リトル・フォレスト ウスターソース

家庭内の独自食文化って、ありますよね。私の実家では昔「目玉焼きにはマヨネーズ」「トマトにはソース」が当然で、それが一般的じゃないと知ったときは軽くショックでした。

「リトル・フォレスト」の第二話も、そんなテーマの話です。


「リトル・フォレスト」1巻より
※【コマ引用】「リトル・フォレスト」(五十嵐大介/講談社)1巻より 

前回、ぬてらをご紹介しましたが、その前半で登場するのがこのウスターソース。

主人公・いち子の家では「ウスターソース」といえば、ブルドッグでもイカリでもおたふくでもなく、野菜やハーブを煮詰めて作る、醤油ベースの自家製タレのこと。学生時代まで、市販のソースは「うちから広まった」と勘違いしてたくらいです。

真実を知った娘に問い詰められた母は 「売ってるのとうちのと どっちがおいしい? 言ってごらん」 と居直りますが、いち子は返す言葉に詰まります。

一般的な味を知ったからといって、簡単には舌を切り替えられないのが家庭内食文化なんですよね。

大人になったいち子も、気がつけばこのウスターソース風のタレを手作りし、毎日の食事に使い続けます(そして私も目玉焼きにはマヨをかけ続けます)。

で、そんな魅惑のタレって、どんな味なのか気になる!……というわけで作ってみました。

リトル・フォレスト ウスターソース 
材料: 
ニンジン、ショウガ、セロリの葉、とうがらし、だし昆布、粒こしょう、青山椒のみりん漬け、クローブ、粒コショウ、月桂樹の葉、セイジ、タイム、あと調味料各種。

リトル・フォレスト ウスターソース リトル・フォレスト ウスターソース 
このなかで、青山椒のみりん漬けだけ市販品が見つからなかったので、事前に仕込んだのがこちら。

青山椒の塩漬けを買ってきて、軽く茹でて塩抜きしたあと小瓶にみりんと一緒に入れて、2週間ほど漬け込んだものです。

リトル・フォレスト ウスターソース 
作り方: ※分量は作中にないので適当です 
ニンジン1本、セロリ1本(漫画では葉っぱだけですが、本体も使っちゃいます)、しょうが1個、唐辛子2本をみじん切りします。

リトル・フォレスト ウスターソース 
鍋に水1.5リットル、ダシ昆布3枚(小カットのもの)、粒コショウ適量、青山椒のみりん漬け大さじ2、クローブ5~6粒、月桂樹の葉3枚、そしてセイジ、タイム(出来れば生ハーブ)を適量入れて中火で煮詰めます。

リトル・フォレスト ウスターソース 
半分くらいの量に煮詰まったら、醤油や酢、みりん、ざらめで味付けしてさらに1時間くらい煮込みます。ここの調味料の配分は、お好みで。

最初は6~7割くらいの味付けにして、煮詰めつつ調整していくと安全かも。 上記以外に、ジャムや香辛料を足してもOKらしい。私は苺ジャムとカレー粉少々を追加してみました。

リトル・フォレスト ウスターソース 
かなり煮詰まりました。最初の鍋の状態から2~3割くらいの量になってますね。味を見て、大丈夫そうだったのでこのへんで引き上げることに。

リトル・フォレスト ウスターソース リトル・フォレスト ウスターソース 
出来たソースをさらしで漉し、ビンなどに詰めたら完成。このとき、さらしの中に残った野菜カスは、カレーに入れるといいらしい。

リトル・フォレスト ウスターソース 
ビンに詰めると、ソースっぽくなりますね。 まずはこのまま味見した感想ですが、醤油でもなく、いわゆるソースでもなく……不思議な美味しさ(でもどちらかというと、醤油よりはソースに近い味かな?)!

山椒の風味や唐辛子の辛さが効いてて、和風とも洋風とも言い切れない風味です。

「リトル・フォレスト」1巻より 
※【コマ引用】「リトル・フォレスト」(五十嵐大介/講談社)1巻より

どうやって食べようかなーと迷いましたが、作中でこれも自家製の「じゃがいものコロッケ」にかけるシーンがあって、これがやたら美味しそう。

コマの絵を参考に、俵型のジャガイモのコロッケを作ってみました(ひき肉も玉ねぎも入れない、ジャガイモとバター&牛乳少々だけのシンプルなやつ)。 

リトル・フォレスト ウスターソース 
ここでちょい失敗だったのが、コロッケにかけて食べるには、ちょっとソースが薄味すぎたこと。味見したときは丁度いい濃さと思ったんですが、もっと濃厚でないとコロッケには負けちゃうのかもなあ。

存在感は弱いですが、さっぱりしたソースとして見れば美味しかった!


リトル・フォレスト ウスターソース リトル・フォレスト ウスターソース 
五十嵐先生の巻中エッセイには、この自家製ソースを使ったレシピがもう一品出てきます。ナスを素揚げして、ソースにくぐらせて味を染みこませた「揚げなすのソース絡め」。 

私の作った薄めのソースだと、むしろこっちの料理向きかも?という気がして、翌日ナスと玉ねぎで作ってみました。

リトル・フォレスト ウスターソース 
ソースが薄いので、さっと絡ませる、というより煮浸し風にしてみた。揚げて甘く軟らかくなった野菜に、スパイスの効いたソースが染みこんで、予想通りうまーーーーでした! 

時間がかかるわりに少量しか作れないけど、慣れると手放せないソースになりそうです。今度はもうちょっと濃く作ってみようかなー。




▽読者登録するとLINEで更新通知が届きます


▽Twitter(@pootan)はこちら


▽Instagram(@mangashokudo)はこちら
instagram_bn

▽YouTubeはこちら