「瑠璃と料理の王様と」(きくち正太)のキッチンたちばな流ナポリタン
「おせん」シリーズを完結させたきくち正太先生の、新作料理漫画「瑠璃と料理の王様と」。
「魯山人の最後の弟子」である祖父を持つ食堂の看板娘・瑠璃が、「平成の魯山人」の異名で日本料理界を牛耳る巨人・北大路大観と対峙する……というストーリー。

瑠璃と正反対の権威的存在である大観は唯我独尊、まさに「料理の王様」で、初期の海原雄山を愛してやまない層には、たまらんものがあります。ツンデレ化もいいけど、このままヒール街道を突っ走っていただきたいです。

意外性のある料理や食に対する哲学は、きくち先生の過去のグルメ漫画と共通しています。
天然すっぽん出汁のラーメンなど敷居の高いメニューも多いですが、レシピも詳しい解説があるので、再現しやすいのも魅力。

「瑠璃と料理の王様と」(きくち正太/講談社)2巻より
※【コマ引用】「瑠璃と料理の王様と」(きくち正太/講談社)2巻より

今回作るスパゲッティ・ナポリタンも、そのひとつ。
町の洋食屋として愛されてきた「キッチンたちばな」。しかし二代目が本格イタリアンとして店をリニューアルし、亡き先代が築いた素朴な洋食はメニューから消えていました。
なかでも絶品だった「ナポリタン」を復活させるため、瑠璃は再現に挑みますが、試作するなかで先代がスパゲティを意外な方法で仕上げていたことに気づきます。

その秘密とは、ゆでたてのスパゲティをうどんのように「氷締め」してから炒める、という禁断の方法。
イタリア人から助走をつけて殴られそうな調理ですが、どんな食感になるのか気になるところです。

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作り方:(※分量は作品をご確認ください)
玉ねぎは厚めのくし切り、にんじんは細切り、ピーマンは薄切り、マッシュルームは縦4~5等分、ポークウインナーは斜め薄切り。
こちらで二人前ですが、「ナポリタンはもっと具が多くてもいいと思うわ」というコメントのとおり、好みで量を増やしてもよさそう。

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1.9ミリの太めパスタを塩を入れたたっぷりの湯で、袋の時間どおりにきっちり茹でる(アルデンテはNG)。その間にシンクに氷水のたっぷり入ったボウルを用意しておきます。

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ゆで上がったパスタをザルにとってしっかり湯切りし、この氷水ボウルの中へ。手早くもみ洗いしたら、ざるにあけておきます。うどんやそうめんではよくやる工程だけど、パスタでやるのはやっぱり不思議な感じ。

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温めたフライパンにオリーブオイルを入れ、強めの中火でウインナー、ニンジン、玉ねぎ、マッシュルーム、ピーマンの順に炒める。瑠璃ちゃんいわく「野菜こそ芯を残したアルデンテ」で、火を通しすぎないよう注意します。
氷締めしたスパゲティを投入したら、手早く全体を混ぜ、味つけへ。

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味付けにつかうのは、ケチャップと同量のトマトピューレ。これで甘すぎず、トマトの風味がきいたナポリタンになるそう。この時点では、薄い色のナポリタンですが……

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鮮やかな色に仕上げるために、パプリカパウダーを使うのも重要なポイント。
確かにこれまで、お店のナポリタンの見た目に近づけようとして、ケチャップを使いすぎてしまっていたのだけど、パプリカパウダーなら味のバランスはそのままに、キレイな色に仕上げられますね。目からうろこでした。

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もうひとつ、隠し味として使うのがキッチンたちばなのおかみさん特製ピクルスの「漬け汁」。
酢、白ワイン、水、塩、にんにく、唐辛子、黒粒コショウ、ローリエで作る(※分量は作品参照)、まったく甘くないスパイシーなピクルス液です。
写真は紫玉ねぎを一週間ほど漬け込んだもので、液がルビー色になりました。
(甘くないピクルスって初めて食べたけど、酸味が主張する大人向けの味で、料理にもいろいろ使えそう)

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↑のピクルス液のほか、塩コショウ、赤ワインを入れてアルコールをしっかり飛ばしたらOK。

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粉チーズとタバスコ、ホットコーヒーを添えて「キッチンたちばな」のナポリタンセットの完成。

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パプリカパウダーのおかげで、鮮やかな色合いに。具だくさんでおいしそうです。

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食べた感想:
こってりしてそうですが、真っ赤な見た目は前述のとおりパプリカパウダーのおかげ。トマトピューレの酸味がきいた、大人の味わいのナポリタンです。

パスタはアルデンテとも違う、もちっと弾力のある独特の食感。これは確かに、日本人の舌にあわせて生まれた「洋食」というジャンルならではの味。
そして昔懐かしいナポリタンは、ワインよりもコーヒーがしっくりきます。喫茶店の定番メニューだから、舌がこのコンビを求めているのかも。

最近は「水漬けパスタ」や「焼きパスタ」など、アルデンテだけじゃないパスタの調理法が広まりつつあるので、この氷締めパスタもいずれメジャーになるといいな。


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