躊躇してます。
おおお、あの炭火フレーバーは香料じゃなくて本物だったのですね。ホテイ△!
しかしホテイ缶で炊き込みご飯・・・!
タチバナもびっくりのアイデアです。どんな味なのか気になります。
タレ、塩の2種類置いてる店って意外と見つからず、コンビニが一番確率が高かったです。
これも時代なんでしょうか・・・。
「ホテイのやきとり」、やっぱり「飯の友」というよりお酒の友ですよね!
そして缶を容器にして食べないと魅力半減というか、外に出してしまうと「みすぼらしい子」になってしまう宿命なのだなあ・・・と実感しましたw
>『俺とペヤングと一平』
あれは声出して笑いましたw や、やってみたいかも…!
言われてみると、たしかに関東ローカルネタが多いですよね。
1巻読んだときは、インディーズ牛丼チェーン店めぐりしたくなりました。
松屋でライスだけオーダー、確かにあれすごい勇気いりそうですよねw
そういえば、私の友人は吉野家で味噌汁(当時50円)だけオーダーしてたことがありました・・・。
このホテイの焼き鳥、この間TVで紹介してましたけど(シルシルミシルだったかな?)、コンベアラインでサラマンダーじゃなく本物の炭火で焼いてたんですね。
私にとってこの焼き鳥缶は若い頃おかずにしたり炊き込みご飯の具材にしたりしてた思い出の、しかし常にビンボーが付きまとったあまり思い出したくもない複雑な味です。
でも久しぶりに買ってみようかな...
やるかなーやらねーかなーと思っていました…本当に期待を裏切らないブログをいつもありがとうございます!
次は『俺とペヤングと一平』を挑戦してくださると幸いです。
この作品は少々、関東ローカルのお店も多くてインスタント焼きそばのペヤングを始め、初めて耳にするお店もあり大変興味深いです。
一巻を購入後に東京出張予定がありましたので『C&C』にてもちろんコロッケカレーを食っぴいてきましたよ。普通でうまーい。
松屋でライスをいつか注文してみたいと企んでいますが…なかなか勇気がいって、生卵を一緒に頼んでごまかそうかなとも考えています。
夜中にこのブログ…大変危険!!