「異世界駅舎の喫茶店」のモーニング

原作のSwind先生から御本をいただく機会があり、拝読しました。

名古屋行きの特急に乗ったタクミとその妻は、目覚めると異世界の駅に到着していた。ネコ娘化して「ニャーチ」と名乗る妻とともに、タクミは駅舎の喫茶店「ツバメ」を任されることに……というストーリー。

原作の絵本風の素朴なイラストも魅力的ですが、コミカライズ版は少女漫画風のタッチで、女性キャラが特にかわいいです。

勉強不足で知らなかったのですが、ライトノベル界、特に投稿サイトの「小説家になろう」起点で数年前から「異世界グルメ」ジャンルが盛り上がっているようです。今期は「異世界食堂」がアニメ化されましたね(店主がナイトスクープの林先生に似ててつい見てしまう)。漫画界でも「ダンジョン飯」以降流行しているファンタジー×料理ですが、小説の作品群はさらに多岐にわたっています。

面白いなー、と思うのは、異世界と現実の「共通点と違い」の設定をいかに作りこむかが、それぞれの作品のオリジナリティーになっていきそうな点。

本作で主人公たちが飛ばされた世界には「小麦粉が存在しない」という設定がもうけられています。
原作のあとがきでは、そのせいで普通のパスタもケーキも出せなくなった(喫茶店なのに)……という裏話もありましたがw、例えばタクミの出身地である名古屋でおなじみのモーニングメニューはこんな感じで登場します。
「異世界駅舎の喫茶店」1巻より(神名ゆゆ/Swind)
※【コマ引用】「異世界駅舎の喫茶店」(神名ゆゆ/Swind/pon-marsh/KADOKAWA/メディアファクトリー)1巻より

マイス(コーン)ブレッド、サナオリア(にんじん)の野菜サラダ、ゆで卵、そしてシナモンコーヒーのセット。

トーストのかわりに、トウモロコシ粉で作るコーンブレッド。シナモンコーヒーは「この世界でのコーヒーの定番の飲み方」という設定。食材名を異国風に言い換えるのも演出がきいています。
名古屋の喫茶店文化という「現実」と異世界ファンタジーが交差する妙も、このジャンルの面白さではないでしょうか。

作中に登場する料理は、原作者のSwind先生がいずれも作ったことがあるもの。なのでほとんどのレシピが詳細に載っていますが、モーニングのレシピはシナモンコーヒーのみ(おそらく、マイスブレッドは業者に発注しているという設定のためでしょう)。
コミカライズ版のビジュアルと小説での描写を参考に、この魅惑のモーニングを勝手に再現してみることにしました。

材料
マイスブレッド(コーンブレッド)の作り方:(※分量は参考まで)
材料は、コーンフラワー、コーンミール、コーングリッツ(いずれもトウモロコシ粉で、挽き方が異なります)、卵、牛乳、ヨーグルト、バター、塩、ベーキングパウダー。 

コーンブレッドはアメリカの定番メニューですが、最近は小麦粉を使うレシピが多いようです(本場である南部の伝統的な作り方では、トウモロコシ粉だけを使うそう)。今回はこちらのレシピを参考に、小麦粉をコーンフラワーに置き換えて作ることにしました。

コーンフラワーとコーンミール溶かしバター
1.ボウルにコーンミール(100g)とコーンフラワー(100g)、ベーキングパウダー(小さじ1.5)、塩(小さじ1/2)を入れてよく混ぜる。
2.鍋にバター(40g)を溶かし、牛乳(100cc)とプレーンヨーグルト(50cc)をあわせたものを入れ、人肌程度に温める。

コーンブレッド(混ぜるコーンブレッド(焼く前)
3.1のボウルに溶き卵(1個分)と2を入れて粉気がなくなるまで混ぜ、パウンドケーキ型(21.5センチ)に流し入れ、コーングリッツを適量振りかけ、180度に予熱したオーブンで35分焼く。

野菜オレンジ
サナオリア(にんじん)の野菜サラダの作り方:
1.にんじんとキャベツは千切り、玉ねぎは薄くスライスして水気を切っておく。
2.オレンジ(皮も使うので防カビ剤不使用のもの)は、くし形に切って皮ごと荒く刻む。

ドレッシングサラダ
3.ボウルにワインビネガー、はちみつ、塩コショウ、なたね油、レモン汁を入れ、刻んだオレンジを加えて泡だて器で軽くたたくように混ぜてドレッシングを作る(ドレッシングの描写は小説に詳しくあります)。
4.1の野菜とあえ、冷蔵庫で冷やしておく。

コーンブレッドコーンブレッド
そうこうしてたら、ブレッドが焼けました。
取り出してみると、ソーダブレッドらしいズッシリ感があります。断面もみっしりしてますね。
が、試食してみると案外軽い食感でびっくり。トウモロコシの粉だけだと、こんな感じになるのねー。

シナモンスティック
シナモンコーヒーの作り方:
こちらは原作に作り方が載っているので、分量はそちらを参考に。
鍋に水とシナモンスティック、お好みで砂糖を入れて火にかけます。

ミルミル2
作中で手挽きのミルを使っていますが、そういえば我が家にもあったな……と、数年ぶりに引っ張り出しました。

コーヒーコーヒーを漉す
鍋に挽いたコーヒーを入れ、沸騰したらすぐに火からおろして粉が沈むのを待ち、目の細かい茶こしなどで漉してカップに注ぎます。

マイスブレッドを切り分けて軽くトーストし、サラダ、ゆでたまご(沸騰した鍋で8分ゆでると丁度いい)を盛りつけたら、喫茶「ツバメ」の定番モーニングセットの完成。
「異世界駅舎の喫茶店」のモーニング

シナモンコーヒー
シナモンコーヒーはペーパーフィルターを使わないので(これも異世界には存在しないアイテムという設定のようです)、ベトナムやトルコのコーヒーのように濁った状態が特徴。シナモンの香りもきいて、エキゾチックな味わいです。

マイスブレッド
軽くトーストしたマイス(コーン)ブレッドは、表面はサクサク、中はほろほろと面白い食感。半分をきめ細かなコーンフラワーにしたせいか、舌触りもボソボソせずさらっとしています。
そのままだと素朴な味ですが、メープルシロップをかけてもおいしい。今回は使わなかったけど、甘みのあるパンが好きなら、生地に砂糖を入れてもよさそう。

サラダ
野菜サラダは、オレンジのフレッシュ感あるドレッシングが朝にぴったりで、好みでした。これは作り置きして毎日食べたいなー。

茹で卵
半熟たまごは、朝のメインディッシュ。

この豪華な内容でお題はドリンク代のみというから、店の常連のサバス氏がタクミに「ゆで卵代を払わせてくれ」と懇願するのも無理はないかも。
コメダの進出で今ではこの太っ腹システムも全国認知されているけど、昔の名古屋の喫茶店こそ余所者にとってはまさに「異世界」に近かったかもしれない……。

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