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※【コマ引用】「めしにしましょう」(小林銅蟲/講談社)4巻より

「めしにしましょう」4巻に登場するナープ天茶を再現してみました。

スッポンの首を落としたり、キロ単位の肉&魚をこなしたり、ヘビーな工程で素人にはなかなか手が出ないメニューが多い本作ですが(公式実写版こと小林先生のブログで視覚的に満足しましょう)、このナープ天茶は異色に思えるほどシンプルな食材で構成されています。

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納豆、えのき、オクラ、それから米粉と卵。
いずれも会社帰りにヨーカドーで買えるレベルの食材たち。やさしい。かつてなくやさしさに満ちている。

そもそも青梅川さんもいつもの様子と異なります。
ひとつ前のエピソード(やけくそアヒージョ)で、イセエビやギガマッシュルーム入りの「普通じゃない」料理を作り、臨時アシのピエロ氏に
これは人間を支配するための料理
と含みのある言葉を向けられます。

料理を対・人とのコミュニケーションの手段にしてきた青梅川さんにとって、この言葉は引っかかるものだったようで、自問自答します。

うまい料理は人間を支配できる。
そしてうまいものはうまいほど強く、うまいほど高い。
果たして本当にそうなのか?
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※【コマ引用】「めしにしましょう」(小林銅蟲/講談社)4巻より

これまでの青梅川さんの料理といえば、食材も調理法もエクストリーム性が特徴でした。しかし果たして「うまいもの」に、極端な調理法や食材は必須なのだろうか? 自らのスタイルを見つめなおした結果、生まれたのがこの料理。
(しかしこの自問自答する青梅川さんはかわいい)

シンプルな軸に傾いたといっても、そこは「めしにしましょう」。
独特の「ずらし」の美学は、料理名に表れています。
「ナープ天茶」のナープとは、オクラ、えのき、納豆、この3つをあわせたもののことですが、これは青梅川さんの命名によるもので「意味はわかりません」とのこと。考えるな、感じろ。
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えのきは根元を落として三等分、オクラは厚めの輪切りにします。
(オクラは水洗いしたあと、水気をよく拭いておきましょう)

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納豆はあらかじめよく混ぜ、ボウルにエノキとオクラと一緒に投入してさらに混ぜます。
納豆のねばりにより具材全体をまとめる、という理にかなった方法。

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もうひとつのポイントは、米粉で揚げるということ。
天ぷらの世界は沼です
という言葉どおり、名店の職人の「揚げる音ととの対話」みたいな世界への到達は素人には無理ですし、なによりグルテンフリーの米粉ならコロモの扱いも格段にラクになる、という理由。

小麦粉だと「事前に粉を冷蔵庫で冷やす」「混ぜすぎない」とかチクチク言われがちですが、米粉なら無問題です。
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卵と水、米粉を混ぜ合わせてコロモを作ります。
「ナープ」を網杓子ですくってそこにコロモをかけ、160~170度の油に網杓子ごと沈めて投入。
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揚げ油はサラダ油を使ってしまったけれど、小林先生のブログでは米油が使用されていました。

エノキが薄く色づいたら引き揚げます。
作中にも書かれているけど、網杓子に米粉の生地がこびりつくので、取るのにちょっと苦労します。
(そういえばこの網杓子、上京してから100均で買ったやつだから15年くらい使っている)

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揚がりました。コロモを網杓子である程度落として揚げるので、薄づきのかき揚げに仕上がります。

丼にご飯をよそい、その上にかき揚げをのせます。
レモンをしぼり、刻みのりをのせ、醤油をまわしかけて…
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熱々のほうじ茶を注ぎます。

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お酒のシメとかに食べたくなるビジュアル。

全体をくずして、混ぜて食べるのがポイントのようです。
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食べた感想:
米粉で揚げたかき揚げは、特になんのコツもいらないのにザクっと香ばしく揚がりました。
オクラのシャキシャキ、エノキのサクサク、納豆の粒々感。いろんな食感と旨みが一度に味わえます。油をほうじ茶がさっぱり流してくれるので、もたれにくいのも嬉しい。

どこにでもある普通の食材でも、「エクストリームな料理」は作れると実証した青梅川さん。
なにより、やはり普通に命名したら「かき揚げ天茶」になるところを、「ナープ天茶」にしたネーミングが秀逸だと思う。1巻の「ウ゜ドン」にまさるとも劣らない、ニュートラルな語感も美味しさの一部かもしれません。


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