しらすトーストとジンジャーハニーミルクティー
今年の「マンガ大賞」、ご縁あって選考員のひとりとして参加させていただき、例年以上にドキドキしながら結果を待ちました(しかしさすが、候補にあがったマンガ全部面白かった)。
受賞したのはご存じのどおり、吉田秋生先生の「海街diary」。
鎌倉で暮らす3人の姉妹と、そこに新しく「家族」として加わることになった腹違いの妹・すず。彼女たちを中心に、文字通り海辺の街の日常とそこに暮らす人々の関係を描きます。同じ鎌倉を舞台にした名作「ラヴァーズ・キス」のキャラクターがあちこちで登場するのも見どころ。

映画でも小説でも海が舞台になる作品では、どこか背景に喪失感を抱えている登場人物が多い気がしますが、物語の主人公といえるすずも、中学生にして両親を亡くした少女。鎌倉という環境で、彼女が新しい家族や友人に馴染んでいく過程が丁寧に描写されていて、読み進めるほどに愛しい。

なかでも好きなのが、すずちゃんと同じサッカーチームに所属する風太との淡い関係。
この風太がいいヤツなのです。すずに寄せるほのかな気持ちと、いかにも中学生男子っぽい不器用さと優しさ。ジブリのキャラでいったらハウルや聖司くんみたいな王子系より、断然「トトロ」のカンタ派!!……という人ならわかってくれるはず(いるのか)。

「海街diary」(吉田秋生/小学館)4巻より
※【コマ引用】「海街diary」(吉田秋生/小学館)4巻より
4巻の「おいしい ごはん」のエピソードには、たくさんのおいしそうなシーンが登場しますが、なかでも気になったのが「しらすトースト」。カフェ「山猫亭」の人気メニュー。トーストの上にバターとしらす、海苔がのっていて「このコラボがもーサイコー」らしい。

すずにとっては、亡くなった父親が家でよく作ってくれた思い出の味。父親は、もしかしてこの店でこのトーストを食べたのかもしれない。風太とこの店に再訪し、彼女がいろいろな思いをこめて「おいしい」とつぶやくシーンは、しみじみ感動的です。

しらすは年中スーパーで売ってるし、作り方も簡単なのですぐにでも試せるメニューですが、気になるのは山猫亭のマスターの、地元・湘南のしらすで作るトーストは「味ぜんぜんちゃう」というセリフ。その言葉を信じて、3月下旬の漁解禁まで待つことに……(湘南のしらすは1月~3月まで禁漁シーズンだそう)。

湘南しらす
解禁のニュースを目にし、鎌倉の漁師さんのお店で買ってきた釜揚げしらすがこちら(生しらすも食べてみたかったけど、あいにく売り切れだった…)。
日によって大きさが違うらしく、「今日のはちょっと大き目」とのこと。味見してみると、プリプリで塩気ほんのり。これは確かにうまい。

しらすをのっける
作り方:
しらすをのせてから焼くのか、焼いてからのせるのか、どっちなんだろう…とふと疑問に思ってしまった。どうせなので、両方試してみることに。
食パン(5枚切りあたりがよさそう)にバターを散らし、しらすをたっぷりのせてトースト。
もう1枚はそのままトーストし、焼けてからしらすを後のせ。最後にきざみ海苔をのせて完成。簡単だー。

しらすトースト

ジンジャーハニーミルクティー
おともにはジンジャーミルクティ。ミルクティにショウガ(すりおろし)とハチミツを入れ、シナモンスティックを添える。

しらすトースト
食べた感想:
しらすの優しい食感と塩気に、バターと海苔の香り。ああ、海辺の街ならではだなあ…とあらためて思わせる組み合わせ。食べて「衝撃的!」というよりは、後から思い出してじんわり食べたくなるおいしさで、2日連続で食べてしまった(しらす、もっと買えばよかった…)。

ちなみにしらすの「前のせ」「後のせ」ですが、のせてから焼くとしらすの香りが強く出る味わいに。しらすの新鮮さを楽しむなら、後のせのほうがベター。結局お好みかも。

あと海産物にミルクティーって合うのかしら、とちょっと心配だった組み合わせですが、これも意外に違和感なし。しらすと相性のいいショウガのおかげでしょうか…。

余ったしらすはバターと醤油の味付けでパスタにもしてみたけど、これも絶品。パンもそうだけど「バターとしらす」が相性いいのかも。

おまけ:
あいにくの天候不順であまり散策できなかった鎌倉ですが、作中に登場する和菓子屋さん「力餅家」にどーしても行きたくて立ち寄ってみた。
「海街diary」(吉田秋生/小学館)3巻より 鎌倉
※【コマ引用】「海街diary」(吉田秋生/小学館)3巻より
マンガと同じたたずまい!

力餅

力餅
香田家お気に入りの「力餅」は、親指大のかわいいサイズのあんこ餅10個入り。赤福にちょっと似てるかも。春はお餅がヨモギ入りになるそうです。こしあんが優しい甘さで、パクパクいける。

風太お気に入りのお面の形のまんじゅう(人形焼みたいなもの?)はうっかり買い忘れて絶賛後悔中…。


ちなみに舞台めぐりするなら、こんなガイドブックも出てるみたいです。今度はこれ片手に行ってみよー。