前回に続き、食器のお話。
器選びは料理の味にも大きく影響する、とはいっても、骨董だったり高かったりすればいいってわけじゃありません。チープな食器だからこそ、味わい深い食のシーンも数多くあるはず。

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※【コマ引用】「極道めし」(土山しげる/双葉社)より
「なんかおいしそうに食べてる人」を描かせたら無敵の土山しげる先生。「極道めし」には、これ以上なくわびしく、だからこそ美味しそうなシーンが出てきます。

それは、誰もが一度はやったことあるであろう、インスタントラーメンの鍋直食い。詳しいシチュエーションを紹介するとネタバレになりそうなので控えますが、もう左のコマを見ただけで、いますぐチキンラーメンの袋をぶち開けたくなるくらいの訴求力を持ってます。

そういえば、よしながふみ先生の「きのう何食べた?」でも、ケンジが一人で大晦日にいそいそとサッポロ一番を作って食べてたけど、インスタントラーメンって誰かと食べるより、一人でひっそりわびしく食べるほうが数倍美味しいのはなぜなんだろう。



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※【コマ引用】「刑務所の中」(花輪和一/青林工芸舎)より
元祖・ムショ飯マンガといえば、花輪和一先生の「刑務所の中」。獄中記でありながら、グルメマンガとしても読めてしまうほど食事の話が多く、不謹慎ですが「食べてみたい」とあこがれて(?)しまうこともしばしば。特に見開きで毎日の献立を記録したページは圧巻で、この部分だけでも1時間は眺めていられるくらい。

おかず類はセパレート式の皿に盛られてるんですが、朝は献立の品数が少ないので、大きな仕切り部分は何もおかずがのっておらず、空のまま。昼の献立の絵と比べたら、その差は歴然で、このさびしい空白に目玉焼きの一つでも入れたい……と思うのが人情ですが、そうはいかないのがシャバとの違い、なんでしょうか。



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※[【コマ引用】「大東京ビンボー生活マニュアル」(前川つかさ/講談社)上巻より
清く正しいビンボー生活を描いた「大東京ビンボー生活マニュアル」の主人公・コースケは、歯磨きもコーヒーもブリキのカップひとつで済ませる超・合理派。ただし、コーヒーを飲むときは歯磨き粉の香りが残っちゃうので、来客があったときは隣の学生にカップを借りに行く、というライフスタイル。

あれもこれもと物欲にまかせてモノを増やしがちな私ですが、カップの使い方ひとつ見てもとことんシンプルなコースケの暮らし方は、やっぱりどこかであこがれちゃいます。



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※【コマ引用】「群青学舎」(入江亜季/エンターブレイン)3巻より
どうもわびしい方面のエピソードが続くので、ここらでさわやかな漫画にいきましょう。

入江亜季先生の「群青学舎」3巻に掲載されている、鍋パーティの話。毎年大晦日に古アパートに集い、鍋料理を囲んで年を越す4人の女友達。妙齢の美女たちが、学生時代に戻ったかのように、飲んだり食べたりシメの味付けでもめたりする様子が、それだけなのになんだか心地良い短編です。

エピソードの影に存在感があるのが、この鍋会に登場する10年モノの土鍋。アフターストーリーに描かれているように、4人が最初に出会ったときからそこにあり、いわば彼女たちをつなぐキーアイテムのように描かれています。

しかしこんなどうってことない日常が舞台でも、入江先生が描くとどこかファンタジー風になるのが不思議。



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※【コマ引用】フィールヤング「オハナホロホロ」(鳥野しの/祥伝社)より
最後は、フィールヤングで連載している、鳥野しの先生(羽海野チカ先生のアシスタントをされていたらしい)の「オハナホロホロ」。出てくる大人も子どももキュートなのに読後感はホロ苦かったりして、早く単行本にならないかなー、と心待ちにしてる作品のひとつです。

最新話は食器のエピソードでしたが、キッチンで夕飯の支度をしている麻耶に、みちるが「このくそ重たいけど見栄えだけはいい高級鍋さ――使ってんの?」と、多分ストウブとかル・クルーゼっぽい鍋につっこんでる冒頭のシーンに思わずうけました。

確かに雑誌で紹介されるような、ウォシャレな欧州製高級キッチンツールって、なぜかほとんど「くそ重い」ですよね。多分手がすべったら、確実に重傷を負うレベル。そして逆に日本製の鍋とかフライパンは、鬼のように「軽さ」にこだわるものが多い気がする(あ、でも南部鉄器はくそ重い)。やっぱ使うひとの体格の違いなんですかね……。




2回にわたって漫画と食器についてお届けしましたが、こんなニッチなテーマ誰得なのよと思いつつ、好きなことについて書き散らかせた自己満足でいっぱい。なんかまた見つけたら、適当に書いていこうと思います。
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