お茶の佃煮 鯛の昆布締め
京の路地の長屋に暮らす、若き職人たちの恋もようをオムニバスで描いた「路地恋花」。

製本職人、銀細工職人、キャンドル作家……とさまざまな職人が登場します。麻生みこと先生の淡麗なタッチの絵と、はんなりした京ことばのセリフ、ロマンティックなストーリー。読むと「トリップ」できるマンガのひとつです。




「路地恋花」(麻生みこと/講談社)3巻より
※【コマ引用】「路地恋花」(麻生みこと/講談社)3巻より

最新刊の3巻には、京都らしいおばんざいが登場するエピソードがあります。 美容院を営む慎吾に、手作りのおそうざいをたびたび差し入れてくれる、長屋の大家さん。

近所の花屋の一松は「それは気があるから」とけしかけ、慎吾も年配の大家さんを異性として意識するようになり……というお話。 ここに登場する3つのおばんざいが、どれもユニークでおいしそう。

煎茶を炒り煮した「お茶の佃煮」、刺身の残りを使った「鯛の昆布締め」、古くなった沢庵を煮た「贅沢煮」。いずれも、食材を無駄にしない京の精神があらわれている料理です。

「路地恋花」(麻生みこと/講談社)3巻より
※【コマ引用】「路地恋花」(麻生みこと/講談社)3巻より

特にお茶の佃煮は、「ものすごええお煎茶の香りする……」というセリフからしても、どんな味なのか気になる! これと鯛の昆布締めを作ってみることにしました。

沢庵の贅沢煮は、古い沢庵が手に入らず今回は断念(実家で今度もらってこようかな…)。 そういえば、「エスパー魔美」にもパパの好物として「たくあんの煮物」が登場したけど、これとよく似てますね。

調べてみたら、京都だけでなく、藤子先生の出身地・富山でもメジャーな料理らしい。意外な共通点にちょっとびっくり。


煎茶の出がら ちりめん山椒 
お茶の佃煮: 
煎茶の出がらしを用意します。私は3~4回淹れたあとの出がらしにしました。香りを強めに残すなら1~2回淹れたものがよさそうですが、苦みも強く出るのでそのへんはお好みで。

あとの材料はじゃこと山椒。生の山椒がどうしても見つからず、今回は「ちりめん山椒」で代用。これなら両方補えますしね。

お茶と日本酒をフライパンに じゃこと醤油投入 
お茶の出がらしをフライパンに入れ、日本酒をひたひたになるまで注ぎ、中弱火で炒めます。水分が減ってきたら、ちりめん山椒と醤油を加え、焦げないように弱火にしてじっくり炒めます。

水分がなくなるまで炒める 
水分がなくなるまで炒めたら、完成。

昆布を酢水につける 
鯛の昆布締め:
 
昆布はキッチンペーパーなどで汚れを落とし、水で薄めたすし酢に5分ほど漬けてやわらかくしたあと、水分をふきとります。

鯛をのせる ラップでくるむ 
薄く切った鯛の刺身に軽く塩を振り、昆布の上に乗せ、上からもう一枚昆布をかぶせます。ラップできっちりくるみ、冷蔵庫で1時間ほど置いて完成。 おばんざい2品、できました。 

路地恋花 お茶の佃煮 鯛の昆布締め

お茶の佃煮 
食べた感想: 
佃煮は、言われなければ「お茶の葉で作った」とは気づかないほど、ごく自然なさっぱりした味で、ご飯にもちゃんとあいます。

薄くなった出がらしを使ったので、思ったより強くはありませんが、それでもほんのり煎茶の香り。今度は思い切って玉露とか、「いいお茶」で作ってみようかな。 

今回は作中の説明に従って、日本酒と醤油のみで仕上げましたが、調べてみるとみりんや砂糖を加えるレシピもあるよう。そちらのほうが、より佃煮っぽく仕上がるかもしれません。

鯛の昆布締め 
お次は昆布締め。面倒なイメージがあったんですが、作ってみると意外に簡単。 昆布にはさんだだけで、こんなに刺身の「うまみ」が増すなんて。グルタミン酸の働きってすげー、と感動します。白身の刺身は、醤油よりもこうやって食べるほうが好きだな。 

食材を余らせることなく、効率よく「始末」して食べるのが京都人。もしかしたらそれは、京都に限らない昔の日本の食のあり方だったのかもしれませんが、単なる「ケチ」や「節約」ではない美学がそこにはあるよなあ…と思うのでした。




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