「おせん」8巻に登場する、とろろ飯を作ってみました。
一升庵の仲居頭・シズさんとその昔恋仲にあった料理人、“蛸引きの竜”。次期板長との声が高かったが、先代女将（おせん母）が選んだのは彼ではなく、別の料理人。ショックで一升庵を飛び出し、その後行方知れずになった竜さんが残したのが、この料理でした。
※【コマ引用】：「おせん」（きくち正太/講談社）8巻より このとろろ飯、どこが特徴かというと、とろろを普通の出汁ではなく「煮魚の残り汁」でのばすところ。それも金目やアコウのアラの部分を、甘辛く煮た汁がいいらしい。
普通のとろろ飯も大好きなのに、こんな一仕事入ったとろろは一体どんな美味なんだろ、と想像しただけでよだれが……。
※【コマ引用】：「おせん」（きくち正太/講談社）8巻より
もう一つのポイントは、自然薯。自然薯の産地は全国色々ありますが、「おせん」で推奨されえるのは静岡の「丸子の宿」産のもの。東海道沿いの宿場町だった場所で、今もとろろが名物になってる土地みたいですね。
残念ながらズバリ丸子産のものは見つからなかったけど、同じ静岡県内の自然薯を扱っているお店があったので、取り寄せてみました。
自然薯って初めて見たけど、長っ！ こんなサイズのが3本も入ってて、食べきれるかちょい不安……。
とろろを作る1～2日前に、金目鯛のアラ煮を作ります。
アラは熱湯をかけて下処理し、醤油・砂糖・酒・みりんを沸騰させた鍋のなかに入れ、落としぶたで煮ます。
しかし金目鯛ってステキな名前ついてるけど、このオカルト系なご尊顔見ると、やっぱりお前は深海魚なのね……と納得。でもこの目の部分のゼラチンがトロっとしてうまいんだよな。
アラを食べつつ、煮汁はとっておき1～2日寝かせます。
ここからは、とろろ作り。自然薯をコンロの火であぶってヒゲ部分を焼き払い（弱火でも焼けるので、火にはご注意を）、水洗いしてドロを落とします。
おろし金（ってうちはプラスチックですが）で、自然薯を皮付きのまま、すり鉢のなかにすりおろします。 意外と簡単にすれて、楽しい。
すりこぎ（ってうちは麺棒と兼用ですが）で、すり鉢のなかの自然薯をすります。最初は強く、だんだん軽く弱く、というのがポイントらしい。持ち上げると餅みたいに伸びるくらい、すごい粘度。
ここで寝かせておいた煮付け汁の出番。昆布出汁で適当にうすめ（私は2～3倍くらいに薄めました）、火にかけて温めておきます。
温めた金目鯛の煮汁を、とろろが煮えないように、少しずつ加えて馴染ませるようにすります。
最後に大根おろしを一つかみ加えて、ひとすり、ふたすりすればとろろは完成。
7（米）：3（麦）で炊いた麦飯を、大きめの椀にふんわり軽くよそい、上からとろろをたっぷり流します。
ねっとり泡だったとろろが……早く食えと誘っている……
食べた感想：
おいしーー（涙）！ 皮ごとすりおろした自然薯は、口の中でもタプタプしてるほどの粘度で、ほんのり土の香りがする素朴な味わい。
魚の煮汁は薄味だとあまり気付かないけど、ちょっと濃いめに味付けすると、風味が出てよくわかるかも。
最後に入れた大根おろしの辛みもワサビがわりになって、ご飯が進みます。
しかしとろろ飯って、食べると口のなかがネバネバでしゃべりにくいので、食卓がカニほじってる時くらい静かになるのは新発見だったw
残りの自然薯は、2日目に再度とろろ飯、3日目に海苔巻き揚げ＆とろろ蕎麦で、3本消費完了（なんかすごい達成感）！
自然薯はかなり高いのでたまにしか食べられなさそうですが、普段は山芋で代用しても美味しくできるかも。
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コメント
コメント一覧 (6)
コメント欄でははじめまして！
うれしいお言葉ありがとうございます[絵文字:i-237]
おせんは「そんな作り方アリなんだ」と目が覚めるようなレシピが多くて、どれも美味しそうですよね。
自然薯は野菜のくせに高くてびっくりしました（清水の舞台からダイブする気持ちで購入…）。スーパーにもあまり売ってないので、普段なら山芋とか、あっさりいくなら長芋でも美味しいかもしれません。
こちらこそ、twitterふくめて今後もよろしくお願いします[絵文字:i-189]
もしや……？と思っていましたら、おせんのとろろ飯！！（≧▽≦）
金目の煮汁入れて～って、大根おろし入れて～っていうのに凄く惹かれて、自分でもやってみたいなぁ……と思っていたのですが……
今回の再現を拝見して、すっごく美味しそうで、私もやってみたくなりました……！！(ﾉ´∀｀*)
毎回、本当に美味しそうでニコニコしながら拝見してます。
これからも頑張って下さい～！！
はじめまして、コメントありがとうございます！（カッコイイお名前ですねー[絵文字:e-267]）
とろろ飯、自然薯を使うせいか、お店に負けないくらい美味でした！
いつか丸子宿の丁子屋にも行ってみたい……。
食材はこだわるとキリがないので毎回悩むんですが（美味しんぼとかおせんは特に！）、「食べたい！」欲に負けて、ときに散財してしまうんですよね……。
確実にエンゲル係数上がっててヤバイですw（でも趣味と兼用だからいいや……と納得）
もし美味しそうなオススメの漫画ご存じでしたら、ぜひ教えてください[絵文字:e-349]
＆またどうぞお越し下さい～。
毎回楽しみに観させていただいております。
特に今回の「高市謹製とろろ飯」。
納豆などのネバネバご飯好きにとっては美味そうすぎる！最高の贅沢です！！食いたい・・・
このブログは時にはちょっと贅沢な食材を使ったり、工夫によって安い食材でも美味そうだし毎回楽しみにしています。
私もマンガ好きなので自分が読んだ事あるマンガのレシピがでるとなんか嬉しいです。
食べてないけどw
またちょくちょく拝見させていただきます。
あーお腹空いた・・・
はじめまして、コメントありがとうございます！
もったいないお言葉いただいてしまって、すごい励みになりました[絵文字:i-179]
「おせん」は、きくち先生の艶っぽい絵とセリフまわしもいいですよね！
読んだ後はしばらく江戸っ子気分にひたってしまいます。
＞｢漫画に出てくる料理を出してくれるレストランがあればなぁ｣
おおー、私もこれ思ってましたw
料理スキルや材料の問題で、自分じゃどうしても作れない料理も結構あるので、プロの味を食べてみたい……。実在したら結構流行りそうなのになあ。
普段の材料で手軽に作れる漫画飯も結構あるので、機会があれば、ぜひ挑戦してみてください[絵文字:i-189]
あまりの感動に初書き込みをしてみました。。
出てきている漫画がどれも大好物(笑)なものばかりです！！
すごすぎる！！
｢漫画に出てくる料理を出してくれるレストランがあればなぁ｣なんて常日頃考えてたんですが(自分で作る気の全くない考えで恐縮ですが－－;)、まさか現実に再現される方がいたとは・・感激です！！
「おせん」のとろろ飯いいですよね。。屋台のシーンもそうだし、人情味あふれるお話が本当に好きで（＾＾）
またぜひお邪魔したいと思います★
とにかくこの感動を伝えたくて・・ほんとありがとうございます！
私も頑張って挑戦してみよう！と思えてきました＾＾