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※【コマ引用】「ゆりあ先生の赤い糸」(入江喜和/講談社)3巻より

「たそがれたかこ」「おかめ日和」の入江喜和先生の最新作、「ゆりあ先生の赤い糸」。
新作ごとに「今まで見たことのない少女漫画」を見せてくれる入江先生ですが、今作もすごいです。展開が読めなくて、3巻ですでに面白すぎる。

主人公は、自宅でほそぼそとフランス刺繍の教室を営むゆりあ、50歳。背が高く男っぽい見た目に反し、心は繊細。マイペースな作家の夫・吾良(ごろう)、義母と3人暮らし。

夫婦仲は良好、子供を望んだこともあったけれど、あきらめた今は穏やかな日々を送っている……はずが、夫が倒れたことを知らせる病院からの1本の電話で、彼女の暮らしは一変する。

駆け付けた病院にいたのは、泣き崩れるひとりの若い美青年・りく。夫がくも膜下出血で倒れた際、そばにいたという彼はゲイで、夫とは恋愛関係にあったとゆりあに告白する。

困惑するゆりあをよそに、目を覚まさないままの吾良。
長年一緒に暮らし、心から信頼していた夫には、妻のまったく知らない一面があった。これは「裏切り」だったのか、それとも…?

まるでミステリーのような状況に立たされつつ、夫の介護をはじめ次々と目の前で起こる問題に巻き込まれていくゆりあさん。

2巻でついに怒りが爆発、愛人に電話で八つ当たり込みの啖呵を切るシーンは「たそがれたかこ」のあのたかこ爆発シーンと同じくらいインパクトがありました。

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※【コマ引用】「ゆりあ先生の赤い糸」(入江喜和/講談社)2巻より

オムツのひとつも替えにこい
昼ドラでもこんなにリアリティのあるセリフ、なかなかない。最高だ。

3巻では美青年のりく、吾良を「パパ」と呼ぶふたりの幼い姉妹に加えて、あらたにもう一人の「関係者」が登場し、さらに目が離せない展開になります。

鶏つくね鍋は、そんなカオスすぎる状況のなかで作った、ゆりあさんのヤケクソ感あふれる料理。

吾良がラーメンを作るために大量に注文してストックしていた、小袋のラーメン用みそスープ。いつまでたっても作る気配がない夫のかわりに、ゆりあさんはこのスープを料理にちょくちょく使っていたようです(こんなとこでも尻ぬぐいしていたのね…)。鶏つくねと野菜で作るこの味噌ナベは、吾良の大好物だったようです。

食卓を囲むのは、夫の愛人(男)と、隠し子疑惑のある子どもたち。
仲良くご飯食べるメンツじゃないですよ!!
と、りくにキレられつつも、誰よりもキレたい心情を抑えて夕飯の準備をするゆりあの吹っ切れ感が、この即席鍋にもあらわれている気がする。

そんな心情とは別に、ラーメン用スープを使った鍋、というのも料理として気になります。

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材料は、味噌ラーメン用のスープ、鶏ひき肉、キャベツ、しめじ、にんじん。
ラーメン用スープは、スーパーの生麺コーナーに小袋で売っているのがありますよね。アレを調達。水で希釈して使いますが、袋に書かれた分量だとやや味が濃いので、水を多めに足して調整します(今回はスープ2袋に水900cc)。

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鶏ひき肉(250g)にネギのみじん切り、パン粉小さじ2、酒大さじ1、ショウガすりおろし(1かけ分)、塩コショウ適量を加えて粘りが出るまでよく混ぜる(分量は自己流です)。

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スープが沸いたら、スプーンでひき肉だねをすくって鍋に投入。火が通ったら野菜を入れてフタをし、野菜が煮えるまで煮込む。

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手軽なわりに美味しそう~。

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食べた感想:
鶏団子や野菜の煮込んだ出汁がしみた味噌スープは、確かに美味しい。想像以上に完成度の高い味でびっくり。へたに自分で調味料を調合するより確実だし、小袋1つから購入できる分、鍋スープよりもコスパいいし、ラーメンスープって案外使えるんだなあ。

当然シメは中華麺を入れて味噌ラーメンです。正解に決まってる。
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実際は繊細なのに、頼りになる「おっさん」キャラとして、周囲の期待どおり振る舞って生きてきたゆりあさん。痩せ我慢の美学は、大好きな父が信条としていた「カッコよく生きようぜ」という言葉の呪縛でもあるのですが、このある種の足枷は、今後彼女にどう作用していくのか。そして「赤い糸」はどこに繋がっているのか。

これまでの入江作品同様、まったく予想がつかないだけに、今年も楽しみな漫画のひとつです。





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