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このブログは個人的に好きな漫画について書きたい、という目的で始めた部分も大きいのですが、ひとつネックなのは「再現できる料理が登場しないと作品を紹介できない」という点です。当たり前だ。

なので料理漫画以外の好きな作品に食べ物が出てくると思わずテンションが上がるのですが、室井作品もそのひとつ。
(と言いつつ、今回の再現は「秋津」に触れてくださったコメント欄の投稿がきっかけです。ありがとうございます!>家路さん)

室井先生は、ライブドアで連載されていた4コマ「妖怪研究家ヨシムラ」時代からのファンなのです。ヨシムラと同時発売された単行本「イヌジニン」の、180度違う作風にびっくりし、「ブラステッド」の冷たい暴力描写に痺れて周囲にすすめまくり、「レイリ」で岩明均先生と組まれたときは今世紀最大のニュースじゃーと興奮し……ハーハー(数年間の思いをぶちまけてキモく息絶える)。

「秋津」は変人漫画家・秋津と、常識人な小学生の息子・いらかを中心にした日常コメディ。
秋津の奇行や歯に衣着せぬ発言がひどいほど、周囲の「ふつうの人々」それぞれのキャラが逆に光る面白さがあります。個人的には、メンタルが「6歳の女の子」級に打たれ弱い編集者・村瀬さんが他人事と思えない……。

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※【コマ引用】「秋津」(室井大資/エンターブレイン)1巻より

秋津が作るカレーは1巻の3話に登場します(白黒のコントラストがきいた料理絵が、なにげに美しすぎる)。
小学生にとって「夕飯がカレー」はキラーワードですが、いらかにとってはそうでないよう。
いっつも変なモノ入れるし!
というセリフに、蓄積された歴史の闇を感じます。

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メインの具材はイカ、カボチャ。確かに子供が喜ぶカレーとはズレていて、ちょっと渋い……が、これだけ見ると普通に美味しそうな気配もあります。

問題は、カレーを補佐する隠し味の数々。
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※【コマ引用】「秋津」(室井大資/エンターブレイン)1巻より

カレー味のうんこはもはやカレーなのです
と言い放つほど、カレールーはすべての味を支配する圧倒的存在。だからこそ、ほかの調味料は従順なしもべと化す、というのが秋津理論。
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こちらがそのしもべたちです。
チャツネ、ダースチョコ、赤ワイン、ヨーグルト、ガラスープ、ガーリック、大正漢方、パルメザンチーズ、生姜、ケチャップ、バニラエッセンス、オイスターソース、しょう油。

確かにカレーの隠し味は「もうなんでも入れていいんじゃね」レベルにバリエーションが広いですが、こうやって揃うと圧巻です。
スタンダードな調味料に交じって、一部「不安要素」になりえる材料が含まれていますが……ひとまず気にせず調理スタート。

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まずは大量の玉ねぎを飴色になるまで炒めます。
飴色タマネギ作りは“祈り”なのだ」という秋津のセリフのとおり、時間をかけてじっくりと。
(作中では結局焦げつかせて失敗して捨てていますが、もったいないのでここは入れたまま進めることにします)

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このへんからは想像で再現。
イカは内臓を抜いてさばき、みじん切りしたニンニク・生姜と一緒にオリーブオイルで炒めます。

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いちょう切りにしたニンジン(これは完成時のコマにそれっぽいのが見えたので)を加え、水を加えてアクをとりつつ煮込みます。

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途中で各種調味料を加えます。いずれも少量ずつ。
ケチャップ、しょうゆ、ガラスープ、オイスターソース、ヨーグルト、赤ワイン、パルメザンチーズ、ダースチョコ……。このへんまでは、聞いたことあるやつ。

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最後に問題のやつら。
大正漢方。
ただしこれは成分がほぼスパイスらしいので、理屈ベースでは全然アリ。

そしてバニラエッセンス……これが一番抵抗があり、心の惑いのせいか思わず写真がブレてしまった……。意を決して1、2滴加えます。
(調べたら、どうやら隠し味にバニラアイスを使うという裏技があるようです)

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色々混入してすでにカレー色に変色してしまった鍋に、ついにルーを投入します。頼むお願い、まとめてくれ……!

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仕上げにカボチャを入れて、柔らかくなるまで煮たら完成。

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「見かけはいいんだよなあ……」
という、いらかのセリフのとおり、見た目は普通のカレーです。

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食べた感想:
うん、案外普通に美味しいカレーになっている。
イカの風味とかぼちゃの甘みが、どことなく煮物風でなつかしい味わい。
隠し味をそれぞれ少量にとどめたせいかもしれませんが、しもべたちの反乱を許さない統率力、さすがカレールー軍曹だと実感しました。

そういえば小林銅蟲先生の「めしにしましょう」3巻の巻末に、突然室井先生作画のページが出現してびっくりしたのですが、銅蟲先生の「ねぎ姉さん」もライブドアの4コマに連載されていたし、繋がりがあったのですね。
そしてそれがネットニュースにもなっていたので、世界って案外すてきだなと思いました。

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