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「マンガ大賞」ノミネート作品ということで手に取った「空挺ドラゴンズ」。
龍を追って各地を旅する飛空艇(捕龍船)を舞台にした、冒険&グルメ漫画です。

ノスタルジックなタッチの絵や緻密な世界観など、昔のアフタヌーンを彷彿とさせて(good!アフタヌーン連載のようですが)、一発でハマってしまいました(毎年思うけどマンガ大賞ノミネート作品は、ほとんどハズレないです。大賞以外ももっと読まれて欲しい)。飛空艇暮らしの描写など、ジブリ、特にラピュタが好きな人にはたまらないはず。

ファンタジー世界を舞台にした「ダンジョン飯」と同様、本作も非実在食材がたくさん登場します。その代表格が「龍」。

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※【コマ引用】「空挺ドラゴンズ」(桑原太矩/講談社)1巻より

第1話に登場するのは、「龍の尾身」のステーキをはさんだサンドイッチ。
龍を仕留めて食べることに人一倍のこだわりを持つ主人公・ミカが作るメニューです。

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※【コマ引用】「空挺ドラゴンズ」(桑原太矩/講談社)1巻より

さて、この龍の尾身。「龍の尾の付け根の肉」と説明されていますが、コマに描かれた絵を見ると、その名の通り輪切りにされたしっぽの周囲に、赤身の肉がついているような形状です。
当然こんな肉は現実に見当たりません。

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※【コマ引用】「空挺ドラゴンズ」(桑原太矩/講談社)1巻より

エピソードの最後にお店で食べるステーキも↑こんな形ですが、これにそっくりなのはまぐろのテール。かといって、まぐろ肉で再現するのはちょっとしっくりこない……せめて陸の動物の肉で作りたいなー。

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陸の動物で手に入りやすいのは、やはり牛のテールです。
しっぽがスパっと切断されたようなビジュアルは理想的だけど、可食部は少ないし筋張っていてステーキにするには不向きです。

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一方、牛の臀部のうち、しっぽの付け根に近い部位として知られる肉が「イチボ」。
焼き肉屋さんでもたまに見ますが、やわらかい食感からステーキにもよく使われ、今回のメニューにもぴったりの予感。

ただ、部位としてはふさわしいけど、これをそのまま焼いても単に「牛ステーキ」にしかなりません。どうにかして、龍を焼く気分を味わえないかしら……。

そこで思いついたのが、肉の魔改造です。
イチボ肉+牛テール肉で理想の肉を作っちまおうという算段です。

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イチボ肉の余分な脂をカットして(この部分は後でステーキを焼く際に使います)、中央を包丁でカットし、テール肉(小さめのもの)を隙間なく埋め込みます。はがれにくいように、テール肉の周囲には小麦粉をまぶしておくのがおすすめ。

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これが牛肉から「龍の尾身(風)」に魔改造された肉である……。
なんか禁断の行為に手を出したマッドな気分になりましたが、よく考えたら大したことしてないですね。
より魔改造度を上げるなら、牛+豚とか異種混合するのもアリかもしれない。

肉はラップにくるんでなじませ、焼く前に常温に戻して岩塩とコショウをしっかり両面に振ります。
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岩塩の存在自体がファンタジーっぽい。

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ラップにくるんで寝かせたおかげか、テールとイチボがの境目が馴染んで、ほんとにこんな肉がありそうな気がしてきた。

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肉を焼いてゆきます。熱したフライパンに「龍の皮の脂(切り分けたイチボの脂身)」を溶かして

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肉を投入し、強火で1分→弱火で1分。

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裏返して、強火で30秒→弱火で1分半。

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仕上げに「ワインウォッカ(=これは「ブドウの蒸留酒」と解釈してブランデーを使用)」をひとたらしし、アルコールを飛ばし完成。フランベしたら思ったより激しいことになった。

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焼いた肉は3~5分ほど寝かせるとジューシーになる、というレシピページのアドバイスに従い、アルミホイルにくるんでしばらく放置。

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その間にパンをあれこれします。
シンプルなサンドイッチなので、パンは奮発して美味しいものを用意しましょう(これはお気にいりのパン屋さんのカンパーニュ)。
数日経って硬くなったカンパーニュをスライスし、

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切り口をさっと水につけて、そのままフライパンで片面だけ焼きます。

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硬いパンがふっくらと柔らかくなりました。このワザ、普段も試せそう。

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寝かせていた偽装龍肉がいい感じに仕上がったので、

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包丁で薄くスライスしていきます。
(テールの部分は、肉をこそいでおく)
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ナイスピンク。
これをパンにたっぷりはさんで
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(はさみすぎだろうか)
「龍の尾身ステーキサンド」の完成です。
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食べた感想:
パンと肉、それ以外一切なし!の超男前サンドイッチは、ミカのキャラクターらしくシンプルでワイルド。
ステーキもジューシーでやわらかくて、そんなに高いお肉じゃなくても(今回のイチボは輸入牛です)、ちゃんとした方法で焼けばちゃんと美味しいんだなあ、と納得。

非実在食材だからといってあきらめずに、使えそうな材料を妄想しながら作るのも楽しいですね。

※ちなみに「龍の尾身肉」の代用品としてもうひとつ候補にして買ったのが、「オッソブーコ」という子牛の骨付き肉。部位はスネですが、いい位置(?)に骨があってビジュアルとしてはけっこう理想的。
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焼くとこんな感じになります。
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食べてみると肉は硬めで、やはり煮込み用なんだなと思いますが、非日常感のある食材だし、魔改造はちょっと…という方は、このお肉もいいかもしれません。

※アフタヌーンのサイトで試し読みできるようです。




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コメント

 コメント一覧 (6)

    • 6. umebon(梅本ゆうこ)
    • 2017年06月05日 12:34
    • >まーくさん
      いやいや、小林先生のあの独特のテキストには及びもしません…!(ほんとにクセになりますよね)
    • 5. umebon(梅本ゆうこ)
    • 2017年06月05日 12:33
    • >むぅさん
      お肉の接着剤…!
      うわー、これはぜひいつか使ってみたいですw
      ありがたい情報ありがとうございました!
    • 4. まーく
    • 2017年02月18日 12:26
    • Umebon様、なんか文体が小林先生に似てきてますよ。これも、けっこうワイルドで、すごいですね!!!
    • 3. umebon(梅本ゆうこ)
    • 2017年02月16日 23:44
    • みけにゃん様
      取り急ぎの返信で恐縮ですが、誤字ご指摘ありがとうございました!
      (アキって誰…!)
    • 2. みけにゃん。
    • 2017年02月16日 14:50
    • 毎回楽しく拝見しています。
      今回も美味しそうに再現されていて思わずお腹が鳴ってしまいました(笑)
      私も「空挺ドラゴンズ」だいすきです!

      それで料理とは関係ないのですが、
      ステーキサンドのコマの下でミカの名前が「アキ」になってますよー
      ちょっと気になったので(笑)
    • 1. むう
    • 2017年02月16日 12:28
    • こんにちは。いつも楽しく拝読しております。
      魔改造、Twitterでまわっていたお肉の接着剤を使ったらいろいろなモンスター肉やハーブなど再現できるかも…と恐ろしい(?)ことを考えてしまいました。
      http://magazine.shokuikuclub.jp/kitchen/20170109_050004/
      空挺ドラゴンズ読んでみます!
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