米サワー

季節は秋になってしまいましたが、まだまだ暑い日は続く……というわけで、「リトル・フォレスト」に出てくる米サワーを作ってみました。

ジメジメと暑い蒸し風呂のような夏の草刈り作業の後で、冷蔵庫で冷やしておいた、甘くてさわやかな米サワーを一気に飲み干す。

いち子の「おいしー」というただ一言と満面の笑顔の一コマは、清涼感が伝わってくるようで大好きなシーンです。

「リトル・フォレスト」2巻より
※【コマ引用】「リトル・フォレスト」(五十嵐大介/講談社)2巻より

 さて、その米サワー。米からそんな飲み物が作れるの?と、最初読んだときびっくりしましたが、調べてみると、いわゆる「どぶろく」になる前の状態を楽しむドリンクらしい。

どぶろくは、炊いた米に酵母を加えて数日発酵させた濁り酒。日本古来から庶民の間で親しまれてきたお酒ですが、現代では酒税法により家庭での酒造は禁止されているよう。このアルコールが発生する前の状態で発酵を止めて楽しむのが、米サワーということのようです。

エピソードの後半では、いち子とユウ太が「いい具合に沸き過ぎてる」米サワーを、熱帯夜にカンパイして楽しむシーンがあります。読んだ当時は単にロマンティックだな、と思ったけど、沸き過ぎちゃったサワーということはつまり……と気付くと、また違った味わいが・笑


お粥 
作り方: 
※注意:家庭でのどぶろく作りは酒税法により禁止されているため、アルコール度数1%以上に発酵が進まないよう、ご注意ください。
 

1.米1合に対して3倍の水を加えてお粥を炊き、60度くらいに冷まします。(この分量で、最終的に700mlくらいのサワーが出来ます)

こうじ こうじを混ぜる 
2.適温になったら米こうじ200gを入れ、粥とよく混ぜます。

保温 
3.鍋にフタをして毛布や保温バッグなどで包み、10時間ほど放置します。

甘酒完成 
4.これで甘酒の完成。味見して、十分甘みが出ているか確認します。 

ヨーグルト 酵母2 
5.ここに発酵させるための酵母を加えて、よく混ぜます。原酒、イースト、ヨーグルトなど何でもOKらしい。

今回は、ヨーグルト大さじ1と、パン用酵母大さじ1/2を加えました。イーストはなるべく新鮮なもので。封を開けてしばらく経ったものは、うまく発酵しませんでした。

再び鍋にフタをし、暖かい場所で半日程度放置します。放置しすぎると、どぶろくになってしまうのでご注意を!

炭酸
6.半日後の状態がこちら。軽く混ぜると、パチパチとゆるく発泡してるのがわかります。面白いー。 

布巾で漉す 布巾で漉す2 
7.清潔なザルと布巾とボウルを用意します。ボウルの上にザル、その上に布巾をのせ、サワーを米粒ごと入れて漉します。

酒かす? ボウルのサワー 
8.布巾の中には酒粕っぽいもの、ボウルにはサワーが残ります。絞ったあとの手が、スベスベになってびっくり。日本酒コスメに切り替えようかしら……と、一瞬本気で思った。

「リトル・フォレスト」2巻より 
※【コマ引用】「リトル・フォレスト」(五十嵐大介/講談社)2巻より 

さてここからは、ずっとあこがれてた工程。 作中では米サワーを、機械栓のレトロなガラスビンに漏斗で移すシーンがあるのです。

このなんともいえない、懐かしくて温かい、それでいて理科の実験のような、ちょっとワクワクする風景、ぜひ再現したいと思ってたのです。

漏斗でビンに 
というわけで、機械栓のビンと漏斗、わざわざ買ってみたぜ……ククク(自己満)。 ビンの口に漏斗をさし、お玉ですくったサワーを流し入れる作業、やっぱり想像以上に楽しい。

冷蔵庫で冷やす 
あとは冷蔵庫でキンキンに冷やすだけですが、ここの作業で、いくつか注意点があります。 

・容器(ビンorペットボトル)は炭酸OKのものを使用する 
・サワーは容器の半分以下の分量しか入れない 
・長時間密閉しない。こまめにフタをゆるめてガスを抜くか、フタをゆるめっぱなしにしておく


ちょっと面倒ですが、これを守らないと、悲惨な事態になります。 というか、なりました。 

メントスカイザー以上の破壊力。 密閉された容器のなかで時間が経つと炭酸ガスがどんどん増えてしまうので、破裂の危険性があります。 

私は一番最初に作ったとき、冷蔵庫で長時間放置してしまい、ビンを開けたら天井まで噴射しました……。

運良くビンは破裂せずケガはしませんでしたが、あとの掃除、大変です。皆様もどうぞお気を付け下さい。 さて米サワーがよく冷えたら、早速グラスに注いでカンパイ。 

米サワー 
飲んだ感想: 
口当たりはカルピスみたいに甘くて、まろやか。マッコリにも似てかなり濃厚な味ですが、ゆるく発泡しているので、飲み心地はさわやかです。

アルコールになる前の酵母のクセのある匂いは、好き嫌いがわかれるかもしれませんが、「お米がこんな風になるなんて」と感慨深くなる味で、一飲の価値アリ。

そしてこんなドリンクがあること自体、日本ってやっぱりお米文化なんだなあ、と実感できました。




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