普段はうだつのあがらない考古学の非常勤講師。その一方、世界的な保険組合「ロイズ」の調査員として各国で活動し、過去にはSAS(英国特殊空挺部隊)でサバイバル術をマスターした男。
そんな謎の経歴を持つ、平賀=キートン・太一の活躍を描く「MASTERキートン」。 残念なことに、諸事情で今は絶版となっていますが、古書店などで少しずつ集めて読んでいます。
多くは一話完結なので、どこから読んでも楽しめるのもうれしい点。キートンの持つ豊富な考古学や歴史の知識はもちろん、ミステリーやサスペンスの要素もあり、ハッピーエンドからほろ苦いラストまで多彩な物語に圧倒されます。
※【コマ引用】「MASTERキートン」(勝鹿北星/浦沢直樹/小学館)ワイド版1巻より
世界各国が舞台になるだけあり、エピソードには度々美味しそうな料理が登場します。なかでも気になるのが、キートンが母の思い出の味を探る第8話のサマープディング。
サマープディングは、キートンの母の出身地・イギリスの夏の定番のお菓子。容器にパンを貼り付け、そのなかにラズベリーを注いで冷やし固めたデザート。 キートンは母のやり方通り作ってみますが、何かの香りが足りない、と悩みます。
その正体は、ミント。日本のミントではなく、「ペニロイヤルミント」という、イギリスのコーンウォールから母が持参した品種だったのです。
これがその、ペニロイヤルミント。普通のミントよりも、茎が細長くて、葉も小ぶりに見えます。香りは、私のニブチンな鼻ではあまり違いがわかりませんでした……。
材料:
ペニロイヤルミントの葉、冷凍ラズベリー(あれば生で)、ラズベリージュース、砂糖、サンドイッチ用のパン ※ラズベリーがなければ、冷凍のミックスベリーでもいいかも。
ミントの葉は、包丁で細かくみじん切りにします。
鍋にラズベリーを入れ、砂糖を振りかけて15分ほど置きます。 ラズベリージュースを入れて、火にかけます。最初に中火、煮立つ寸前で弱火に。果肉はあまりくずさないように気をつけます。
果肉が軟らかくなってソース状になってきたら、みじん切りしたミントの葉を鍋に入れ、ひと煮立ちさせて完成。
サンドイッチ用のパンを、容器のサイズにあわせて、小ぶりの三角形と長方形に切ります。容器の底に三角形のパンを敷き詰め、側面に長方形のパンを隙間なく貼り付けていきます。
容器はボウルでも何でもよさそうですが、作中の形にあわせてバケツっぽい形状のものにしてみました(ちょっと小さかったかも……)。
ラズベリーソースを容器に敷いたパンの中に、たっぷり注ぎます。最後に、一番上を残りのパンでフタをするようにふさぎます。
容器にフタ(もしくはラップ)をし、冷蔵庫で一晩寝かせます。 冷やすことで、ラズベリーに含まれるペクチンが固まってプディング状になる……、ということらしい。
一晩経ったのが、左の状態。しみしみです。容器のフタを取って、皿にエイヤ!とひっくり返します。 パンの外側に、ラズベリーソースが染め物のようにしみて、なんだかキレイ。 でも、作中みたいにバランスのいい台形にならずちょっと無念。
緊張とともに、ナイフを入れます。
くずれたorz 夏の爽やかなデザート、というよりスプラッタな感じもしますね……。
食べた感想:
中に入ったたっぷりのラズベリーは、ほんのりとミントの風味が加わって爽やかです。ただ果肉のすっぱさと、水分を含んだパンの「グジュッ」とした食感と変な塩気が、わりと苦手かも……。
ベリー系が好きな人にはたまらないかもしれませんが、うーん、私にはイマイチでした。あこがれの味だったのに、残念だ(T益T)。甘めの生クリームを添えて、何とかしのぎました。
ちなみに本場のサマープディングは、パンが真っ赤になるまでベリーソースをたっぷり染みこませて作る場合が多いようです。ここまでシミシミにしたほうが、確かに美味しいかもしれない。
個人的にはパンよりも、甘いスポンジケーキで作ったほうが、酸っぱさが緩和されて好みの味になるかも……と思いました。
コメント
コメント一覧 (28)
通りすがりのものですさん
さだお先生関連で見つけてくださってうれしいです!
再現料理をえらぶときは「食べてみたいもの」を基準にしてるので、あきらかにやばそうなジャイアンシチューは対象外なので大丈夫ですw
(でもほかの人に作ってもらえるならちょっと味見はしてみたい…)
いくつか拝見しました。凄いなあと。
おねがいがあります。決してジャイアンシチューは作らないで下さい😫。
あれは罰ゲーム並みです。
ななしさん
コメント&もったいないお言葉ありがとうございます!
お疲れ様です
三ツ星シェフの監修するガストロパブでトライしてみたら、とても美味しかったです。
フルーツは ブラックチェリーとブラックベリー、レッドカランツ、ラズベリーを
使用。ホワイトチョコのカスタードソースも添えられていました。
自分でも作ってみたことがありますが、きれいにパンをしみさせるのが
難しいようでした。小さな型を用いて、果汁の濃度を工夫すると作りやすい
のではと思います。
キートンに出てくる料理、どれもほんとにおいしそうですよね~!
(キートンの食べっぷりの描写がまた余計に・・・)
このお菓子はたまたま口に合わなかったのですが^^;、ウイスキーが隠し味の豚肉のから揚げとか、ほかの料理もいろいろ試してみたいです。
キートンのイギリス料理はどれも美味しそうなのですが……。
でも、「イマイチ」みたいに、忌憚なく感想を書いているところが、
僕がこのブログを大好きな理由の一つです。
なるほど、パンを厚くするともっとしっかりした形のケーキになったかもしれないですね!
(切るときにグズグズになるのも防げたかも…orz)
こちらのコメント欄でもいろいろアドバイスいただいたので、
次作るときは、ネオサマープディングとして自分好みにアレンジしてみたいです。
はじめまして、コメントありがとうございます!
なるほど、ゼラチンを使えばもっと簡単に固まりそうですね。
そしてブルーベリーを使ったプディングも、キレイでおいしそう!
林望先生、私も昔愛読しておりました・・・!
「音の晩餐」も読んだことあったはずなのに、サマープディングが載ってるのは気づきませんでした。
久々に読み返して、今度こそおいしいサマープディングになるよう再チャレンジしてみようと思います^^
林望さんというかたの「音の晩餐」という本にサマープディングの作り方が載っていますよ。そこでは甘くない生クリームをかけて食べるんだそうです・・。
はじめまして、コメントありがとうございます!
なんと、アニメ版では焼き上げる工程が含まれてたなんて・・・!
確かに焼くサマープディングって、ちょっと想像がつかないですよね。
でもどんな感じになるんだろう・・・気になります。
>パンは少し置いてちょっとパサパサしたのを使うと
おおお、そうなんですね!
パンに水分が残ってると×ってことなんですね。
そういえばサンドイッチのパンも、乾燥させたほうがいいっていいますもんね。
貴重な情報ありがとうございます!
『あとは柔らかく焼き上げる』って言ってましたよ!
焼いたサマープディングなんてあるのかな・・・
それと、パンは少し置いてちょっとパサパサしたのを使うと
たっぷりしみこみますよ~
はじめまして、コメントありがとうございます!
漫画にお詳しくなくても、楽しんでいただけてるなんてうれしいです!
逆に、私は恥ずかしながら小説にうとくて、ちゃきさんのブログを拝見して、色々読んでみたくなりました。
プディング、見た目はキレイで期待してたんですが……orz
イギリスといえば、「クリスマスプディング」もかなりキテると、何かで読んだ記憶があります。
なんか今後は、プディングに警戒心抱いてしまいそうですw
カスタードをあわせるのもよさそうですね~。
アイスクリームを合うかもしれません。ぜひアレンジしてお楽しみ下さい!
実は漫画はあまり読まないのですが、料理は好きで、
いつもこちらの再現レシピを見ているといつも漫画も読みたくなります。
このプディング、見た目がお花みたいですっごく綺麗なのに
(断面は確かにスプラッタっぽいけど...)味がイマイチとは残念です。
外国のプディングって、日本人が想像するふるふるしたのとは違って、
ぐちょぐちょした食感のものが多いような気がします。
味覚の違いなんでしょうね、きっと...。
でも簡単そう+見た目も綺麗なので、カスタードか生クリームなんかと
混ぜたり、アレンジしてチャレンジしてみようと思います!
はじめまして、コメントありがとうございます!
「ミスター味っ子」は、熱心なファンの方たちがすでにクオリティ高すぎる再現をされているので、なんとなく「聖域」のイメージがあり…w
私ごときが作るには、まだまだ修行が足りなさそうです…。
実はアニメの方の思い出が強くて、原作はあまりちゃんと読んでなかったので、いずれ読み返してみたいです!
実はマスターキートンを読んだのって、まるまるさんに以前ここのコメント欄で、動画をご紹介いただいたのがきっかけなんです!
なのでようやく記事に出来て、まるまるさんに読んでいただけてうれしいです。
「特別なメニュー」の唐揚げと月餅も美味しそうでしたね~。
豚の唐揚げって、あまり馴染みないので作ってみたいです。
原作はまだ全巻集められてなくて、「アザミの紋章」は未読なので、どんな話なのか楽しみにしています!
ちなみに私の今のところのお気に入りは、「砂漠のカーリマン」です^^
キートンのサバイバル術に惚れましたw
何かの事件の証拠……確かにw
果肉の強烈の赤さが、生々しくて怖いですよね…。
クレープ生地で包む、というのも美味しそうですね!
バニラアイスやチョコソースと一緒に食べても合いそう。
わー、Qさんもガッカリ体験あるんですね!w
冷凍クランベリーも、美味しくないのか~。ベリーって、見た目は美味しそうなのに残念ですよね。
最近では、市販のケーキの上に乗ってるベリーもよけてしまうくらい、トラウマになりました…(でもイチゴは好き)。
実はこの料理自体は作ったのは去年で、今さらのアップなのです。
そしてせっかく入手したペニロイヤルミント、枯らしてしまいました……orz
ミントって、ハーブのなかでも、超初心者向けじゃなかったっけ??
と、ガーデニングの才能のなさに、自分でも落ち込みました……。
しかしQさんのサマープディングの作り方、すごい美味しそうですね~。
フルーチェを詰めるなんて、ナイスすぎるアイデアで食べてみたい! イギリス人にも食べさせたい!w
ゆにさんの地域も、かなり揺れたんですね…でもご無事でよかったです!
うちも同じくらいの震度でしたが、今まで体験したなかで一番大きい揺れだったので、恐ろしかったです。
電車が動いたり、スーパーで欲しいものが買えたり、ほんとに普通のことがありがたい、と実感できましたね。
ミートソース、確かにw
キドニーパイといい、イギリスの料理ってちょっと見た目がホラーなものが多い気が……。
そうなんです、こんな名作なのに残念すぎますよね…。>絶版
古書店でわりと簡単に手に入るだけ、ほかの絶版本に比べてまだマシなのかもしれませんが、いずれ文庫なんかでも復刊してほしいですね。
「エイリアン通り」といえば成田美名子先生ですね!
私は「サイファ」「アレクサンドライト」しか読んだことないんですが、アメリカのおいしそーな食べ物が度々出てきて、あこがれてました~。
「エイリアン通り」もいずれ読んでみたいです。
ずうずうしいですけど、リクエストしてもいいですか? ミスター味っ子っていう大好きだったマンガがあるんですけど、もし良かったらそれにでてくる料理を作ってくださいませんか・・・? できたら、でいいんで、もし良かったらお願いします
MASTERキートンは漫画は読んでいませんが、
映像化されたMASTERキートンが大好きで、サントラを持っています。
「遥かなるサマープディング」は大好きな話です。
実物はこういうお菓子だったんですね!
私が一番好きな話は、お酒の登場する「アザミの紋章」です。
ラストの余韻がたまらなくいいんですよね。
あと、MASTERキートンで料理が登場するといえば、
「特別なメニュー」のウイスキーが隠し味の豚肉のから揚げと
干し柿を餡に練りこんだ月餅ですね。
キートンが干しナツメ片手に、
から揚げの隠し味を探して歩くのが印象的でした。
見た目が……怖いです
なにかの事件の証拠のようだ(笑)
ラズベリーのソースはとてもおいしそうなので
個人的にはあんまりしみこまないクレープ生地とかで
生クリームといっしょに包んで食べてみたいです
それにしてもイギリス産のミントを使うとは相変わらず恐ろしいったらありゃしない!大震災があろうともマンガ飯にかけては全力運転だわこの人...
サマープディング、過去に2回食べた事がありますが、硬さについても本場物もこんな感じで、もっとカスタードプリン状の物を期待いてたので違和感感じた覚えがあります。でもミントは記憶にないなー。
私は気が向いた時、ブルーベリージュースに浸したパンで壁を作り、中に甘さ控えめで煮た苺を混ぜたイチゴフルーチェを詰めて固めたサマープディングモドキを造ります。外と中の色違いがなかなか好評。
3/11は電信柱がしなる位の揺れで家が潰れんじゃないかと冷や冷やしました。
震度は5弱でしたがあまりの揺れの長さに足が震えました。
断水にはなりませんでしたがたった一日の停電で電気の素晴らしさを改めて知りました。
サマープディング食べてみたいです^^
なんかミートソースに見え・・・ゴホゴホ
私の東ドイツへの興味はこの漫画で培われたようなものなので、ちょっと残念です。。
この再現写真を見て、MASTERキートン以外でも、どこかでこのような「トーストパンを使ってフルーツを重ねて冷やして作るお菓子」を読んで食べて見たかった……とひっかかっていたのですが、検索してみてわかりました。
「エイリアン通り」で翼くんが作ってたんですよ。彼女はケーキ作りが得意だったんですよね~。オレンジスライスが張り付いたみたいなケーキ、食べてみたかったです……。